2017年05月18日
米国景気指標「Phil連銀景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年5月18日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年5月18日21:30に米国景気指標「Phil連銀景況指数」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本発表と同時に、米国雇用指標「週次新規失業保険申請件数」も発表されます。本分析には、その影響を踏まえていません。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
フィラデルフィア連銀管轄のペンシルバニア州・ニュージャージー州・デラウエア州の製造業の景況感と現状を指数化した指標です。
具体的内容は、仕入価格・販売価格・新規受注・出荷・入荷遅延・在庫水準・受注残・雇用者数・週平均就業時間などの11項目を、1ヶ月前と比較した現状と6ヶ月後の期待を、「良い」「同じ」「悪い」から選択して指数化したものです。
数値は0を分岐点に景気改善(+)・悪化(−)と読みます。
製造業景気指数は、ニューヨーク連銀製造業景気指数→フィラデルフィア連銀製造業景気指数→リッチモンド連銀製造業景気指数→シカゴ購買部協会景気指数→ISM製造業景気指数があります。ISM製造業景気指数の先行指標がフィラデルフィア連銀製造業景気指数で、フィラデルフィア連銀製造業景気指数の先行指標がニューヨーク連銀製造業景気指数、という見方があります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
前回結果は22.0に対し市場予想は19.5、となっています。
直近のNY連銀製造業景況指数は、△1.00で、市場予想(+7.50)・前回結果(+5.20)を大きく下回りました。同指標はこれで3か月連続前月割れが続き、マイナスとなるのは7か月ぶりです。そのときの反応は陰線で、初期反応から4本目分足がどんと落ち、7本目に安値を付けました。
対して、今回本指標の市場予想は、前回結果に対し僅か2.5しか下回っていません、発表値は市場予想を下回るのではないでしょうか。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びていたことは79%、方向一致時の両者終値同士を比べて反応が伸びていたことは53%です。利確は早めが良いでしょう。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が79%となっています。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事後差異と直後1分足の方向一致率は75%となっており、初期反応は素直です。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が79%となっています。
(2) 直後1分足は、指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びていたことは79%、方向一致時の両者終値同士を比べて反応が伸びていたことは53%です。追撃は様子を見ながら、利確を繰り返すと良いでしょう。
以下は2017年5月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標は、前回結果(+22.0)・市場予想(+19.5)を大きく上回り38.8でした。その結果、反応も過去平均の跳幅9pips・値幅5pipsを大きく上回り、18pips・16pipsとなりました。
ただ、今回の発表でよくわからないのは、内訳が経営・設備・雇用・受注・支払の全てについて前回結果を下回ったにも関わらず、総合値が前回結果を大きく上回りました。原理的には、設備や雇用を抑えれば、受注が減っても減収増益となるものの、ちょっと変な感じです。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足・直後1分足は損切となりました。損切が早く傷口を広げずに済んだことが幸いでした。
事前調査・分析の内容は以下の通りでした。
結果は、直後11分足跳幅が18pipsと、そこそこ大きな反応となりました。本指標への反応だけではありませんが、00:00前まで上昇が続いたようで、事前分析を完全に外しています。
結果は、上述の通り、かなり大きく市場予想を上回りました。
これほど大きくNY連銀指数が食い違うと、NY連銀管轄諸州とPhil連銀管轄諸州の業種構成に踏み込まないと、当てるのは難しいのでしょう。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
直前1分足・直後1分足は分析を外したので、仕方ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年5月18日21:30に米国景気指標「Phil連銀景況指数」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
本発表と同時に、米国雇用指標「週次新規失業保険申請件数」も発表されます。本分析には、その影響を踏まえていません。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
本来、あまり反応しない指標です。そして、過去の傾向から言えば、発表直後は素直に反応しがちな指標です。がしかし、現在の市場環境ではこんな小さな指標で分析が当たっても、指標への反応が長続きするとも思えません。 - 指標については次の通りです。
直近NY連銀指数がマイナスとなり、Phil連銀指数も悪化が予想されています(市場予想より下回るのではないでしょうか)。NY連銀指数の低下幅に対し、今回の市場予想は前回結果との低下幅が小さすぎます。 - シナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が79%となっています。
