2017年05月17日
日本経済指標「四半期GDP速報値」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年5月18日08:50発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年5月18日08:50に日本経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
上表の前回結果は、前回速報値でなく前回改定値を用いています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
GDPについての説明は不要だと思います。日本の経済指標はほとんど為替に影響がありません。多くの指標発表時刻は08:50で、反応があるときは09:00の東証寄付きで動きがあったときに限られる、と言っても構いません。反応が小さいことはGDP速報値ですら、です。
GDPデフレータは、名目GDPを実質GDPで割った%がGDPデフレータです。といっても良くわかりませんね。以下に説明します。
ある国では単価100円の製品を作ることが全ての経済活動で、そのために輸入材料単価10円を要している、と仮定します。そして、この年の生産数が10個だったとしましょう。この年の国内生産額は100円✕10個=1000円となり、輸入代金は10円✕10個=100円を要したことになります。
このとき、名目GDPは生産額ー輸入代金=900円です。
さて翌年、輸入原材が2倍に高騰して単価20円になったとします。材料費高騰分だけを売価に転嫁したところ販売数が減って生産数が9個になったとします。このとき、国内生産額は{(100円+(20円ー10円)}✕9個=990円となります。これに要した輸入代金は20円✕9個=180円です。
よって、名目GDPは(990円ー180円)✕9個=729円となります。
実質GDPは、前年を基準とすると、基準年価格での生産額100円✕9個=900円から材料費10円✕9個=90円を引いて求めます。よって、900円ー90円=810円が実質GDPです。
GDPデフレータは、名目GDP÷実質GDPなので、この場合(729円÷810円)✕100=90%となります。これを前年比△10%のデフレと言います。
でも変ですね。
ここで説明した例では輸入材料費だけ価格転嫁しているので、物価はこのとき上がっているのです。この物価上昇を表すのは消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)です。物価上昇を表すCPIやPPIと、デフレータが表すデフレは、このように逆になることがあります。
ならば、デフレータは何を表しているのでしょう。
国内に残った価値の増減を示しているのです。つまり、経済成長率がプラスでも、国内に残るモノやサービスが減ることはあり得ます。物価が上がっても所得が増えれば問題ありません。こうしたことをデフレータは表している訳です。ざっくり言えば、デフレータは豊かさが増えたか減ったかということを表す、みたいな指標です。
デフレータはわかりにくい指標ですね。
なお、これだけデフレータの説明に苦労したのに、本発表時に最も反応するのは年率換算値(GDP前年比)なのです。その点はお間違えなきように。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの16回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
下図の発表結果は前回速報値で、改定値ではありません。
過去の直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
あまり反応しない指標ですので手を抜いて、ポイントだけを以下に列記しておきます。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率は64%です。但し、方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びたことは89%です。方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応が伸びたことは67%です。
反応一致性分析の結果、直前1分足は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各25%・17%となっています。つまり、直後1分足・直後11分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い訳です。
指標一致性分析の結果、直前1分足は事前差異との方向一致率が75%です。がしかし、残念ながら今回の事前差異はプラスマイナスゼロです。よって、参考になりません。
また、直前10-1分足は実態差異との方向一致率が29%です。前回結果に対し発表結果が直前10-1分足と逆方向になりがちです。がしかし、残念ながら実態差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各36%・60%と、ポジションを取る水準に達していません。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直後1分足は、反応一致性分析の結果、直前1分足との方向一致率が25%です。つまり、直後1分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い訳です。
(2) 直後11分足は、反応一致性分析の結果、直前1分足との方向一致率が17%です。直後11分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高いのです。
但し、反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率は64%です。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びたことは89%です。方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応が伸びたことは67%です。
よって、追撃は短時間が良いでしょう。
以下は2017年5月19に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比・前年比ともに前回結果・市場予想を大きく上回る内容でした。にも関わらず、反応は直後1分足がたった2pipsの陽線、直後11分足は上下に5pipsのヒゲを持つ同値終了でした。
内容を見ると、この伸びは個人消費が+0.4%(前期は+0%)が牽引しています。がしかし、設備投資は+0.2%(前期は+2.0%)と伸びが大幅に減っています。ただ、日本企業の設備投資は1-3月期は残予算消化が多く、年度損益を良くするために1-3月期の出費を抑える傾向があります。よって、来期以降への悪影響をそれほど気にする必要はない、と考えられます。
残念ながら、この時間は取引できませんでした。まぁほとんど反応しなかったようなので構いません。
ほとんど反応しないので、事前分析は行っていません。
取引はできなかったものの、シナリオを検証しておきます。
(1) 事前分析では、反応一致性分析の結果、直後1分足と直前1分足との方向一致率が25%です。つまり、直後1分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い、と捉えていました。
結果は、同じ方向に反応しました。
(2) 事前分析では、反応一致性分析の結果、直後11分足と直前1分足との方向一致率が17%で、直後11分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い、と捉えていました。但し、反応性分析の結果では、直後1分足と直後11分足の方向一致率は64%です。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びたことは89%です。方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応が伸びたことは67%です。
