4月17日(木曜日) 読売新聞夕刊 「明日へ」 書を囲む より抜粋
王者の風格に魅せられ 小松茂美さん
小松茂美さん(83)は10年ほど前から後白河法皇の研究に専念している。激動の平安末期を生きた「人間としての後白河が面白くなった」のが大きな理由。もちろん「王者の風格が備わる筆跡も魅力」だという。
66年にわたる法王の生涯を1日刻みで再現する「目録」をほぼ完成した。活字にして約1000ページの分量で、膨大な公卿日記から細大もらさず法王の記録を拾った。
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中卒の国鉄マンからたたき上げ、日本の書の研究で第一人者になった立志伝中の人である。山口県・柳井中学を出て旧国鉄に就職。広島鉄道局勤務の時代に被爆した。原爆症のさなかに見た「平家納経」の美にあこがれ、研究者を目指して上京。東京国立博物館に勤める幸運を得て、書の研究に没頭してきた。
文学博士、日本学士院賞受賞と業績を積み、54歳のとき「平家納経の研究」で朝日賞を受賞。その後も学歴のないハンデを負けん気で乗り越えて、書を国文学や歴史とリンクさせる研究をブルドーザーのように進め、古写本の断簡1万2000点を体系化した「古筆学大成」(全30巻、講談社)をまとめあげた。
ところが、11年前、心筋梗塞で倒れた。平均睡眠時間4時間、半世紀にわたる夜型生活がたたったという。以後は入院、通院を繰り返し、ここ数年は雑文、講演の類は一切お断り、生活も昼型に切り替えた。
そんななかで2年前に出した「天皇の書」(文春新書)は大著が多い小松さんにしては珍しい啓蒙普及の本だった。「天皇の名を上げるなら、伏見、花園、後陽成、それに後醍醐天皇・・・・ですかね」
自身もなかなかの能書。ある小説家から現代の三筆の1人に挙げられたことも。「歴代の名筆を眺めていると眼底にその像が残る。手書きでたくさんの資料を写すうち、その書法が自然に身に付いた。書は季節に関係なく、昔は365日の関心事。今も人間錬成の場だと思います。
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小松 茂美(こまつ しげみ、男性、1925年- )は、古筆学研究者。
山口県岩国市生まれ。1942年、山口県立柳井中学校卒業。働きながら、古文書に関心を抱き、1961年、独学で「後撰和歌集」を書き上げ、東洋大学から文学博士号取得、1966年、「平安朝伝来の白氏文集と三跡の研究」で日本学士院賞、1979年、「平家納経の研究」で朝日賞受賞。古筆学研究所を設立、主宰。センチュリー文化財団理事・同ミュージアム館長。古筆学、絵巻物研究と編纂において厖大な著作、研究を成し遂げ、著作集全33巻があり、学歴のない碩学として知られる。 (ウィイキぺディアより)
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