なお、この制度を選択すると、その選択をした贈与者(父母、祖父母など)から贈与を受ける財産(2500万円までの控除があります)のについては、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、一般の贈与(暦年贈与といい年110万円の控除があります)へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母または祖父母などが亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。
この点については、贈与した財産の価額が累計で2500万円を超えた部分について、一律20%の贈与税が課されます。これが相続時精算課税の概略ですが、この法律が令和6年1月1日以降の贈与から改正されました。それは、暦年贈与と同様に110万円の控除ができるようになりました。つまり、どういうことかと言いますと、(贈与した財産の価額ー110万円)−2500万円=贈与税の課税対象となります(これに20%の税率を乗じて贈与税額を算出します。)
例えば、令和6年中に精算課税による贈与を1000万円し、令和7年中にさらに2000万円の贈与をした場合には、次のようになります。
令和6年 (1000−110)−2500=▲1610万円となり、この年は贈与税は無税です。
令和7年 (2000−110)−1610=280万円となり、これに20%を乗じて贈与税を申告、納付します。その後相続が開始した場合には改正前でしたら、相続財産に贈与した3000万円を加算して、相続税の計算をしますが、改正後については、相続財産に贈与した財産(1000−110)+(2000−110)万円の2780万円が加算されることになります。いわゆる減税の改正ですね。
さらにもう一つ、贈与に関する改正が従来は相続開始前3年以内の暦年贈与については、相続税の課税対象とされてましたが、令和6年1月1日以降の暦年贈与については、相続開始前7年以内の暦年贈与について、相続税の課税対象とされました。つまり、これは増税の改正です。
令和6年1月1日以降の贈与については、ある一定の手続きをした上で、暦年贈与ではなく、相続時精算課税による贈与を選択した方が有利なると思われます。ただし、様々なケースがあるため、一概に有利だと言えないケースもありますが・・・。
私の説明不足や誤解を招く表現等もあるかと思われますので、国税庁のリンクを貼り付けておきます。
参考にしてみてください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf
たまには、本業の投稿もしてみました、ご参考になれば幸いです。
タグ:相続税 贈与税の改正