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1. FXは上達するのか

小さなコツをいくつか覚えたって駄目です。勝てない原因をきちんと突き止めてからやり直しましょう。FXを楽しむためには「投資期間」が必要です。すぐに始めたって勝てないことは、FXに限らず、何事であれ同じなのです。だからこそ、その期間を短縮するための「方法論」が大切なのです。

 右矢印1 1-1. FXを楽しむために
   アマチュアらしく…
 右矢印1 1-2. いつか負けないはずがない!
   上手くなるまでは短期取引です
 右矢印1 1-3. 難しさの正体って何だ
   利確と損切の理解は大切です
 右矢印1 1-4. FXは上達するのか
   取引機会を絞り込むべきです
 右矢印1 1-5. 数字で掴もう
   その機会にどう臨むかです
2. 経済指標の楽しみ方

このブログで扱う取引の理想は、経済指標発表前後の反応を着実に刈り取り、ポジション保有時間を最短化してリスクを避けることです。でも、効率良く取引するにはそれなりに予備知識が必要です。大した話は紹介できませんが、基本だけは押さえておきましょう。

 右矢印1 2-1. 大きなゾウの隠れ方
   指標取引のための予備知識です
 右矢印1 2-2. ウソは嫌いだ!
   短期取引をやるときの指針です
 右矢印1 2-3. イグアナを見分ける前に
   このブログの指標取引での成績です
 右矢印1 2-4. 小ズルくいきましょう
   いわばジンクスで勝つ方法です

3. 指標取引分析手法

このブログでは経済指標への調査・分析を定型書式で行っています。定型書式を用いることで、反省を踏まえてやり方を進歩させたり、相場環境が変わったことを見つけやすくするため、です。

 右矢印1 3-1. 指標取引の予備知識
   指標発表前後の他の時間と違い
 右矢印1 3-2. ローソク足各部の名称
   全幅・値幅・跳幅とは?
 右矢印1 3-3. 4本足チャート
   このブログで使うチャート表記
 右矢印1 3-4. 反応方向の予備知識
   指標分類と反応方向の基本
 右矢印1 3-5. 取引通貨ペアの選択
   通貨ペアによる有利不利
 右矢印1 3-6. 指標分析の方法
   定量指標分析とは?
 右矢印1 3-7. 反応分析の方法
   定量反応分析とは?
 右矢印1 3-8. 分析の成績
   事前分析的中率
 右矢印1 3-9. ブレイク対応準備
   ついでに…
4. 経済指標DB

経済指標発表前後の短時間に分析期間を絞ることによって、指標への反応に一定の再現性(傾向)があることはわかりました。各国「政策決定指標」・「経済実態指標」の項に、主要な指標についての分析結果と分析事例を纏めてあります。

 右矢印1 4-0. 各国経済・通貨の特徴
 右矢印1 4-1. 日本経済
    4-1-1. 政策決定指標
     (a) 日銀短観
     (b1) 東京都区部CPI
     (b2) 全国CPI
    4-1-2. 経済実態指標
     (c) GDP一次速報
     (d) 機械受注
     (e1) 通関貿易統計
     (e2) 国際収支
 右矢印1 4-2. 米国経済
    4-2-1. 政策決定指標
     (a) FOMC
     (b1) UM消信指数速報
     (b2) CB消信指数
     (b3) ISM非製景指数
     (c1) NY連銀製景指数
     (c2) Phil連銀製景指数
     (c3) ISM製景指数
     (d1) 輸出・入物価指数
     (d2) 生産者物価指数
     (d3) 消費者物価指数
     (d4) PCEコアデフレータ
     (e1) ADP雇用統計
     (e2) 雇用統計
    4-2-2. 経済実態指標
     (a1) GDP速報値
     (a2) GDP改定値
     (a3) GDP確定値
     (b1) 小売売上高
     (b2) 個人消費・所得
     (c1) 鉱工業生産
     (c2) 耐久財受注
     (d1) 中古住宅販売件数
     (d2) 新築住宅販売件数
    4-2-3. 収支関連指標
     (a) 貿易収支
 右矢印1 4-3. 欧州経済
    4-3-1. 政策決定指標
     (a) ECB金融政策
     (c1) ZEW企業景況感調査
     (c2) 独国Ifo企業景況指数
     (c3) 独国PMI速報値
     (c4) 欧州PMI速報値
     (d) 欧州HICP速報値
    4-3-2. 経済実態指標
     (a1) 独国GDP速報値
     (b) 独国貿易統計
     (c1) 独国製造業新規受注
     (c2) 独国鉱工業生産
 右矢印1 4-4. 英国経済
    4-4-0. 英国経済指標反応要点
    4-4-1. 政策決定指標
     (a) BOE金融政策
     (c1) PMI速報値
     (c2) 製造業PMI改定値
     (c3) サービス業PMI改定値
     (d) 物価統計
     (e) 雇用統計
    4-4-2. 経済実態指標
     (a1) 月次GDP
     (a2) 四半期GDP速報値
     (b) 小売売上高指数
     (c) 鉱工業生産指数
     (d) 貿易収支
 右矢印1 4-5. 豪州・NZ経済
    4-5-1. 政策決定指標
     (a) RBA金融政策
     (b) RBNZ金融政策
     (c1) NAB企業景況感指数
     (c2) WP消費者信頼感指数
     (d1) 四半期住宅価格指数
     (d2) 四半期生産者物価指数
     (d3) 四半期消費者物価指数
     (e1) 賃金指数
     (e2) ANZ求人広告件数
     (e3) 雇用統計
    4-5-2. 経済実態指標
     (a) 四半期GDP
     (b) 貿易収支
     (c) 小売売上高
     (d1) 住宅ローン件数
     (d2) 建設許可件数

ーーーーーーーー
【FX会社】
各社特徴があります。最初は資金にも限りがあるでしょうから1つの口座で、慣れたらいくつか口座を開いて自分が使いやすい会社を選ぶと良いでしょう。
ーーーーーーーー

DMM.com証券

FX口座数国内第1位はTVCMで有名。主要通貨のスワップポイントが高く、ドル円スプレッドも原則0.3銭と安い。2万円のキャッシュバック条件は、10万円入金+PC・スマホで3か月各500枚(週毎に各約40枚)の取引と意外に簡単!


