むかしむかし、ある村に、一寸(いっすん)というとても小さな男の子がいました。彼は、赤ちゃんのころから小さくて、両親も心配していました。「こんなに小さな子が、どうやって大きくなれるんだろう?」と。でも、一寸は小さくても元気いっぱいで、毎日家の中を走り回ったり、遊んだりしていました。
ある日、一寸は、町に出かけることにしました。「お父さん、お母さん、私は出かけてくるね!」と言って、家を出ました。小さな体なので、歩いて行ける距離も限られていましたが、一寸はとても勇気を持っていました。町に行けば、何か面白いことがあるかもしれないと、ワクワクしていたのです。
町に到着した一寸は、大きな町の中を歩きながら、「何かおもしろい仕事をしてみたいな」と考えていました。すると、町の広場で、ある大きな屋敷の主人が一寸を見つけました。「おや、君はどうしてこんなに小さな子がいるんだ?」と言って、屋敷の主人は一寸に声をかけました。
一寸は少し恥ずかしそうに、「私は一寸法師です。どんな仕事でも頑張ります!」と言いました。主人はそれを聞いて、「面白い!君が来てくれると、きっと面白いことが起こるだろう」と、屋敷で働かせてくれることにしました。
一寸は屋敷での仕事を始めました。掃除をしたり、物を運んだりする仕事でしたが、何しろ一寸はとても小さいので、大きな道具を使うのも大変でした。でも、一寸はあきらめずに頑張り、だんだんと屋敷の中で評判になっていきました。
ある日、屋敷の主人が「今日は特別なことがあるんだ」と言いました。「お城に行って、王様にお会いしなければならないんだが、君が代わりに行ってくれないか?」主人は、一寸に頼んだのです。もちろん、一寸は「はい!お任せください!」と答えました。
そこで、一寸は小さな体を活かして、屋敷の主人に代わり、王様のところへ行くことになりました。王様の城までの道のりは長く、険しいものでしたが、一寸は自分の力を信じて、必死に歩きました。
道中、一寸は大きな蛇に出会いました。蛇は一寸を見て驚き、「こんなに小さな子をどうしてお城に行かせるんだ?」とからかいました。でも、一寸はひるまず、勇気を出して蛇に立ち向かいました。「私は小さいかもしれないけれど、心は大きいんだ!」と叫び、蛇をなんとか追い払いました。
ついにお城にたどり着いた一寸は、王様に「私は主人の代わりに来ました」としっかりと伝えました。王様はその勇気を認め、「君の勇気は素晴らしい。何でも望みを叶えてあげよう」と言ってくれました。
一寸は王様にお願いしました。「私はまだ小さな体ですが、もっと強く、大きくなりたいです!」王様はその願いを聞き入れ、魔法の力で一寸を大きくしてくれました。
一寸は、もう小さな体ではなくなり、立派な青年の姿になりました。彼は王様に感謝して、屋敷の主人のところへ帰ることにしました。帰ると、主人も驚き、「こんなに大きくなったのか!」と喜びました。
それからというもの、一寸は村の英雄となり、みんなから尊敬されました。彼の勇気と、どんな困難にも立ち向かう心は、多くの人々に勇気を与え、村に平和をもたらしました。
おしまい。
2024年11月20日
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