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2020年10月09日

映画「地獄の戦場」名匠ルイス・マイルストン隠れた戦争映画の傑作

「地獄の戦場」(Halls of Montezuma)
 1950年 アメリカ

監督ルイス・マイルストン
脚本マイケル・ブランクフォート
撮影ウィントンC・ホック
  ハリー・ジャクソン

〈キャスト〉
リチャード・ウィドマーク カール・マルデン
ジャック・パランス ロバート・ワグナー

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第二次世界大戦において太平洋を主戦場とした日本軍対アメリカ軍(アメリカ海兵隊)の攻防を描いた傑作。

太平洋の島々をめぐる攻防を描いた映画は数多く作られてきました。それだけ凄惨な戦いが繰り広げられ、様々なドラマや悲劇が存在してきたといえます。

映画「地獄の戦場」は舞台である島の名称をあきらかにしていません。
テレンス・マリック監督の「シン・レッド・ライン」などのように、歴史的事実の再現というよりは、戦場に投げ込まれた兵士たちの生と死の苦悩を描いたドラマということができるでしょう。

原題は「モンテズマの玄関(広間)」。
モンテズマはアメリカ合衆国のコロラド州にある郡のひとつで、歴史は古く、千数百年以前から人間が居住していたようですが、数多くの混乱のために荒廃を極め、19世紀になって再び開拓が進んで今に至っているようですので、そのあたりの経緯から付けられた題名ではなかろうかと思います(違っているかもしれません)。

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アンダーソン少尉(リチャード・ウィドマーク)率いるB中隊は、ガダルカナル、オタワなどの激戦を戦い抜いてきましたが、数々の戦場の恐怖からアンダーソンは片頭痛に悩まされています。
そんな中アメリカ軍は、日本軍が陣地を築いている島への上陸と基地の攻撃を命じられます。

元高校教師のアンダーソンには、かつての教え子のコンロイ(リチャード・ハイルトン)も部下として配属されており、コンロイもまた戦場の恐怖に脅かされています。
やがてB中隊を含む海軍は島への上陸を決行。
日本軍が陣取るトーチカからの猛攻撃を受けたアンダーソンは戦車部隊を要請。揚陸艇からシャーマンが送り込まれます。

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火力にすぐれたシャーマンの火炎放射によって日本軍の攻撃はいったん収まり、B中隊は島の内陸へ進撃を開始しますが、そこへ襲い掛かったのは日本軍にはあると思われていなかったロケット砲による攻撃の嵐でした。

ロケット砲にさらされたアメリカ軍は、ギルフィラン中佐(リチャード・ブーン)を中心に対策を講じますが、ロケット砲の発射基地を皆目つかめず、焦りとあきらめが漂う中、日本軍の捕虜を獲得することに成功します。

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監督は「西部戦線異状なし」(1930年)で、第一次世界大戦におけるドイツの若者たちの参戦の悲劇を描いて、第3回アカデミー賞最優秀作品賞と監督賞を受賞したルイス・マイルストン。

主役のアンダーソン少尉に「死の接吻」(1947年)で冷酷非情な殺し屋を演じて注目された個性派リチャード・ウィドマーク。
リチャード・ウィドマークはその後も「ワーロック」(1959年)、「アラモ」(1960年)、「西部開拓史」(1962年)などの西部劇でも重要な役を演じ、ドン・シーゲル監督の「刑事マディガン」(1968年)ではタフでありながら、上司の警察委員長のヘンリー・フォンダに頭の上がらない人間的魅力を持った刑事を好演。

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酒好きだが戦場では頼りになるスラッテリーに「探偵物語」(1951年)、「キリマンジャロの雪」(1952年)、「ネバダ・スミス」(1966年)のバート・フリード。

元ボクサーのピジョンに、後の「シェーン」(1953年)で存在感のある悪役を演じたジャック・パランス。
そのピジョンを慕い、大物になって世間を見返そうとする“坊や”に「拳銃王」(1950年)、「封印された貨物」(1951年)のスキップ・オーマイヤー。

陽気で気のいいコフマンに「動く標的」(1966年)、「タワーリング・インフェルノ」(1974年)、「ミッドウェイ」(1976年)などのロバート・ワグナー。

負傷して失明するゼレンコ軍曹に「第十七捕虜収容所」(1953年)、「ハックルベリー・フィンの冒険」(1960年)、「トラ・トラ・トラ!」(1970年)、「死の追跡」(1973年)のネヴィル・ブランド。

そして、アンダーソンの親友で信仰心の厚いドクに、「欲望という名の電車」(1951年)、「波止場」(1954年)、「パットン大戦車軍団」(1970年)などの名優カール・マルデン。

さらに、ギルフィラン中佐には「聖衣」(1953年)、「アラモ」(1960年)、「ラスト・シューティスト」(1976年)のリチャード・ブーンといった一癖も二癖もある俳優陣がズラリと顔をそろえ、また、実際に戦争体験者も多く含まれていることから、破れて引き裂かれた軍服で行軍し、戦う姿などにも演技を超えたリアリティーが生み出されています。




ただ、そういった傑作でありながらも、ところどころ挿入される実写フィルムには少し違和感があり、むしろ実写フィルムは使わなくてもよかったのでは、とも思いました。

日本でも、当時の東映の戦争映画などで実写を混在させたりしていましたが、実写と作り物の差が歴然とするためにシラケてしまうことがよくありました。

また、あきらかに香港あたりの日本語を話す中国人俳優を連れてきたと思われるヘンなアクセントで話す日本兵にはいささか辟易とさせられ、どうしてホンモノの日本人俳優を使わなかったのかと思いましたが、製作が終戦間もない1950年(昭和25年)であってみれば、敗戦国で敵国であった日本人を使えなかったのかもしれませんし、ニッポンとしても敵国であったアメリカの映画に出演することを潔(いさぎよ)しとしなかったのかもしれません。

「戦場にかける橋」(1957年)でも、斎藤大佐の早川雪州や三浦中尉の勝本圭一郎以外の日本兵のエキストラには、ヘンな日本語をしゃべる怪しい日本兵がたくさん混じっていましたしね。

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命令一下、バタバタと倒れる味方の屍を超えて進もうとするも、頑強な敵の猛攻の前に屈しながら、なおも進路確保のために凄惨な戦いを余儀なくされる。
この状況設定は、後のテレビ「コンバット」の中の傑作“丘を血に染めて”でも兵士たちの苦悩が描かれたように、戦争の悲惨さがよく伝わってきます。

「地獄の戦場」という改題が示すように、戦場のリアルさを描いたものであると同時に、兵士一人ひとりの心の動きなども追いながら、人間はいかに生きるべきかを問いかけた傑作です。

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posted by kafkas at 11:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦争
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