ヒロセ通商

他社乗換ほか、キャッシュバックプログラム多数。スプレッドは、クロス円でUSD・EUR・NZDが有利、ドルストレートでEUR・GBP・AUDが有利。最小取引は1000通貨単位で初心者に優しい。スワップが良い会社です。


マトリックストレーダー

キャッシュバック条件はヒロセ通商と同じようです。特長は、スキャルピングOK公言・1日の取引上限なし・1000通貨単位取引可、といった点。


OANDA Japan

MT4業者はスプレッドが狭くても約定力が低い業者が多いなか、約定拒否なしが魅力。またHPの各種分析図表が美しく、あちこちのブログで引用されています。本ブログでは他人の著作物転載はしていないので、お見せできません。一度ご覧ください。


外為ファイネスト証券

特徴は、MT4最狭水準のスプレッド、EA利用可、指値制限なし、MT4サーバ国内設定、1000通貨取引可、です。

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2017年05月22日

日本国際収支「通関ベース国際収支(季調済)」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年5月22日08:50発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年5月22日08:50に日本国際収支「通関ベース国際収支(季調済)」が発表されます。今回発表は2017年4分の集計結果です。

本指標の要点は下表に整理しておきました。

1704日本貿易統計100.png



次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。

  • まず、本指標で取引する上での注意点です。
    本指標発表時には、発表結果が市場予想を上回る(下回る)と売られる(買われる)、事実売り(事実買い)の傾向があります。それだけに、直前10-1分足が陽線なら発表結果が市場予想を下回り、陰線なら上回るという予兆的な傾向も見受けられます。そのぞれの確率は本文「指標一致性分析」の項をご参照願います。

  • 指標については次の通りです。
    ほとんど反応しません。最も素直な影響が現れやすい直後1分足跳幅の過去平均値は僅か3pipsで、平均値の2倍を超えて反応したことも12%(7pips反応したことも10回に1回)しかありません。

  • ポジションは、指標発表直前に直前10-1分足と逆方向に取得します。



T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。

【1. 指標概要】

「貿易収支」と「貿易収支(通関ベース)」は、「輸入建値」と「計上範囲・時点」の違いがあり、もともと数字が一致しないものです。この違いをざっくり説明すると、輸送費や保険料といったサービス収支を含む・含まないという違いと、所有権移転時点と通関時点という違いです。
例えば、日本がアメリカ製の人工衛星を購入し、アメリカで打ち上げるケースについては、人工衛星の所有権がアメリカから日本に移転した時点で「貿易収支」に計上されますが、人工衛星は関税境界を越えないため「貿易統計(通関ベース)」には計上されません。
詳しくはこちらの財務省HPの説明をご覧ください。

【2. 既出情報

以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。

(2-1. 過去情報)

下図に過去の市場予想と発表結果を示します。

1704日本貿易統計200.png

(2-2. 過去反応)

もっとも指標発表結果の影響が現れやすい直後1分足のみ示しておきます。

1704日本貿易統計330.png

跳幅平均値は3pips、値幅平均値は2pipsです。2016年6-8月頃のみ反応が大きいのは、対英貿易額が意識されたからでしょう。

【3. 定型分析】

(3-1. 反応性分析)

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

1704日本貿易統計410.png

直後11分足は、直後1分足との方向一致率が67%です。方向一致時の直後1分足と直後11分足とを比較した反応伸長率は、跳値同士で92%・終値同士で83%です。但し、追撃で稼げるpipsは5pips程度です。

(3-2. 反応一致性分析)

反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。

1704日本貿易統計420.png

直前1分足は陰線率が71%です。また、直前10-1分足との方向一致率が71%なので、直前1分足の陰線率は直前10-1分足が陰線なら、なお高まります。けれども残念なことに、直前1分足の過去平均跳幅は1pipsしかなく、取引に向きません。
直後11分足は直前1分足との方向一致率が21%(不一致率79%)です。

(3-3. 指標一致性分析)

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

1704日本貿易統計430.png

直前10-1分足は事後差異との方向一致率が73%です。発表結果が市場予想を上回るか否か、市場では直前10-1分足で正しく判断しがちです。

一方、直後1分足は事後差異との方向一致率が22%(不一致率78%)です。発表結果が市場予想を上回っても、逆方向に反応しがちです。これはおそらく、直前10-1分足の段階でほぼ正しく発表結果を予見できているため、事実売り(買い)で逆に動くためと考えられます。

そして、直後11分足は、実態差異との方向一致率が29%です(不一致率71%)。これも事実売り(買い)となりがちな傾向が現れているのだと考えられます。

【4. シナリオ作成】

ポジションは、指標発表直前に直前10-1分足と逆方向に取得します。
無理して取引するほどの指標ではありません。
以上




2017年5月22日08:50発表

以下は2017年5月22日10:00頃に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】

差し引き金額は+4817億円で、3か月連続の黒字です。
内訳は、輸出が6.3兆円(前年比+7.5%)で5ヵ月連続の増加、輸入が5.8兆円(前年比+15.1%)で4か月連続の増加です。
関心の高い地域別の米国向けは+5867億円(前年比△4.2%)で2か月連続減少となっていました。

(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1704日本貿易統計510.png

結果は前回結果・市場予想を下回ったものの、4817億円の黒字でした。輸出前年比が+7.5%、輸入前年比が+15.1%で、前年同月よりも貿易量自体が増えて黒字なので、経済好調を現れています。

反応は直後1分足・直後11分足ともに陽線でした。9時の東証寄付では10pips強も値を伸ばしました(USDJPYが買われました)。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

1704日本貿易統計520.png

2度の追撃で利確しました。pipsは小さいものの、値動きも遅く取りやすい指標でした。

9時の東証寄付で大きく値を伸ばした(10pips強)ものの、3度目の追撃は行っていません。08:50-08:59と09:00-09:01の方向一致率は、以前調べたときにはそれほど高くなかった記憶があります(55%ぐらいと記憶)。目立つ指標発表があるときと、そうした指標発表がないときを区別して調べ直した方が良いかも知れません。

【6. 分析検証】

(6-1. 分析検証)

事前調査・分析の内容は以下の通りです。

  • 本指標発表時には、発表結果が市場予想を上回る(下回る)と売られる(買われる)、事実売り(事実買い)の傾向があります。それだけに、直前10-1分足が陽線なら発表結果が市場予想を下回り、陰線なら上回るという予兆的な傾向も見受けられます。そのぞれの確率は本文「指標一致性分析」の項をご参照願います。
  • 指標についてはほとんど反応しません。最も素直な影響が現れやすい直後1分足跳幅の過去平均値は僅か3pipsで、平均値の2倍を超えて反応したことも12%(7pips反応したことも10回に1回)しかありません。

だいたい良いでしょう。

1点、訂正があります。
9時からの東証寄付直後の値動きを見ると、指標発表時が事実売り(買い)なのではなくて、指標発表前の08:40−08:49頃に朝からの動きの事実売り(買い)が多いのでしょう。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは次の通りです。

  • ポジションは、指標発表直前に直前10-1分足と逆方向に取得します。

直前10-1分足は陰線、直後1分足・直後11分足は陽線です。問題ありません。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1704日本貿易統計530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年05月21日

4-2. 米国経済指標DB(2017年5月版、5月21日改訂)

米国の経済指標発表前後の取引はUSDJPYで行っています。
米国の政治・金融・経済の動向は、どの通貨ペアにも影響を及ぼします。望ましくは、東京時間の取引はUSDJPYで、欧州・米国時間はEURUSDで行いたいものです。

政治的には、4月に続いたリスク回避によるJPY買の動きから一転、4月下旬から5月上旬は仏大統領選終了によるリスク選好によるEUR買、中旬からはロシアゲートや米経済指標の陰りが焦点のUSD売での動きとなっています。5月16日にダウが一時的に大きく下げ、これは3月頃から浮上した米政権政策遂行力への不信感の高まりの一貫と見なせます。

