2020年01月28日
日本と違う? ユニークなスイスの職業訓練
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昨日までの二回に引き続き、今日はスイスの職業訓練制度の素晴らしさについてご紹介します。
州によって進学制度が異なるため、今回はザンクト・ガレン州にスポットを浴びてもらいましょう。
スイスのザンクト・ガレン州では中学一年生の終わり頃から、全校生が職業についての講義を受け始めます。
どんな種類の職業が存在するのか。
自分は将来何をしたいのか。
そのためにはどんな訓練が必要なのか。
どのようにして仕事を見つけるのか。
学生たちは、職業を持つ大切さを知って、仕事への関心を高めていきます。
なんといっても学生の8割近くが中学卒業(義務教育終了)とともに、仕事を始めるのには驚きですよね。
3-4年の職業訓練と職業学校という名目ではありますが、
職業訓練といえど、中学3年生の夏前後には自分で会社を見つけ、就職試験や面接を受けて、
レイレ(職業見習い)として一時就職するための本格的な就職活動をするんです。
これもそんな簡単なことではなく、履歴書や先生からの推薦書なども送り、面接。
面接が通れば、仕事場で実際に労働してみる試行期間があり、それで合格して晴れて就職というプロセスとなっています。
競争率の高いところ(コンピューター関係や銀行など)では就職試験もあり、
試行期間までたどり着いてもまだセレクションがあるという厳しい会社もあります。
そんな若者の努力の甲斐もあり、
スイスの職業訓練制度はどの国よりも充実しており、
またそれを社会が全面的に支援しています。
中学卒業後に
高校進学以外の道があるというよりも、
実際には大半の学生たちが
自分はどんな職業に就きたいのを
早い時期から意識し、
中学卒業とともに社会に飛び出していきます。
昔、私がカナダに語学留学をした時に、15歳ぐらいのスイス人の学生と一緒に勉強してたことがあったんですが、
「ぼくはもう働いてるよ。」なんて言われれ
うっそぉ〜!!
て思ってことがありました。
でも、スイスに住むようになり、自分の子供が中学に上がってから
あ〜あれ、ほんまやったんや〜
って理解しました。ごめんね、信じきれなかったよ、スイスボーイくん!
今頃、彼はすごい仕事バリバリやってるんやろな〜。
職業訓練の間は、一週間に1〜2度職業学校に通い、そのほかの日は会社で見習いとして仕事をこなします。
職業学校も、それぞれの仕事の内容に伴う勉強をします。
3年〜4年でその職業訓練業の過程が終了すれば、
もう一人前の仕事ができるようになり、これから先、仕事を見つけるのには困らない資格が得られます。
その後、職業訓練修了生は応用科学大学などのホッフシューレに通い、
各職業に直結した、より高い知識や技術を得ることもできます。
それは直接給料にも功を奏します。
物価の高いスイスでは、貧困ラインは月に2400スイスフラン(日本円で27万円)ほど。
各州によって多少の違いはありますが、
最低賃金は月給4000スイスフラン(約45万円)、時給23フラン(2600円)。
職業訓練中は、月に4−5万円しかもらえなかったのに対し、
職業訓練終了後、月に4500〜5500スイスフラン(50万円〜62万円)相当の給料をもらえるわけです。
職業訓練を終了するだけでも、社会でしっかり生きていけるだけのお給料がもらえます。
社会自体が、この道が1番の確実な道だと奨励しているほどです。
職業訓練後にホッフシューレなど上の学校を卒業した場合、月に平均7600スイスフラン(86万円)ほど稼げるようになるんです。
ちなみに、進学して大学卒業の給料の平均は8100スイスフラン(92万円)なので、へ?そんなに変わらんやん!って
感じますよね。もちろんこれも全て就く職種によっても大きく変わるんですけどね。
スイスではまず初対面で人にあうと聞かれるのが
「仕事、何してるの?」 っていうのが何故かなのも、納得いきますよね。
スイスのこの職業訓練制度は世界的のも評価が非常に高く、
ヨーロッパのどの国よりも、若者の失業率が低いんです。
そしてその社会的サポートも兼ねて、各国からとても興味を持たれています。
見習いとして若い子供たちを積極的に受け入れる会社側としてもいいことだらけです。
見習い受け入れ1−2年は頼りなかったのに、後半になってメキメキ腕を上げ、
会社の確実な戦力となってくれるからです。
受け入れる側も働く側にも、この制度はとても理にかなった、実質的な経済貢献に繋がっていくんですね。
それでも、スイスにも学歴社会の波が少しずつ押し寄せてきています。
特にドイツやフランスから移民してきた家族などは、
このスイスのシステムになかなか馴染めないでいて、
なんとか進学させようと躍起になったりする傾向も見られます。
そのような傾向をなんとか抑えようと、
スイス政府は、中学生の保護者に職業情報センターなどの見学や話し合いを重ねていきます。
スイスの職業訓練制度の重要さ、確実さ、社会からのサポートの大きさを
機会があるごとに紹介したりします。
今回はこれぐらいにしておきますね。
また機会があればもっと詳細なところまで詰めてお話ししたいと思います。
ところで、世界には技能五輪国際大会というのがあるのを知っておられますか?
2年に一度開催される、世界技能オリンピックです。
スイスはここでも大活躍!
去年2019年にロシア西部カザンで開催された技能五輪国際大会では、
世界63カ国約1600人が参加しました。
スイスは金メダルを5個、銀メダル5個、銅メダル6個を獲得しています。
メダル獲得総数は、スイスが3位でした。(1位中国、2位韓国)
スイス代表の金メダルはの通りです。
🥇 マルティナ・ヴィックさん (レストランサービス部門)
🥇 ソニヤ・デューラーさん(洋菓子製造部門 )
🥇 マリオ・エンツさん、ファビアン・ホデルさん(造園部門)
🥇 フロリアン・バウムガートナーさん(電工部門)
🥇 レナート・マイアーさん(タイル張り部門)
どんなオリンピックなのか、またお伝えできる機会があればと思います。
職業を持つ大切さ、その意識を
若い人たちに早いうちから持たせようとするスイス社会の貢献のおかげで、
スイスの経済はもう100年以上も安定しているんですね。
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