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原子力神話からの解放(高木仁三郎) 感想




本書は2000年には発売された本を
文庫化したものです。
本書の著者は亡くなっていますが
ここに書かれていることは10年たった今でも
問題は何も変わっていないと思います。

本書では「2010年にかけて、運転開始から
30年がたつ原発が増えていくので
そういう時代に大きな原発事故が起こる可能性が高い」
と書いていてそれがぴったりと当たっているので
正直驚きました。




p155
けれども原子力の事故の場合には、いったん事故が
起これば非常に巨大な影響を及ぼすわけですから、
事故対策をもっと深刻に考える必要があります。
安全神話が崩壊したことの帰結として、
このことが当然出てこなければいけません。
つまり、原子力事故は必ず起こる、起こりうるんだということ
を前提にして、それでもその影響を緩和し、住民に対する影響も
緩和し、被害を最小限にする、あるいは被害が生じたときに
迅速な態勢がとれるような一連の態勢をとる、ということです。




個人的に今回の事故ではこれがまったくなかったように
思います。最初の方でメルトダウンの可能性があったらしいが
それを東電は言わなかった。事故の対応もすべての面を
おかしいと指摘されたから、全体的に事故が起こったときの
ことはまったく考えていなかったのだろう。

ただ、住民のことにしろ原発での事故は
かなり大きな影響があるのでそこを考えないといけない。

個人的には本書を見る限り、総合的に原子力の
メリットは多くないと思った。
本書はそのような趣旨で書いたものではないから
当たり前だろうが、日本が原発を推進してきた理由が
単に政治的なものだけだと思ってしまう。

個人的には「原子力神話」が作られた理由は
唯一の被曝国である日本の国民を納得させるため
に無理やり作ったものでしか思えなかった。

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