経済的には、米国1-3月期GDP速報値が一時的とは言え低めの数字となり、個人消費と一部の製造業景況感が低下しています。直後の反応こそ限定的だったものの、NY連銀製造業景況感がマイナス値をつけた点は驚きました。がしかし、Phil連銀製造業景況感が予想外に上昇差再反転となり、中旬に大きく下げた株価を戻しつつあります。

5月22日週から5月末にかけては、4月住宅販売・1-3月期GDP改定値・4月PCEの発表が予定されています。内容次第でUSD売が進み、米国側の6月利上げ確率が更に低下する恐れがあります。FOMC議事録の公表も予定されていますが、むしろ地区連銀総裁の発言が多く予定されているので、そちらへの注意が必要です。


【4-2-1. 政策決定指標】

(1) 金融政策

2017年の政策金利利上げは3回が予定されています。3月利上げの次は6月か9月を有力視する解説が多いようです。現在、6月利上げを見込む解説記事が多いので、これが9月説に傾くとUSDJPYは売られます。

5月4日、FOMCは政策金利据え置きを発表しました。同時に発表された声明は次の通りです。

結論は、@ FF金利の目標誘導レンジを0.75-1.00%に維持、A 保有債を新発債に再投資する既存の政策を維持、B 再投資は金利水準が十分に正常化されるまで継続を想定、です。
現状認識について、消費拡大継続を支える経済の基礎的諸条件は堅調で、長期的なインフレ期待の指標は総じてあまり変わっておらず、1-3月期の経済成長減速は一時的である可能性が高いとみています。
その論拠として、労働市場が引き締まり続け失業率を低下、家計支出は緩慢に増加、企業の設備投資は安定、インフレ率は長期的目標の前年比2%に近い水準で推移、を挙げています。
今後のFF金利は(緩やかな引上げを続けるため)長期的に到達すると見込まれる水準を下回るレベルで推移する可能性があります。引き続き金融政策の運営姿勢の緩やかな調整により、経済活動が緩やかなペースで拡大し、労働市場の状況はさらにいくらか力強さを増し、インフレ率は中期的に2%近辺で安定すると予測しています。その結果、経済状況はFF金利の緩やかな引き上げを正当化する形で進むのです。

市場ではこの声明と4月分雇用統計の結果を受けて、5月中旬には6月利上げ確率が一時90%まで上昇しました。5月22日週始めには60%まで下がっているようなので、5月25日深夜の前回FOMC議事録公表前後の地区連銀総裁発言には注意が必要です。FRBの過去の姿勢を踏まえると、6月利上げをするなら(しないなら)、そろそろ市場の間違った解釈を正そうとするはずです。

 (事例1) FOMC政策金利(2017年5月4日発表結果検証済)
 (事例2) FOMC議事録(2017年5月25日公表結果検証済)

(2) 財政政策

米国GDPに対し公共投資が与える影響は、日本の場合に比して小さなものです(絶対額でなく比率で考察)。従って、政府予算の配分が変わることは経済的な直接効果よりも、関連法規改正などで予算配分が増えた分野への政府支援が強まる間接効果となります(日本の場合は直接効果が大きい)。にも関わらず、そうした政策変更は、JPYに対してよりもUSDに対して大きく影響が現れがちな点が不思議です。

がしかし、4月26日に米政府が発表した税制改革案は、そういう次元とちょっと違います。その骨子は、法人税と海外還流利益への減税と、個人の税率区分を現行7段階から3段階に簡略化すること、でした。ここで注目すべき点は海外還流益減税です。

米企業の海外保有益は約2.6兆ドル(日本のGDPの約半分)とされています。日本で以前話題になった政府埋蔵金と同じく、この数字の精度は怪しいものです。がしかし、大金であることに違いありません。トランプ大統領は、税率を下げる代わりにこの金を持って帰れ、と言っている訳です。
これは難しい。

通常、企業が海外で事業収入を得ても、そのお金を国内に還流させるのは容易ではありません。相手国側から見れば、それでは海外資本によって自国民が搾取されたのと同じ構図になるからです。特に、ほとんどの中進国・後進国では、こうした利益移転を法律で厳しく制限しています。現実問題として利益還流なんてまずできない仕組みになっているのは、中国だけではありません。

この政策が実現できるなら、先進国でも多くの反対論が出る一方、日欧英は内心で大賛成でしょう。企業にとっての二重課税回避に向けて、カナダ・オーストラリアを除くG5だけでもルール化が進めば、もしかするとTPPもEUも要らなくなるほど効果が高いのではないでしょうか。何しろ国境の壁が低くなるのです。
あれっ、トランプ政権の政策なのに。

ともあれ、色々な政策事案が5月は時間切れになりました。5月22日週は大統領が外遊中で、米議会は29日から1週間の休止です。中途半端なまま公的活動が止まる以上、報道で政権に悪い話こそあっても良い話が出るとは思えない状況ですね。5月23日には先に公表された予算案の細部詳細が発表されます。

(3) 景気指標

全体的に非常に良い数字が続いていた状況が、5月は陰り始めています。プラスのうちはまだ良いものの、一部の指標でマイナスが出始めました。現状を複雑にしかねないことに、景況感が悪化すると米債金利が上昇して株価が下がるにも関わらず、安全通貨のJPYが買われてしまいます。

(3-1) 総合・非製造業
4月分ISM非製造業総合指数は57.5で、前回結果55.2・市場予想55.8を上回りました。新規受注が63.2(前回結果58.9)で、2005年8月以来の高水準となり、総合指数の伸びの主因です。非製造業景気指数は62.4(前回結果58.9・市場予想58.4)でした。雇用指数は51.4で昨年8月来の低水準だったものの、50はキープしました。
UM(ミシガン大)速報値・景気先行指数も前月より上昇か横這いで、末端(消費者)調査では悪化の兆候がまだ現れいません。

 (事例1) ISM非製造業・総合景況指数(2017年6月5日発表結果検証済)
 (事例2) CB消費者信頼感(2017年4月25日発表結果検証済)
 (事例3) ミシガン大学消費者信頼感指数速報値/確報値(2017年2月11日発表結果検証済)

(3-2) 製造業
最も反応が大きい指標はISMです。ISMへの相関が強いと言われるのがPhil連銀景気指数で、Phil連銀景気指数への相関が強いと言われるのがNY連銀景気指数です。

4月分ISM製造業景気指数は54.8(市場予想56.5、前月結果57.2)と発表されました。2月には2年半ぶりとなる高い数値となっていたものの、その後2か月連続で低下しています。内訳は、新規受注指数が57.5(前回結果64.5)、雇用指数が52.0(前回結果58.9)でした。

5月分NY連銀指数は3か月連続の急降下で、とうとう7か月ぶりのマイナスに転じました。Phil連銀指数で3か月ぶりの大きな上昇転換が確認でき、USD買・株高で5月15日週を終えています。6月1日のISM製造業指数が上昇するか否かが、今後の雰囲気の決め手となるでしょう。

