2011年05月29日
原子力神話からの解放(高木仁三郎) 感想
本書は2000年には発売された本を
文庫化したものです。
本書の著者は亡くなっていますが
ここに書かれていることは10年たった今でも
問題は何も変わっていないと思います。
本書では「2010年にかけて、運転開始から
30年がたつ原発が増えていくので
そういう時代に大きな原発事故が起こる可能性が高い」
と書いていてそれがぴったりと当たっているので
正直驚きました。
p155 けれども原子力の事故の場合には、いったん事故が 起これば非常に巨大な影響を及ぼすわけですから、 事故対策をもっと深刻に考える必要があります。 安全神話が崩壊したことの帰結として、 このことが当然出てこなければいけません。 つまり、原子力事故は必ず起こる、起こりうるんだということ を前提にして、それでもその影響を緩和し、住民に対する影響も 緩和し、被害を最小限にする、あるいは被害が生じたときに 迅速な態勢がとれるような一連の態勢をとる、ということです。 |
個人的に今回の事故ではこれがまったくなかったように
思います。最初の方でメルトダウンの可能性があったらしいが
それを東電は言わなかった。事故の対応もすべての面を
おかしいと指摘されたから、全体的に事故が起こったときの
ことはまったく考えていなかったのだろう。
ただ、住民のことにしろ原発での事故は
かなり大きな影響があるのでそこを考えないといけない。
個人的には本書を見る限り、総合的に原子力の
メリットは多くないと思った。
本書はそのような趣旨で書いたものではないから
当たり前だろうが、日本が原発を推進してきた理由が
単に政治的なものだけだと思ってしまう。
個人的には「原子力神話」が作られた理由は
唯一の被曝国である日本の国民を納得させるため
に無理やり作ったものでしか思えなかった。
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