結果は、直後11分足の反応が伸びずに終わりました。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年5月18日08:50に日本経済指標「四半期GDP速報値」が発表されます。今回発表は2017年1-3月期分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
上表の前回結果は、前回速報値でなく前回改定値を用いています。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
GDPについての説明は不要だと思います。日本の経済指標はほとんど為替に影響がありません。多くの指標発表時刻は08:50で、反応があるときは09:00の東証寄付きで動きがあったときに限られる、と言っても構いません。反応が小さいことはGDP速報値ですら、です。
GDPデフレータは、名目GDPを実質GDPで割った%がGDPデフレータです。といっても良くわかりませんね。以下に説明します。
ある国では単価100円の製品を作ることが全ての経済活動で、そのために輸入材料単価10円を要している、と仮定します。そして、この年の生産数が10個だったとしましょう。この年の国内生産額は100円✕10個=1000円となり、輸入代金は10円✕10個=100円を要したことになります。
このとき、名目GDPは生産額ー輸入代金=900円です。
さて翌年、輸入原材が2倍に高騰して単価20円になったとします。材料費高騰分だけを売価に転嫁したところ販売数が減って生産数が9個になったとします。このとき、国内生産額は{(100円+(20円ー10円)}✕9個=990円となります。これに要した輸入代金は20円✕9個=180円です。
よって、名目GDPは(990円ー180円)✕9個=729円となります。
実質GDPは、前年を基準とすると、基準年価格での生産額100円✕9個=900円から材料費10円✕9個=90円を引いて求めます。よって、900円ー90円=810円が実質GDPです。
GDPデフレータは、名目GDP÷実質GDPなので、この場合(729円÷810円)✕100=90%となります。これを前年比△10%のデフレと言います。
でも変ですね。
ここで説明した例では輸入材料費だけ価格転嫁しているので、物価はこのとき上がっているのです。この物価上昇を表すのは消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)です。物価上昇を表すCPIやPPIと、デフレータが表すデフレは、このように逆になることがあります。
ならば、デフレータは何を表しているのでしょう。
国内に残った価値の増減を示しているのです。つまり、経済成長率がプラスでも、国内に残るモノやサービスが減ることはあり得ます。物価が上がっても所得が増えれば問題ありません。こうしたことをデフレータは表している訳です。ざっくり言えば、デフレータは豊かさが増えたか減ったかということを表す、みたいな指標です。
デフレータはわかりにくい指標ですね。
なお、これだけデフレータの説明に苦労したのに、本発表時に最も反応するのは年率換算値(GDP前年比)なのです。その点はお間違えなきように。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの16回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
下図の発表結果は前回速報値で、改定値ではありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
あまり反応しない指標ですので手を抜いて、ポイントだけを以下に列記しておきます。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率は64%です。但し、方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びたことは89%です。方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応が伸びたことは67%です。
反応一致性分析の結果、直前1分足は直後1分足・直後11分足との方向一致率が各25%・17%となっています。つまり、直後1分足・直後11分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い訳です。
指標一致性分析の結果、直前1分足は事前差異との方向一致率が75%です。がしかし、残念ながら今回の事前差異はプラスマイナスゼロです。よって、参考になりません。
また、直前10-1分足は実態差異との方向一致率が29%です。前回結果に対し発表結果が直前10-1分足と逆方向になりがちです。がしかし、残念ながら実態差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率は各36%・60%と、ポジションを取る水準に達していません。
【4. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直後1分足は、反応一致性分析の結果、直前1分足との方向一致率が25%です。つまり、直後1分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い訳です。
(2) 直後11分足は、反応一致性分析の結果、直前1分足との方向一致率が17%です。直後11分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高いのです。
但し、反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の方向一致率は64%です。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びたことは89%です。方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応が伸びたことは67%です。
よって、追撃は短時間が良いでしょう。
以上
2017年5月18日08:50発表
以下は2017年5月19に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前期比・前年比ともに前回結果・市場予想を大きく上回る内容でした。にも関わらず、反応は直後1分足がたった2pipsの陽線、直後11分足は上下に5pipsのヒゲを持つ同値終了でした。
内容を見ると、この伸びは個人消費が+0.4%(前期は+0%)が牽引しています。がしかし、設備投資は+0.2%(前期は+2.0%)と伸びが大幅に減っています。ただ、日本企業の設備投資は1-3月期は残予算消化が多く、年度損益を良くするために1-3月期の出費を抑える傾向があります。よって、来期以降への悪影響をそれほど気にする必要はない、と考えられます。
(5-2. 取引結果)
残念ながら、この時間は取引できませんでした。まぁほとんど反応しなかったようなので構いません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
ほとんど反応しないので、事前分析は行っていません。
(6-2. シナリオ検証)
取引はできなかったものの、シナリオを検証しておきます。
(1) 事前分析では、反応一致性分析の結果、直後1分足と直前1分足との方向一致率が25%です。つまり、直後1分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い、と捉えていました。
結果は、同じ方向に反応しました。
(2) 事前分析では、反応一致性分析の結果、直後11分足と直前1分足との方向一致率が17%で、直後11分足は直前1分足と逆方向に反応する確率が高い、と捉えていました。但し、反応性分析の結果では、直後1分足と直後11分足の方向一致率は64%です。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びたことは89%です。方向一致時に直後11分足終値が直後1分足終値を超えて反応が伸びたことは67%です。
結果は、直後11分足の反応が伸びずに終わりました。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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