 (事例1) ISM製造業景況感指数(2017年5月1日発表結果検証済)
 (事例2) Phil連銀製造業景気指数(2017年5月18日発表結果検証済)
 (事例3) NY連銀製造業景気指数(2017年5月15日21:30発表結果検証済)

(4) 物価指標

FRBが注目しているというPCEコアデフレータが最重要だと思われます。物価は、材料→生産→消費へと下流に波及すると考えられるため、(事例4)→(事例1)へと影響が進む、と考えられます。但し、この話は単月の取引には役に立たない一般論です。

4月分PPI・CPIは上昇に転じています。

 (事例1) PCEコアデフレータ(2017年5月30日発表結果検証済)
 (事例2) 消費者物価指数(CPI)(2017年5月12日発表結果検証済)
 (事例3) 生産者物価指数(PPI)(2017年5月11日発表結果検証済)
 (事例4) 輸入物価指数(2017年5月10日発表結果検証済)

(5) 雇用指標

景気を表すのは新規雇用者数と失業率で、これらについては既にFRB幹部も満足しています。だから、最近は景気を後押しする平均時給の伸びが注目されています。インフレ圧力が強まっているのに、賃金が伸びなければいずれ好調な個人消費が減少に転じ、それが経済成長を阻むと考えられているから、です。

5月5日に発表された4月雇用統計では、非農業部門雇用者数が21.1万人(市場予想18.5万人・前回結果7.9万人)、失業率が4.4%で2007年5月以来の約10年ぶりの低水準でした。時間当たり賃金は前月比0.07ドル(+0.3%)で、前年比+2.5%は2016年8月以来の低水準でした。

ここ最近の平均時給は5セントずつぐらい前月より増えています。月160hと考えると、毎月8ドル=年100ドル近い訳ですから、日本のバブル期終盤に相当する賃上げペースです。
これはすごい。インフレ率が高くたって若い人は週末遊びまくりです(米国がそうかどうかは知りません)。

 (事例1) 雇用統計(2017年6月2日発表結果検証済)
 (事例2) ADP民間雇用者数(2017年6月1日発表結果検証済)


【4-2-2. 経済情勢指標】

(1) 経済成長

財政収支・国際収支の赤字が続いていても、主要先進国において米国経済は最も好調です。そういう実態を踏まえると、素人にも現状の景気の良し悪しを最もわかりやすく表しているのがGDPなのでしょう。

4月28日、商務省が発表した1-3月期GDP速報値は前期比+0.7%(市場予想+1.0%、前回確報値+2.1%)で、3年ぶりに小さな伸び率でした。
個人消費停滞(それほど悪い数字という訳ではない)と企業在庫減少が原因に挙げられる一方、この数字が実態経済の底堅さを反映していない可能性も指摘されています。というのも、以前から年率換算GDPの算出方法には問題があることが指摘されています。ほぼ最大雇用状態で賃金上昇も続いており、1-3月期の景気指標は軒並みプラスとなっているにも関わらず、こんな数字になるはずない、という訳です。
中国の統計部門が聞いたら喜ぶ話かも知れません。

ともあれ、今回の数字の低さは一時的と見なせ、4-6月期には再び成長が加速すると見なす向きが多いようです(当会所感)。但し、こうした解説記事が5月26日に発表される改定値で数字が良くなるとは言っていないのでご注意を。

 (事例1) 四半期GDP速報値(2017年4月28日発表結果速報済)
 (事例2) 四半期GDP改定値(2017年5月26日発表結果検証済)
 (事例3) 四半期GDP確定値(2017年3月30日発表結果検証済)

(2) 国際収支

最近の傾向は毎月400億ドルの貿易赤字が続いています。毎月400億ドルという大きさは、年間で日本の国家予算並みということですよね。米国の経済規模というのは本当にすごいのですね。本指標は、貿易赤字が多少増えようが減ろうが、発表直後の反応方向に関係なく、そして反応が比較的大きい傾向があること、です。少し変な指標です。

貿易赤字縮小が米政権の政治課題に挙がっており、USDJPYへの影響が直接・間接的に大きくなるでしょう。2月分データ(4月発表)で特記すべき点は、中国からの輸入が27%も減り、日独からの輸入も減った点です。米国の場合、これは物価上昇を招く兆候と見なせます。

5月4日に発表された3月分貿易収支は437.06億ドル(市場予想445億ドル)でした。輸出入ともに減っており、景気減速の予兆でなければ良いのですが。
本結果では対日・対メキシコでの貿易赤字が増加し、ロス商務庁長官が二国間協議による是正を求める旨、発言しています。

 (事例1) 貿易収支(2017年4月4日発表結果検証済)

(3) 実態指標

「消費」や「住宅」が景気に関わるというのはわかるような気がします。がしかし、米国で「製造」が経済に与える影響は為替を動かすほど大きいのか、どうもピンとこないまま調査や分析を怠っていました。「住宅」は、もともとあまり反応しません。
やはり基本は、米国GDPの70%を占めるというPCEです。

(3-1) 消費
米国GDPの約70%は個人消費が占めています。

4月28日発表された1-3月期PCE(個人消費)は+0.3%で、2009年10-12月期以来の低水準でした。それは仕方ないことだとしても、気に入らないのはその原因が、暖冬の影響で光熱費が減ったためだった、という解説記事がありました。寒けりゃ寒いで、温けりゃ温いで、どっちにしても1-3月期は駄目な理由がいつも天候要因ばかりです。

さすがにロイターは違います。 ロイターの挙げた1-3月期PCE速報値の低迷原因は、

  • 前回10-12月期確報値が、2011年4-6月期以来の伸び率だった反動という可能性、
  • 昨年度分の税還付が今年は遅れたため、消費行動が例年より遅れた可能性、
  • 1-3月期は10-12月期よりも貯蓄が増えており、その分の消費が減った可能性、

を指摘しています。分析とはこうでなくちゃ。

 (事例1) 四半期PCE速報値(2017年4月28日発表結果速報済)
 (事例2) 四半期PCE改定値(2017年5月26日発表結果検証済)
 (事例3) 四半期PCE確定値(2017年3月30日発表結果検証済)
 (事例4) PCE(2017年5月30日発表結果検証済)
 (事例5) 小売売上高(2017年5月12日発表結果検証済)

(3-2) 住宅
FX会社HPなどでは注目度や重要度が高く評価されている指標もあります。反応は素直な傾向が目立つものの、注目度の割に反応が小さい指標ばかりです。

4月25日、米商務省が3月新築住宅販売戸数(季節調整済み)を発表し、年率換算で前月比+5.8%・前年比+15.6%の62.1万件(市場予想58.3万件)と、2016年年7月以来8か月ぶりの高水準でした。
住宅市場全体の約10%を占める新築一戸建ては、売り上げが3か月連続で伸びています。背景には、失業率の低下に加えて、住宅ローン金利が歴史的にみて低い水準であること、中古住宅が在庫不足となっていること、が挙げられます。

好調が続いた反動か、5月16日に発表された4月住宅着工件数・4月建設許可件数は前月比が△2.5%付近となっています。5月22日週には販売件数が発表されます。

 (事例1) 中古住宅販売件数(2017年5月24日発表結果検証済)
 (事例2) 新築住宅販売件数(2017年5月23日発表結果検証済)
 (事例3) 建設支出(2017年4月3日発表結果検証済)

