親子で楽しむ読み聞かせ絵本

むかしむかし、竹取の翁というおじいさんが、山で竹を取って生計を立てていました。おじいさんは毎日竹の間を歩きながら、きれいな竹を見つけるのが好きでした。ある日、いつものように山に入って竹を切っていると、一本の竹の中からまばゆい光が漏れてきました。

「なんだろう？」おじいさんは不思議に思い、光る竹を切り取ってみました。すると、その中から小さな女の子が現れました。女の子はまるで光そのもので、まぶしいほどきれいでした。

「この子はどこから来たのだろう？」おじいさんは驚きましたが、すぐに優しく抱きかかえて家に帰りました。おばあさんと一緒にその子を育てることにしました。女の子はとても元気で、おばあさんとおじいさんを大変喜ばせました。二人はこの小さな子を「かぐや姫」と呼びました。

かぐや姫はどんどん美しく成長し、周りの人々はその美しさに驚きました。かぐや姫の評判は町の中で広まり、たくさんの若者が結婚を申し込みにやって来ました。しかし、かぐや姫は誰とも結婚したいとは思いませんでした。なぜなら、かぐや姫には秘密があったのです。

ある日、かぐや姫はおじいさんとおばあさんに言いました。「私はこの地球の人間ではなく、月から来たのです。月には私の家族がいます。いつか月へ帰らなければならない日が来るでしょう。」

おじいさんとおばあさんはびっくりして、「そんなことを言わないで、ここにいてくれ」とお願いしました。しかし、かぐや姫は悲しそうに言いました。「私は必ず月に帰らなければなりません。でも、私はあなたたちに感謝しているのです。あなたたちが私を育ててくれたことを、私は決して忘れません。」

その後、月からの使者が現れました。使者たちはかぐや姫に、「あなたはもうすぐ月へ帰る時が来ました」と伝えました。かぐや姫は涙を流しながら、おじいさんとおばあさんに最後の挨拶をしました。

「私は月に帰りますが、あなたたちのことはずっと忘れません。お二人が幸せでありますように、心から願っています。」と言って、かぐや姫は使者たちと共に空へと昇っていきました。

おじいさんとおばあさんは、かぐや姫が去っていくのを見送りました。二人の心にはかぐや姫との思い出がいつまでも残り、月の夜にはいつも彼女を思い出しては涙を流しました。

その後、おじいさんとおばあさんは寂しい気持ちを抱えながらも、お互いを支え合って幸せに暮らしました。かぐや姫は月で幸せに過ごしていると伝えられ、その後もずっと愛される存在となりました。

おしまい。