アフィリエイト広告を利用しています

広告

posted by fanblog

2017年09月10日

マギ 35巻 大高 忍 (※ネタバレ)

えっ、今頃?

という感のある、マギ35巻の紹介です。
またも見逃していました。
気付いたのはAmazonさんからの「36巻を予約しませんか?」という案内を見たときです。

36巻?
確か持っているのは34巻までのはずでは・・・アッ!!
案の定、「マギ 35巻」で検索すると見事に発売中で、しかも見たことのない表紙。確定です。

慌てて買った35巻は、更に話がスケールアップしていく面白い内容でした。

シンドバッドの試練は続く


34巻での「バアル」の試練はジュダルが勝ち、35巻は「ヴァルフォーレ」の試練から始まります。
挑むのは白龍。

ヴァルフォーレは”虚偽と信望の信念”として白龍に問いかけます。
「理不尽な世界では何を疑い、何を信じるべきか」
白龍が出した答は「自分意外の他人を信じろ」で、しかしシンドバッドはそれに納得せず、以降は2人の問答が続きます。

ここで注目したいのはシンドバッドが「自分を信じている」という話のくだりのなかで、「人は器の大きさも形も違う」ということを話すのですが、その際に描かれる”王の器”のカットです。
ここでは白龍の器が皇帝というものに耐えられなかった形として、器の中に溺れる白龍を描き出します。
シンドバッドが持っている「王の器」というイメージがそのまま具現化した形で示された。これを覚えておきましょう。

さて、2人の問答の明確な終わりは物語では描かれませんでしたが、その後ヴァルフォーレの迷宮が沈んだことで白龍が攻略したことが示されました。

続いて物語は第3の試練「ゼパル」に進みます。
挑むのはアラジン。
”精神と傀儡の信念”に対し、アラジンは自分の信念をぶつけていきます。

そう、これまでアラジンはどちらかというと観察者という立場だったと思います。
あくまで「マギ」という役割として、他人(王)がどうしたいのかを聞き、それに向けた行動を起こしてくというのが根本にあったと思いました。しかしゼパルとの問答でアラジンが表したのは「観察者」ではない、一人の人間としての考えであり、信念でした。

この問答はグッと来ます。
ヴァルフォーレでの白龍もそうでしたが、アラジンのこれまでの「マギ」の物語で経験したことがゼパルへの回答の背景になっているからです。
アラジンの一言一言に、「そうだよなあ、あの時、そんなことを感じたよな」「こんなことを教えてもらったよな」という読者としての経験を一つ一つ呼び起こされるからです。

アラジン、成長したなあ・・・ということに感じ入る。物語の醍醐味です。

しかしゼパルとの戦いは終わりませんでした。
迷いを断ち切った面構えを見せるアラジンとゼパルの戦いはどうなっていくのか!?

と、ここで舞台は転換し、アリババとアルバの世間話へ。
一息付くのか?と思いきや、物語は唐突に動き出します。
アリババが語り始めたのは、これまで謎に包まれていた「死んだアリババが過ごした時間」の話でした。

そこは死後の世界


アラジンが語ったアルマトラン時代の死んだ人たち(の幻)が過ごす世界。
そこでは皆、呆然と自分の過去を眺めていたり、石を積んだりして、特に何をするでもなくただ時間を過ごすだけの真っ白な世界でした。

ワヒードやセッタ、焼け死んだテスも元気な(?)姿で過ごしていました。
テスの元気な姿にはちょっと心が癒やされました。

ここで描かれたのは、無気力になっていたアルマトランの人間たちが、アリババの言動によって次第に考えることを取り戻し、アリババを帰還させるための「大魔法」を作っていくというエピソードです。
怠惰だけが流れていた空間が、人々が作り出す熱で次第に満たされていく光景は何か胸に染み入るものがあります。そしてそれを作り出したのは他でもないアリババ。アリババの凄さが描かれたエピソードでもある訳ですね。

そう、自分では何もしていないんですよね。
「元の世界に戻りたい」という意志はあったものの、次元をつなげる大魔法を考えたりとか、次元をつなげるという事象を知っていたりしたのは全てアルマトランの人間たちです。アリババのハニワを作ったのもアルマトランの住人。アリババは何もしていない。
でも、このアルマトランの人たちはそれまで何もしていなかった。
ただ時間を過ごしていただけ。
その人間たちを巻き込み、その気にさせ、熱を与え、やがて自ら熱を発せさせる存在へと変えていく。
そして誰も出来なかったような凄い結果を導いていく。

凄いよアリババ。
どこか頼りない姿で描かれていて、「なぜこの男が主人公なのだろうか?」と不思議に思うこともありましたが、このエピソードを読んで確信しました。

物語の中心としてこの世界を導いていくのはこの男、アリババだ。

それも超人的な「強さ」「知識」で導くのではなく、対話と情熱によって周囲の人間を巻き込み、力を出させていくという手法によって。
淡々と物語は進んでいきますが、胸の熱さは滾々と高まっていきました。

この世界を旅立つ時、ワヒードが「まるでアイツのよう・・・」と例えたのはダビデのことですが、これが意味するところも気になります。
でも「特異点だった」ということで済ませるのは何だか嫌です。腑に落ちません。
何か違う形でアリババのことを表現する時がきっと来るのだと思いますが、大高先生に期待して待ちたいと思います。

そしていよいよ核心へ・・・?