(3-3) 製造
製造業(エネルギー分野を含む)は、米国GDPの約12%を占めています。だから、製造業の好不調が米国経済に与える影響は小さい、と捉えています。雇用指標や景気指標に影響すると考えているので記録を取って見ていますが、反応は大したことありません。

4月27日、商務省の発表した3月耐久財受注前月比は+0.7%(市場予想+1.3%、前回結果+2.3%)でした。コア受注前月比が+0.2%(市場予想+0.5%、前月結果+0.1%)でした。GDP算出に用いられるコア資本財出荷は+0.4%で、エネルギー分野の回復を背景に企業投資が加速しつつあることを示唆しています。

内訳は次の通りです。
機械受注は△0.2%で出荷は+0.7%、民間航空機受注+7.0%、自動車△0.8%となっています。航空機受注を特殊な出来事と見なすと、製造業全体としては最近の好業績からの失速が心配されます。
前月比の数字が良かった原因は、別の統計資料が示しているエネルギー分野の回復によると考えられています。米国内石油掘削リグ稼働数が2年ぶりの高水準で、リグ数が14週連続増加しているそうです。5月のシェールオイル生産量は2年超ぶりの増加となる見込みと伝えられており、米貿易収支への好影響も示唆しています。

5月4日、米商務省は3月分製造業受注が前月比+0.2%(市場予想+0.4%)・前年比+5.2%と発表しました。前回2月分発表値は+1.0%から+1.2%へと上方改定されました。

5月16日、4月鉱工業生産指数が発表され、製造業が+1.0%となり3年2カ月ぶりの大きな伸びとなりました。自動車生産が+5.0%と急拡大しており、これが数値改善の主因のようです。
製造業の設備稼働率は75.9%となり、製造業以外も含めた全体の設備稼働率は76.7%でした。米国では悪い数字ではありません。

 (事例1) 鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率(2017年5月16日22:15発表結果検証済)
 (事例2) 耐久財受注(2017年3月24日発表結果検証済)
以上




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4-1. 日本経済指標DB(2017年5月版、5月21日改訂)

日本の経済指標発表前後の取引はUSDJPYで行っています。
指標そのものへの反応は小さく、取引には向きません。ただ、円クロス取引の基準となるため動きに注目しています。

政治的には、4月に続いたリスク回避によるJPY買の動きから一転、4月下旬から5月上旬は仏大統領選終了によるリスク選好によるJPY売、中旬からはロシアゲートや米経済指標の陰りが焦点のUSD売での動きとなっています。

経済的には、日本1-3月期GDP速報値は好調だったものの、直後反応が限定されており、その後もこの件を材料にしたJPY買の動きは見受けられません。その他、米抜きTPP協議や東芝問題といった国内情勢よりも、米国の3月対日貿易赤字拡大や米1-3月GDP速報値の低下といった米側事情中心の動きです。

5月末にかけて、日本4月CPI・米国1-3月期GDP改定値が予定されており、内容次第でJPY優勢>USD劣勢の印象が固まります。米国側の6月利上げに対し、ここにきて地区連銀総裁から疑問を呈する発言が見られるのも気にかかります。


【4-1-1. 政策決定指標】

(1) 金融政策

政策金利及び政策発表は、金融政策決定会合終了次第となっており、時間が不定時です。ほぼ正午前後に発表されますが、大きな政策変更があるときには発表が遅れるというジンクスがあります。

5月2日、日銀は3月15・16日の金融政策決定会合の議事要旨を公表しました。その要点は次の通りです。

  • 結論は現状維持です。その根拠は、コアコアCPIが小幅プラスで一進一退で勢いがいまひとつとの認識を共有し、金利上昇に向けて政策転換を考える時期でないため、です。
  • 2月に散発的な金利上昇に対応して国債買入額を増やしました。その結果、一時的に年率換算で90兆円前後まで、国債購入額が膨らみました。このことについて、買入額はその時々の状況によって増減するものなので、長期金利に目標を設定すると大幅買い入れを余儀なくされるとの弱点が顕現化した、との指摘がありました。特に、その対策について議論はなかったようです。
  • 金融政策の目的は物価の安定と国際的に共有されており、日銀の金融政策も十分理解が得られているとの認識を示しました。
  • 景気の先行きは「緩やかな拡大に転じていく」との見方を共有しました。

4月26-27日の金融政策決定会合では、

  • 長期金利目標を0%程度、短期金利目標を△0.1%の現状維持、
  • 国債保有残高を年間約80兆円増加させるペースの現状維持、

を決定しました。

5月2日には、日銀はマネタリーベース(資金供給量)の4月末残高が462.2兆円と発表しました。2か月連続で過去最高を更新しています。マネタリーベースとは、市中の現金と金融機関の手元資金を示す日銀当座預金残高の合計のことです。
日銀は、昨年9月の金融政策決定会合で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和(QQE)」を導入し、政策の軸足をそれまでの「量」から「金利」に転換しています。同時に物価が目標の2%を超えるまでマネタリーベースを増やすとの方針も追加し、巨額の国債買い入れを継続しています。

(2) 景気指標

短観は日銀金融政策の判断材料とされています。景気指標への反応は、日欧が小さく米英が大きいという傾向があります。報道では大きく扱われますが、ほぼ反応がないため取引は行いません。

4月3日に発表された短観では、企業景況感が、大企業製造業/非製造業・中堅/中小企業の全規模で改善していました。この結果は、2016年度が前回調査から増益修正となったことが影響した可能性が指摘されています。2017年度は全産業で増収減益見通しです。その他、注目すべき点として、雇用人員判断が1992年以来の不足超幅となっていました。

4月27日に公表した日銀「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、景気判断を「緩やかな拡大に転じつつある」に上方修正しました。景気判断で、この「拡大」という表現を用いるのは2008年3月以来約9年ぶりだそうです。

(3) 物価指標

金融・財政政策に影響を与えるため記録していますが、ほとんど動かない指標のため、取引には向いていません。

なお、海外におけるコアCPIに相当するのは、全国消費者物価指数のコアコアCPIです。日本におけるコアCPIは生鮮食料品だけを除き、エネルギーを除いていません。日銀が目標とする物価上昇率2%とは、このコアCPIの年率+2%を指しています。

4月27日に公表した日銀「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2017年度のコアCPIを+1.4%(1月発表時+1.5%)、2018年度は+1.7%(1月発表時同値)との見通しを示しました。2%の消費税率引き上げの影響を+0.5%と見立てた目標2%の到達時期は「2018年度頃になる可能性が高い」との見通しは以前のままでした。

がしかし、4月28日、総務省が発表した3月全国消費者物価指数は、コアCPIが前年比+0.2%にしか達していません。先行指標の4月東京都区部の指数は、前年比△0.1%(3月△0.4%)とマイナス改善に留まっており、プラス改善が続く状態にするにはまだまだ時間を要することが示唆されています。

