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デッドライン決断術 感想

デッドライン仕事術の著者が書いた本です。

基本的には、デッドライン仕事術のコンセプトと変わらないのですが

本書では、経営哲学、リーダー論などを書いています。

タイトル的には、デッドライン仕事術が売れたので

無理やり書いた本かと思いましたが

内容的には、そうでもなかった。

個人的には著者の残業をなくすために

効率化を図るというコンセプトは同意する。

しかし、個人的に若者を草食系などの言葉を使い

非難し、派遣切りは当然の判断と言っている著者に違和感を覚える。

p32、33
派遣社員をはじめとする非正規従業員に
「こいつは使える」と思える優秀な人材がいれば、
どんな会社でも「正社員にならないか」
と声をかけているに違いない。
その一方で、業績の上がらない正社員を呼んで肩を叩くわけだ。
(中略)
そうやって、会社の中では、
正規・非正規の区別に関わりなく、
従業員同士の競争が繰り広げられている。


確かに、著者の言うとおりに

競争が繰り広げられていれば

その中で、優秀な人間が残ることになり

企業も活性化すると思う。

このことで違和感を覚えるのは、

1つは「負けた人間」はどうするということが

本書には、何も書いていないということです。

正直、競争するということは

勝つ人間と同時に負ける人間も生み出すのです。

しかし、そのことについて触れていない。

まあ、いきなり負けることを書くのは

競争する人間の邪魔になるしかないとは思っているのでしょう。

負けた人間のことは自己責任

そして、彼らが受けるセフティーネットは

行政に任せておけというスタイルかもしれません。

ただ、セーフティネットを担ってるのは

現在は生活保護でしょうが

正直、これは必要な人にちゃんと支給されていないと思います。

生活保護について学ぶ場がないのと、

生活保護を受け取るのは恥ずかしいという風潮があるのが

大きいでしょう。

しかも、生活保護を受けているというのは

周りから「俺達の税金を使いやがって」と

非難されるから申請もしにくい。

ここで得するのが「声の大きい人」だったりするのですが


2つめの問題は、

正規社員、非正規社員の競争が適正という可能性が

少ないということです。


デフレの正体から引用します。

デフレの正体 p182
そう、彼らがやっているのは「フリ」であって本気ではない。
実際彼らは、新たに雇う若者の雇用を
規制緩和に乗って流動化・低廉化させることは
喜んで行いましたけれども、
ある程度の年齢以上の正社員や退職者の、
既得権化した処遇や福利厚生には総じて手をつけて
いないからです。
本当に雇用に関する規制緩和の理念を信じているのであれば、
相対的に給与の高い中高年やOBの処遇をこそ
流動化させるはずなのです。


そう、競争が適正であれば著者の意見はまだいいのですが

今の状況では実力があっても、

その実力を「正社員を切ってまで雇うメリットがある」

あると認めるくらいでないいけない。

そもそも、企業は正社員を10年単位で

育てるというスタンスをとっている場合があります。

しかも、終身雇用が深く浸透している日本では

正直、非正規が正社員になることは、

簡単ではないでしょう。

さらに、非正規社員の仕事内容は単純作業で

優劣が付けにくい場合もあります。

その中で、競争といってもなかなか差をつけるのは難しいでしょう。


ただ、残業をなくすために

著者のデッドラインを決めて

仕事の効率化を図るというのは、

個人的に賛成です。


しかし、それを導入するためには

経営者が決断できなければならない。

しかし、今は決断が遅い経営者が多いとも

本書には書いています。






長文読んでくれて感謝します
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