『うわ〜！！！お父(おとう)の背中って逞しくて大きいな〜』





久しぶりにお父が早く帰って来たので、僕は一緒にお風呂に入る事になった。


１２０キロもあるドラム缶を運ぶ仕事をしているお父。


身長は１６０ｃｍ位で決して大きな体じゃないけど、当事の僕からしたらそれでも大きい。


肩や腕は『もっこり』と盛り上がっていて、まるで筋肉マンのようだ。


一生懸命両手を広げて抱き付こうとするけど、僕の手が短くて手がまわりきらない。


その位ガタイが良かったお父。


そしてずっとお父の背中を見て歩いて来た。



１年が過ぎ・・・・２年が過ぎ・・・・・・・。







気付かぬ間に時間はどんどん過ぎて行く。。。


成長して行くモノもあれば退化して行くモノもある。


あんなに逞しかった背中が小さくなり、あんなに『もっこり』していた腕が何時の間にかしわしわになっていた。



【風船】


『愛情』という名の空気を、体の中いっぱいに貯めて、身体を膨らませ、徐々に子供に分けて行く。そしてその子供はその空気を知らず知らずの内に貰い、膨らんでいく。
しかし子供は、親の空気を貰って膨らんでいる事に気付かない。
全てをはきだしきった風船は・・・・。



桃花スリム