ただ、5月15日に発表された4月企業物価指数(速報)では前年比+2.1%で、消費税率引上げの影響を除いたベースで3年3か月ぶりの高水準でした。前月比も+0.2%で、円安と原油高による原材料価格上昇が原因と考えられ、前年比プラス幅拡大が継続する状況です。

5月18日に発表されたGDPデフレータ前年比は10-12月期△0.1%から1-3月期△0.6%に悪化しました。1-3月期経常収支は6兆円弱(10-12月期は4兆円強)にも拡大しているにも関わらず、国内に残った総価値が減っているということでしょうか。

 (事例1) 全国消費者物価指数(CPI)(2017年5月26日発表結果検証済)
 (事例2) GDPデフレータ速報値(2017年5月18日発表結果検証済)

【4-1-2. 経済情勢指標】

基本的には、指標結果の直接的影響よりも株価を通じた間接的影響がUSDJPYに影響しているようです。
(1) 経済成長

米国・中国・EUに次ぐ経済規模なのに、なぜこの程度しか反応しないのか、昔から不思議です。とはいえ、速報値は、日本指標の中ではBOJ(日銀)政策金利発表時に次いで動くようです。

2017年1-3月期は前年比+2.2%に達し、この数字だけなら米欧英に劣っていません。内訳では個人消費が前期0%に対し今期+0.4%なので、分母の大きな個人消費が増えていたことが寄与したと思われます。

失業率が下がって賃上げ効果が表れ始めているのかも知れません。連合が集計した直近の賃上げ率は+1.99%(昨年2.02%)です。年収1200万ならば月平均2万円、600万なら月平均1万円に相当します。年収300万なら5千円で、特にこの階層は収入が増えた分だけ消費に回る率が高いでしょう。
基調が高齢化率上昇によるマイナスバイアスがある点を踏まえると、賃上げ率2%前後というのは非常に大きな意味がある数字なのかも知れません。
ただ、日本の1-3月期は卒業・入学準備・転勤と、もともと1年で最も個人の出費が大きい季節です。そのせいか、1-3月期は10-12月期より上昇し、次の4-6月期に落ち込む傾向があります。過去3年連続で1-3月期がその年のほぼ最高、4-6月期はその年の最低の数字となっています。

外需は+0.1%で、貿易収支が輸出+2.1%・輸入+1.4%とともに伸びての黒字継続中です。中国向け輸出が好調で、中国の景気減速が囁かれるなかでこれは意外です。1-2年ぐらい前までの政治的な冷却期間があって、設備の保守・更新にちょうど良い期間が開いたのかも知れません。

設備は+0.2%で、前期の+1.9%から大きく減速しました。これは企業が1-3月期の設備投資を減らして年度経常収支を積み上げがちなので、プラスである限り問題ないでしょう。先の日銀短観における2017年度の設備投資計画が前年度よりプラスなので、4-6月期はここに期待です。

 (事例1) 四半期GDP速報値(2017年5月18日発表結果検証済)

(2) 国際収支

貿易収支と経常収支で反応に結び付くのは貿易収支の方です。がしかし、発表前後の反応はほとんどありません。反応は09:00からの株取引が始まってからの方が大きく現れがちです。日本の対米・対中収支は、政治的発言・事件によって景気や為替に影響を与えます。

2016年度貿易収支は4兆69億円の黒字で、年度黒字化は6年ぶりです。 対米黒字は6兆6294億円で8.2%減となり、減少は5年ぶりです。なお、2016年度年足は、始値112.6円・高値118.7円・安値99.1円・終値111.4円で、陰線でした。

さて、中国国家統計局は4月17日に1-3月期GDPが+6.9%(2017年の成長率目標は6.5%前後)と発表しました。中国では、今年が5年に1度の共産党大会の年で、党大会の年には経済に限らず各種業績が好調になりがちでした。最近はリスクが強調されて関心が薄れていますが、中国経済の好不調は日本の輸出や製造に大きく関わります。3月の中国向け輸出額は1兆2995億円と過去2番目だったようです。

5月3日、米商務省は3月貿易収支を発表し、このなかで対日赤字は約9年ぶりの高水準になっていました。ロス米商務長官は「米国はこれ以上(の貿易赤字に)耐えられない」とする声明を発表しました。同長官は貿易不均衡の是正に向け2国間協議に意欲を示しています。 5月11日には日本側の3月貿易収支の発表が予定されています。

5月22日、通関ベース貿易収支は4800億円の黒字でした。輸出前年比が+7.5%、輸入前年比が+15.1%で、ともに拡大の上での黒字でした。主要増加輸出品目は、半導体等製造装置が+29.9%、鉄鋼が+18.1%、原動機が+16.4%で、主要増加輸入品目は、原粗油が+61.0%、石炭が+78.8%、通信機が+57.2%です。関心の高い地域別では、対米黒字額こそ△4.2%でしたが、輸出だけを見ると+2.6%で3か月連続増加となっていました。

 (事例1) 貿易収支・経常収支(2017年2月8日発表結果検証済)
 (事例2) 貿易統計(通関ベース)(2017年5月22日発表結果検証済)

(3) 実態指標

かつてよりも製造業はBtoB(企業-企業間取引)を重視しています。CPIではわからない動きを指標で掴むため、製造業の動向が必要です。非製造業には、金融・小売だけでなく発電などが含まれています。

全体的には反応が小さな指標ばかりで取引には向きません。
08:50の発表結果は、09:00からの東証寄り付きの反応方向と一致し、且つ、前日までのトレンド方向と一致するとき、10pipsを超える反応となりがちです。是非そういう機会は逃さないようにしたいものですね。

5月17日に発表された3月機械受注統計前月比・前年比は各+1.4%・△0.7%でした。
1-3月期の船舶・電力を除く民需受注額(季節調整値)は前期比△1.4減で、4-6月期の見通しも△5.9と減少です。内訳は、1-3月期製造業が前期比△4.2%・非製造業が同値で、4-6月期製造業が△1.1%・非製造業が△9.6%です。

同日発表された3月鉱工業生産確報値は△1.9%と、2月3.2%を大きく下回りました。もし季節要因があるのなら、昨年は4月・5月と悪化が続いているので注意が必要です。

小売関係は取引するには絶望的に反応しないため、記録を取っていません。ただ、5月16日に発表された3月第3次産業活動指数(季節調整済)は前月比△0.2%でした。マイナスは2か月ぶりで、直近12回でマイナスは4回・プラスは6回です。内訳の11業種で前月比低下が4業種(金融・保険、事業者向けサービスを含む)、上昇が6業種(運輸業、郵便業を含む)です。

GDP改定値は下方修正されるかも知れませんね。

 (事例1) 機械受注(2017年6月12日08:50発表予定、事前分析済)
 (事例2) 鉱工業生産速報値・確報値(2017年2月14日発表結果検証済)
以上




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2017年05月20日

6-4. AUDJPY週次分析資料(2017年5月22日週)



6-4-1. 週足チャート

170522AUD C1.png

6-4-2. テクニカル分析

170522AUD T1.png

170522AUD T2.png

170522AUD C2.png

6-4-3. ファンダメンタル分析

170522AUD F1.png

170522AUD F2.png

170522AUD F3.png

170522AUD F4.png

以上

6-3. GBPJPY週次分析資料(2017年5月22日週)