物語は第四の迷宮「フルフル」へ。
気力をなくして何だか投げやりなアルバをよそに、アリババはシンドバッドと対峙します。
ここでアリババが言い出したのが
「別の作戦を思いついたんですけど!」
という言葉。

聖宮編での物語は、「全世界をルフに還して上位の神に戦いを挑もうとするシンドバッド」と「それを止めようとするアリババたち」との戦いとして描かれていました。全く真逆の目的を持つ者たちによる真っ向勝負の図式です。
しかしここでアリババが提案したのは、そのどちらでもない別の方法であり、方向性と可能性。

その鍵としてアリババが確信しているのが、アリババがアルマトランの世界から戻ったときの「大魔法」と、それともう一つ。
アリババが自分で言葉にした、
「でも、みんなでやればシンドバッドさん一人より・・・アルバさん一人より・・・ものすごいことができると思うんですよね。自信があります!」
という、みんなでやればものすごいことができる、という考え方。

まだゼパルとの戦いを続けていたアラジンを呼ぶことをシンドバッドに求め、アラジンを巻き込んだ論争が始まります。
更にはウーゴまでも登場し、次元を繋がえる大魔法について、また、別次元との交渉についてなど話はどんどん発展し、いつしかシンドバッドは「ルフを還して上位の神に挑む」という考えから離れた「次元間の同盟」という提案を示します。

ニヤッとするアリババ。
その事実に気付いたシンドバッドの脳裏に浮かんだのが35巻最後のコマ。
それは一つの器の中の存在となっているシンドバッド自身の姿でした。

ヴァルフォーレとの戦いでシンドバッドが白龍に対して同じく「器」のビジョンを示したことから、シンドバッドが「人間の器の大きさと形」としてこの「器」のビジョンを持っていることが示されていますから、これは間違いなくシンドバッドの心象風景だと言えるでしょう。

自分自身が「器」だと考えていたシンドバッドにとって凄い衝撃だったと思います。これが事実なのか、それとも一瞬の錯覚なのかは36巻以降に明らかになっていくでしょうが、今までの物語からは想像できない絵です。

この器のコマ、なかなかに意味深です。
器の主人であるアリババの姿が一番小さい。アルバやアラジン、ウーゴ、シンドバッドの方が大きく描かれているんですね。一番大きいのがシンドバッドだったりする。
一人ひとりの能力の大きさや強さが全てなのではない。
大勢の人間の力を一つにまとめていくことが、本当の強さであり、王の器なんだという大高先生のメッセージが込められている気がします。

いよいよ物語の核心が見え始めてきた35巻。
世界の壁を巡る論争はどう決着するのか。
アリババに自分以上の器を認めてしまったシンドバッドがどういう行動に出るのか(以前にアラジンに対して「チッ」という舌打ちをしたこともあったので、キレてしまうのかもしれませんが・・・)

36巻の発売日を忘れずに待ちたいと思います。

今回も長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

↓↓過去のマギについての記事はこちら

マギ 33巻&34巻 大高 忍(※ネタバレ)

マギ 32巻 大高 忍(※ネタバレ)

マギ 31巻 大高 忍(※ネタバレ)

マギ 30巻 大高 忍(※ネタバレ)

マギ 29巻 大高 忍(※ネタバレ)

マギ 28巻 大高 忍(※少しネタバレ)

マギ 27巻 大高 忍(※少しネタバレ)

マギ 大高 忍 (11〜26巻)

マギ 大高 忍(1〜10巻)
posted by 霧島もとみ at 2017年09月10日 | Comment(0) | TrackBack(0) | コミック
この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/6687473
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
検索
最新記事
最新コメント
タグクラウド
カテゴリアーカイブ
プロフィール
霧島もとみさんの画像
霧島もとみ
他人との距離感をいつも遠く感じながら生きてきました。高校の体育祭のフィナーレでは、肩を抱き合って大はしゃぎする光景に「何でこんなに盛り上がれるんだろう・・・?」と全く共感できませんでした。共感できない自分が理解できず、いつも悩んでいます。そんな私でも面白いと思うことはこの世界に一杯あります。それが私の生きる糧でした。面白いことが増えていけば、よりたくさんの人が楽しく生きられるはず。そんな世界を夢見ています。
プロフィール
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。