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2019年10月23日
【三月三日】
語釈
重三の佳節(ちょうさんのかせつ)
中国の例により、我が国でも水辺に出て、祓いをし遊宴を張った。現在の「桃の節句」
枕草子より
三月三日は、うらうらとのどかに照りたる。桃の花のいまさにはじむる。柳などを(お)かしきこそさらなれ、それもまだまゆにこもりたるはを(お)かし。ひろごりたるはうたてぞみゆる。
おもしろくさきたる桜をながく折りて、おほ(お)きなる瓶にさしたるこそを(お)かしけれ。桜の直衣(のうし)に出袿(いだしうちぎ)して、まら(ろ)うどにもあれ、御せ(しょ)うとの君たちにても、そこちかくゐ(い)て物などうちゐ(い)いたる、いとを(お)かし。
「三月三日は、うららかにのどかに照ったのがこの日にふさわしい。桃の花がちょうど咲きはじめたのもとてもいいし、柳が芽吹いているのなども素晴らしく、それも蚕(かいこ)がまゆの中に籠(こも)っているように芽吹きはじめているのがとてもいい。葉が広がってしまったのは良くない。
みごとに咲いた桜の枝を長く折ってきて、大きな花瓶にさしてあるのは素晴らしい。表が白で裏が赤紫という桜の直衣(のうし)に出袿(いだしうちぎ)という衣装で、お客様にせよ、宮さまのご兄弟にせよ、その花びん近くで色々とお話をなさっている光景は、何とも言えず素晴らしいものである」
図書
『枕草子』竹下政雄著