6-3-1. 週足チャート

170522GBP C1.png

6-3-2. テクニカル分析

170522GBP T1.png

170522GBP T2.png

170522GBP C2.png

6-3-3. ファンダメンタル分析

170522GBP F1.png

170522GBP F2.png

170522GBP F3.png

170522GBP F4.png

以上

6-2. EURJPY週次分析資料(2017年5月22日週)

6-2-1. 週足チャート

170522EUR C1.png

6-2-2. テクニカル分析

170522EUR T1.png

170522EUR T2.png

170522EUR C2.png

6-2-3. ファンダメンタル分析

170522EUR F1.png

170522EUR F2.png

170522EUR F3.png

170522EUR F4.png

以上

6-1. USDJPY週次分析資料(2017年5月22日週)

6-1-1. 週足チャート

170522USD C.png

6-1-2. テクニカル分析

170522USD T1.png

170522USD T2.png

170522USD C2.png

6-1-3. ファンダメンタル分析

170522USD F1.png

170522USD F2.png

170522USD F3.png

170522USD F4.png

以上

2017年05月19日

2017年5月第3週成績と、5月第4週主要指標の過去反応pips

2017年5月第3週成績と、5月第4週主要指標の過去反応pips

【1. 今週成績及び所感】

2017年年初からの成績と、今週の成績を一覧集計しておきます。

20170515週成績.png

今週は4指標で取引を行い、取引時間は21分26秒、損益は+4,632円で、4勝でした。シナリオ単位では9勝3敗で、シナリオの実施見送り0、シナリオ外取引0でした。

成績表朱記部分の「年間合計」pipsにいつからか計算ミスがあったので訂正してあります。

【2. 次週主要指標の過去反応】

次週、5月第4週で関心を持っている指標を下表に纏めておきます。

20170522週予定.png

この表の右3列の数字は、過去の直後1分足跳幅・値幅・直後11分足値幅の平均pipsです。データはまだ、各指標の前回記事で用いた値ですから、最新の値にはなっていません(誤差が1-3pips程度あると思われます)。そのつもりでご覧ください。
以上










2017年05月18日

米国景気指標「Phil連銀景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年5月18日21:30発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年5月18日21:30に米国景気指標「Phil連銀景況指数」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。

本発表と同時に、米国雇用指標「週次新規失業保険申請件数」も発表されます。本分析には、その影響を踏まえていません。

本指標の要点は下表に整理しておきました。

1705米国PHIL100.png

次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。

  • まず、本指標で取引する上での注意点です。
    本来、あまり反応しない指標です。そして、過去の傾向から言えば、発表直後は素直に反応しがちな指標です。がしかし、現在の市場環境ではこんな小さな指標で分析が当たっても、指標への反応が長続きするとも思えません。

  • 指標については次の通りです。
    直近NY連銀指数がマイナスとなり、Phil連銀指数も悪化が予想されています(市場予想より下回るのではないでしょうか)。NY連銀指数の低下幅に対し、今回の市場予想は前回結果との低下幅が小さすぎます。

  • シナリオは次の通りです。
    (1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が79%となっています。
    (2) 直後1分足は、指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
    (3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びていたことは79%、方向一致時の両者終値同士を比べて反応が伸びていたことは53%です。追撃は様子を見ながら、利確を繰り返すと良いでしょう。

T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。

【1. 指標概要】

フィラデルフィア連銀管轄のペンシルバニア州・ニュージャージー州・デラウエア州の製造業の景況感と現状を指数化した指標です。
具体的内容は、仕入価格・販売価格・新規受注・出荷・入荷遅延・在庫水準・受注残・雇用者数・週平均就業時間などの11項目を、1ヶ月前と比較した現状と6ヶ月後の期待を、「良い」「同じ」「悪い」から選択して指数化したものです。
数値は0を分岐点に景気改善(+)・悪化(−)と読みます。

製造業景気指数は、ニューヨーク連銀製造業景気指数→フィラデルフィア連銀製造業景気指数→リッチモンド連銀製造業景気指数→シカゴ購買部協会景気指数→ISM製造業景気指数があります。ISM製造業景気指数の先行指標がフィラデルフィア連銀製造業景気指数で、フィラデルフィア連銀製造業景気指数の先行指標がニューヨーク連銀製造業景気指数、という見方があります。

【2. 既出情報

以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。

(2-1. 過去情報)

下図に過去の市場予想と発表結果を示します。

1705米国PHIL200.png

前回結果は22.0に対し市場予想は19.5、となっています。

直近のNY連銀製造業景況指数は、△1.00で、市場予想(+7.50)・前回結果(+5.20)を大きく下回りました。同指標はこれで3か月連続前月割れが続き、マイナスとなるのは7か月ぶりです。そのときの反応は陰線で、初期反応から4本目分足がどんと落ち、7本目に安値を付けました。

対して、今回本指標の市場予想は、前回結果に対し僅か2.5しか下回っていません、発表値は市場予想を下回るのではないでしょうか。

(2-2. 過去反応)

過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。

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【3. 定型分析】

(3-1. 反応性分析)

反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。

1705米国PHIL410.png

直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びていたことは79%、方向一致時の両者終値同士を比べて反応が伸びていたことは53%です。利確は早めが良いでしょう。

(3-2. 反応一致性分析)

反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。

1705米国PHIL420.png

直前1分足は陰線率が79%となっています。

(3-3. 指標一致性分析)

指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。

1705米国PHIL430.png

事後差異と直後1分足の方向一致率は75%となっており、初期反応は素直です。

【4. シナリオ作成】

以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。

(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が79%となっています。
(2) 直後1分足は、指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びていたことは79%、方向一致時の両者終値同士を比べて反応が伸びていたことは53%です。追撃は様子を見ながら、利確を繰り返すと良いでしょう。

以上




2017年5月18日21:30発表

以下は2017年5月19日に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】

(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1705米国PHIL510.png

指標は、前回結果(+22.0)・市場予想(+19.5)を大きく上回り38.8でした。その結果、反応も過去平均の跳幅9pips・値幅5pipsを大きく上回り、18pips・16pipsとなりました。

ただ、今回の発表でよくわからないのは、内訳が経営・設備・雇用・受注・支払の全てについて前回結果を下回ったにも関わらず、総合値が前回結果を大きく上回りました。原理的には、設備や雇用を抑えれば、受注が減っても減収増益となるものの、ちょっと変な感じです。

(5-2. 取引結果)

取引結果は次の通りでした。

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直前1分足・直後1分足は損切となりました。損切が早く傷口を広げずに済んだことが幸いでした。

【6. 分析検証】

(6-1. 分析検証)

事前調査・分析の内容は以下の通りでした。

  • 本来、あまり反応しない指標です。そして、過去の傾向から言えば、発表直後は素直に反応しがちな指標です。がしかし、現在の市場環境ではこんな小さな指標で分析が当たっても、指標への反応が長続きするとも思えません。