(2) 直後1分足は、指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びていたことは79%、方向一致時の両者終値同士を比べて反応が伸びていたことは53%です。追撃は様子を見ながら、利確を繰り返すと良いでしょう。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
フィラデルフィア連銀管轄のペンシルバニア州・ニュージャージー州・デラウエア州の製造業の景況感と現状を指数化した指標です。
具体的内容は、仕入価格・販売価格・新規受注・出荷・入荷遅延・在庫水準・受注残・雇用者数・週平均就業時間などの11項目を、1ヶ月前と比較した現状と6ヶ月後の期待を、「良い」「同じ」「悪い」から選択して指数化したものです。
数値は0を分岐点に景気改善(+)・悪化(−)と読みます。
製造業景気指数は、ニューヨーク連銀製造業景気指数→フィラデルフィア連銀製造業景気指数→リッチモンド連銀製造業景気指数→シカゴ購買部協会景気指数→ISM製造業景気指数があります。ISM製造業景気指数の先行指標がフィラデルフィア連銀製造業景気指数で、フィラデルフィア連銀製造業景気指数の先行指標がニューヨーク連銀製造業景気指数、という見方があります。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
前回結果は22.0に対し市場予想は19.5、となっています。
直近のNY連銀製造業景況指数は、△1.00で、市場予想(+7.50)・前回結果(+5.20)を大きく下回りました。同指標はこれで3か月連続前月割れが続き、マイナスとなるのは7か月ぶりです。そのときの反応は陰線で、初期反応から4本目分足がどんと落ち、7本目に安値を付けました。
対して、今回本指標の市場予想は、前回結果に対し僅か2.5しか下回っていません、発表値は市場予想を下回るのではないでしょうか。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びていたことは79%、方向一致時の両者終値同士を比べて反応が伸びていたことは53%です。利確は早めが良いでしょう。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が79%となっています。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事後差異と直後1分足の方向一致率は75%となっており、初期反応は素直です。
【4. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が79%となっています。
(2) 直後1分足は、指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びていたことは79%、方向一致時の両者終値同士を比べて反応が伸びていたことは53%です。追撃は様子を見ながら、利確を繰り返すと良いでしょう。
以上
2017年5月18日21:30発表
以下は2017年5月19日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標は、前回結果(+22.0)・市場予想(+19.5)を大きく上回り38.8でした。その結果、反応も過去平均の跳幅9pips・値幅5pipsを大きく上回り、18pips・16pipsとなりました。
ただ、今回の発表でよくわからないのは、内訳が経営・設備・雇用・受注・支払の全てについて前回結果を下回ったにも関わらず、総合値が前回結果を大きく上回りました。原理的には、設備や雇用を抑えれば、受注が減っても減収増益となるものの、ちょっと変な感じです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足・直後1分足は損切となりました。損切が早く傷口を広げずに済んだことが幸いでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査・分析の内容は以下の通りでした。
- 本来、あまり反応しない指標です。そして、過去の傾向から言えば、発表直後は素直に反応しがちな指標です。がしかし、現在の市場環境ではこんな小さな指標で分析が当たっても、指標への反応が長続きするとも思えません。
結果は、直後11分足跳幅が18pipsと、そこそこ大きな反応となりました。本指標への反応だけではありませんが、00:00前まで上昇が続いたようで、事前分析を完全に外しています。
- 直近NY連銀指数がマイナスとなり、Phil連銀指数も悪化が予想されています(市場予想より下回るのではないでしょうか)。NY連銀指数の低下幅に対し、今回の市場予想は前回結果との低下幅が小さすぎます。
結果は、上述の通り、かなり大きく市場予想を上回りました。
これほど大きくNY連銀指数が食い違うと、NY連銀管轄諸州とPhil連銀管轄諸州の業種構成に踏み込まないと、当てるのは難しいのでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- (1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が79%となっています。
(2) 直後1分足は、指標定性分析結論に依り、陰線と見込みます。
(3) 直後11分足は、反応性分析の結果、直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。方向一致時に直後11分足跳値が直後1分足跳値を超えて反応が伸びていたことは79%、方向一致時の両者終値同士を比べて反応が伸びていたことは53%です。追撃は様子を見ながら、利確を繰り返すと良いでしょう。/li>
直前1分足・直後1分足は分析を外したので、仕方ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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