アフィリエイト広告を利用しています

広告

posted by fanblog

2014年12月22日

【つれづれコラム】罪の軽重

 【つれづれコラム】罪の軽重

 小保方問題で、さまざまな意見やご指摘をいただき、ありがとうございました。取材記者として35年間、いろいろな現場を見てきた者として、「罪の重さ」について書いてみようと思います。

 ネット時代になって、新聞の部数が大幅に減りました。そして減り続けています。そうですよね、タダで新聞の情報が分かるなら、わざわざお金を出しません。日本特有の宅配というシステムは、新聞社だけでなく、販売店や新聞に折り込まれる広告業界と密接な関係もあり、欧米のように急激に新聞が消える、ということにはなっていませんが、無料の記事が読めるネット記事が増えれば増えるほど、お金を出して新聞を取ろうという人たちが減っていくのは当然です。

 僕も新聞社勤務時代に、「では、新聞の優位性をもっとアピールする手立てはないか」と、さんざん仲間たちと話し合いました。

 僕が行き着いていた結論は「新聞は、ニュースの軽重を紙面で割く分量と見出しによって表現している。ニュースがネットで氾濫する時代だからこそ、ニュースの軽重を知らせる新聞には意味がある」。





 ところが、そんな「新聞の論理」は、自分が新聞記者を辞めてから、社会に通用しなくなっているな、と感じることが多々あります。

 ネットには、次々に新しいニュースが流され、読みたいニュースは、まず見出しで選択される。スポーツ選手やテレビに出てくる芸能人の話題は、どうしても見たくなってしまいます。身近であり、興味があるからです。

 新聞やテレビでは、ああ言っているけど、ネットでは、こう言っている。そのとき、錯覚します。

 ネットの記事の方が「面白い」。あるいは、「本当かも知れない」と。罪の軽重を新聞記事のスペースや見出しの大きさで微妙に調整してきたつもりの、マスメディアとしての新聞は、その溢れ出る情報の前に、読者の支持を受けない、あるいは受けられない状況に変わっているのだと思います。

 だからこそ、ニュースバリュー(価値)の大小を判断する材料が必要になってくる。

 みんなが幸せになる話題や、科学の発見、進歩などは、大きく扱っても誰も文句は言いません。問題は、「罪の軽重」です。

 今年もたくさんの事件が報道されました。罪の重さによって、その放送時間が違うとか、紙面の大きさが違うとか、ネットの記事の分量が多いということはありません。

 その分量と罪の重さの相関関係は、昔からあってないようなものでしたが、最近はますますその傾向が強くなっていると思います。罪が重いから、必ずしも多く報道されることはない。その逆に罪の度合いが低くても、興味が沸くことなら繰り返し、大きく報道される。あるいは、ネットで話題になる。

 たとえば、芸能人の麻薬使用。大きく報道されますが、強盗や傷害事件、殺人事件より、罪の程度は、ごく小さい。だがこれは、何度も繰り返され、写真や映像が流される。

 イスラム国が、流す処刑映像は、僕が今年一番ショックな出来事でした。それに対する米英軍などの報復空爆。おそらく何百人、何千人という「イスラム国」寄りの人たちが死亡しているはずですが、それは一切報道されません。どこかで、「殺して当然だ」という風潮があります。



 あんなに残酷な映像を流すイスラム国のやつは許せない−それが一般的な見方でしょう。ですが、「死刑廃止」が持論の僕としては、本来は米英軍の空爆も止めさせる立場でなければなりません。そこで「罪の軽重」を自問自答することになるのです。

 「人殺しが最高の罪である」という普遍であるはずの考え方さえ、揺らいでいる自分がそこにいます。たくさんの現場や、多くの人たちの意見を聞いてきたつもりの自分でも、判断に迷いが生まれます。結論がすぐには出せないのです。
これからも、それは続くと思います。

 答えを探す取材、あるいは取材の旅は、これからも続くのだと思いますが、そんな僕でも断定できることがひとつだけあります。

 それは、大多数の人たちが賛成する事案や事象があっても、それは正しいとは限らない、ということです。

 自民党が圧勝した選挙のときにも書きましたが、多数決の論理は、歴史を振り返ると、のちに誤りであることもある。力で力をねじ伏せるような究極の決定、つまり戦争という手段を選ぶ決定をする多数決は、その後に否定されることが多い。でも、人類は、また同じ多数決で、決めようとします。誤りは繰り返される。

 年末だから、というわけではありませんが、頭の中のもやもやを晴らそうと思って書き始めても、結局、もやの中にいる自分がいます。

 答えはまた、次の年に持ち越しです。
 





この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/3098352
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
ファン
検索
<< 2017年11月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
最新記事
最新コメント
タグクラウド
カテゴリアーカイブ
プロフィール
クロダシンさんの画像
クロダシン
プロフィール
日別アーカイブ
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。