結果は、直後11分足跳幅が18pipsと、そこそこ大きな反応となりました。本指標への反応だけではありませんが、00:00前まで上昇が続いたようで、事前分析を完全に外しています。

  • 直近NY連銀指数がマイナスとなり、Phil連銀指数も悪化が予想されています(市場予想より下回るのではないでしょうか)。NY連銀指数の低下幅に対し、今回の市場予想は前回結果との低下幅が小さすぎます。

結果は、上述の通り、かなり大きく市場予想を上回りました。
これほど大きくNY連銀指数が食い違うと、NY連銀管轄諸州とPhil連銀管轄諸州の業種構成に踏み込まないと、当てるのは難しいのでしょう。

(6-2. シナリオ検証)

事前準備していたシナリオは次の通りです。

  • (1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が79%となっています。
    (2) 直後1分足は、指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
    (3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びていたことは79%、方向一致時の両者終値同士を比べて反応が伸びていたことは53%です。追撃は様子を見ながら、利確を繰り返すと良いでしょう。/li>

直前1分足・直後1分足は分析を外したので、仕方ありません。

下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。

1705米国PHIL530.png

以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

2017年05月17日

日本経済指標「四半期GDP速報値」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年5月18日08:50発表結果検証済)

以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。

2017年5月18日08:50に日本経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。

1705日本GDP速報100.png

上表の前回結果は、前回速報値でなく前回改定値を用いています。

T.調査・分析

公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。

【1. 指標概要】

GDPについての説明は不要だと思います。日本の経済指標はほとんど為替に影響がありません。多くの指標発表時刻は08:50で、反応があるときは09:00の東証寄付きで動きがあったときに限られる、と言っても構いません。反応が小さいことはGDP速報値ですら、です。

GDPデフレータは、名目GDPを実質GDPで割った%がGDPデフレータです。といっても良くわかりませんね。以下に説明します。

ある国では単価100円の製品を作ることが全ての経済活動で、そのために輸入材料単価10円を要している、と仮定します。そして、この年の生産数が10個だったとしましょう。この年の国内生産額は100円✕10個=1000円となり、輸入代金は10円✕10個=100円を要したことになります。
このとき、名目GDPは生産額ー輸入代金=900円です。

さて翌年、輸入原材が2倍に高騰して単価20円になったとします。材料費高騰分だけを売価に転嫁したところ販売数が減って生産数が9個になったとします。このとき、国内生産額は{(100円+(20円ー10円)}✕9個=990円となります。これに要した輸入代金は20円✕9個=180円です。
よって、名目GDPは(990円ー180円)✕9個=729円となります。

実質GDPは、前年を基準とすると、基準年価格での生産額100円✕9個=900円から材料費10円✕9個=90円を引いて求めます。よって、900円ー90円=810円が実質GDPです。
GDPデフレータは、名目GDP÷実質GDPなので、この場合(729円÷810円)✕100=90%となります。これを前年比△10%のデフレと言います。

でも変ですね。
ここで説明した例では輸入材料費だけ価格転嫁しているので、物価はこのとき上がっているのです。この物価上昇を表すのは消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)です。物価上昇を表すCPIやPPIと、デフレータが表すデフレは、このように逆になることがあります。

ならば、デフレータは何を表しているのでしょう。
国内に残った価値の増減を示しているのです。つまり、経済成長率がプラスでも、国内に残るモノやサービスが減ることはあり得ます。物価が上がっても所得が増えれば問題ありません。こうしたことをデフレータは表している訳です。ざっくり言えば、デフレータは豊かさが増えたか減ったかということを表す、みたいな指標です。
デフレータはわかりにくい指標ですね。

なお、これだけデフレータの説明に苦労したのに、本発表時に最も反応するのは年率換算値(GDP前年比)なのです。その点はお間違えなきように。

【2. 既出情報

以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの16回分のデータに基づいています。

(2-1. 過去情報)

下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
下図の発表結果は前回速報値で、改定値ではありません。

1705日本GDP速報200.png

1705日本GDP速報210.png

(2-2. 過去反応)

過去の直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。

1705日本GDP速報330.png

1705日本GDP速報340.png

【3. 定型分析】

あまり反応しない指標ですので手を抜いて、ポイントだけを以下に列記しておきます。

反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率は64%です。但し、方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びたことは89%です。方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応が伸びたことは67%です。

反応一致性分析の結果、直前1分足は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各25%・17%となっています。つまり、直後1分足・直後11分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い訳です。

指標一致性分析の結果、直前1分足は事前差異との方向一致率が75%です。がしかし、残念ながら今回の事前差異はプラスマイナスゼロです。よって、参考になりません。
また、直前10-1分足は実態差異との方向一致率が29%です。前回結果に対し発表結果が直前10-1分足と逆方向になりがちです。がしかし、残念ながら実態差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各36%・60%と、ポジションを取る水準に達していません。

【4. シナリオ作成】

以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。

(1) 直後1分足は、反応一致性分析の結果、直前1分足との方向一致率が25%です。つまり、直後1分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い訳です。
(2) 直後11分足は、反応一致性分析の結果、直前1分足との方向一致率が17%です。直後11分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高いのです。
但し、反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率は64%です。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びたことは89%です。方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応が伸びたことは67%です。
よって、追撃は短時間が良いでしょう。

以上




2017年5月18日08:50発表

以下は2017年5月19に追記しています。
U. 結果・検証

【5. 発表結果】

(5-1. 指標結果)

本指標発表結果及び反応は次の通りでした。

1705日本GDP速報510.png

結果は前期比・前年比ともに前回結果・市場予想を大きく上回る内容でした。にも関わらず、反応は直後1分足がたった2pipsの陽線、直後11分足は上下に5pipsのヒゲを持つ同値終了でした。

内容を見ると、この伸びは個人消費が+0.4%(前期は+0%)が牽引しています。がしかし、設備投資は+0.2%(前期は+2.0%)と伸びが大幅に減っています。ただ、日本企業の設備投資は1-3月期は残予算消化が多く、年度損益を良くするために1-3月期の出費を抑える傾向があります。よって、来期以降への悪影響をそれほど気にする必要はない、と考えられます。

(5-2. 取引結果)

残念ながら、この時間は取引できませんでした。まぁほとんど反応しなかったようなので構いません。

【6. 分析検証】

(6-1. 分析検証)

ほとんど反応しないので、事前分析は行っていません。

(6-2. シナリオ検証)

取引はできなかったものの、シナリオを検証しておきます。

(1) 事前分析では、反応一致性分析の結果、直後1分足と直前1分足との方向一致率が25%です。つまり、直後1分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い、と捉えていました。
結果は、同じ方向に反応しました。

(2) 事前分析では、反応一致性分析の結果、直後11分足と直前1分足との方向一致率が17%で、直後11分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い、と捉えていました。但し、反応性分析の結果では、直後1分足と直後11分足の方向一致率は64%です。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びたことは89%です。方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応が伸びたことは67%です。
結果は、直後11分足の反応が伸びずに終わりました。
以上



ーーー注記ーーー

本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。

ーーー注記ーーー

本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上

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