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2020年07月31日

書評−旧友再会



今回は重松清著の「旧友再会」を取り上げてみた。重松氏と云えば「ビタミンF」
「流星ワゴン」「疾走」「ナイフ」「その日の前に」など、数々の名作を送り出し
ていますが、今回の「旧友再会」も特に「団塊の世代」と言われる人たちには、大
いに共感を持っていただけると思います。かく言う私もその一人ですが。

この短中編集は5つの物語で構成されています。
  @ あの年の秋
  A 旧友再会
  B ホームにて
  C どしゃぶり
  D ある帰郷
この内、どしやぶりが中編で、ある帰郷が超短編。
全編に共通するテーマは、ふるさと、親の介護、家族、旧友再会、仕事とは、そし
て生きるとはなど。結構重いテーマもありますが、物語は余り重さを感じさせず、
淡々と進んでいきます。

私が一番胸を打たれた物語は、「あの年の秋」でした。
博史君の家族はお父さんの三郎さん、お母さんの智恵子さん、お姉ちゃんの優子さ
んの4人家族。ある日お父さんから、おばあちゃんを3月まで預かる事になったと
の話。おばあちゃんはちょっと恍惚の人になってるみたいで心配。そしてそのおば
あちゃん君江さんは戦争で大変な苦労をし、悲しい思いをした人でした。

君江さんは戦争でご主人と長男と四男を失ってしまったのです。その後戦死と思わ
れていた横井庄一さんがフィリピンで生きていたというニュースを聴いて、長男の
隆一郎さんも生きているのではないかという考えが頭から離れず、軽い認知症もあ
って、精神が不安定になる事もあったのです。そんな君江さんを博志君一家は、当
初心配していましたが、認知症もひどくならず、落ち着いた生活が過ぎていきまし
た。

パンダの初来日のニュースが取り上げられ、博史君は早速三郎さんに上野動物園に
見に行く約束を取り付けた頃、またまたフィリピンで小野田さんが発見されたとの
ニュースが届き、君江さんの精神も不安定になるのですが、堪えている姿が痛まし
い程です。

ある日博史君がおばあちゃんの部屋で、パンダが来たら上野動物園に見に行く約束
をお父さんとした事を話したら、突然おばあちゃんの様子がおかしくなってしまっ
た。そしてキリンの赤ちゃんを見に行こうねと呟いた。そしてそれはまだ君江さん
の長男や四男が生きていた頃、家族全員で上野動物園にキリンの赤ちゃんを見に行
った時の思い出がよみがえったのだった。

それを聞いたお父さんの三郎さんが当時を思い出し、お兄さん家族も誘って、みん
なでおばあちゃんの為に、上野動物園にキリンを見に行くことを提案。当日、三郎
さんが途中から君江さんをおんぶして、それをみんなが励ましあって、思いやりの
ある楽しい行楽となった。

人は誰でもいつかは老いさらばえ、誰かの世話になってこの世を閉じる。それでは又。

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2020年07月01日

書評−黒医



今回は久坂部羊氏の「黒医」について書いてみます。久坂部氏と云えば
医師で作家という事で、デビュー作の「廃用身」をはじめとして医療関
連の素材を扱った作品には、圧倒的なリアリティと表現力が魅力です。

私も今までは主に「破裂」とか「虚栄」などの長編を読んできましたが、
今回短編集の「黒医」を読んで、その短編の面白さ、質の高さには正直
驚かされました。短編の名手Oヘンリーを少しダークにして皮肉っぽく
した雰囲気がたまりません。

「黒医」は7つの短編集ですが、どれを取ってもありそうな話で、しかも
最後に強烈などんでん返しが待っているという設定です。その中でも私が
特に気に入ったのは「無脳児はバラ色の夢を見るか」「のぞき穴」「老人
の楽しみ」です。

「無脳児」は妊娠検査で子供が無脳のロート症と診断された夫婦の物語で、
旦那は反対、妻は産みたい。しかしどちらも無脳児を育てられるかという
思いと、それでも子供の命を大事にしたいという心の狭間で揺れ動く夫婦
の葛藤を描いたもので、誰でもこういう場面に遭遇すれば悩みますが、そ
の結果がという物語。

「のぞき穴」は男の子なら誰でも、想像したり、経験したりしたちょっと
なつかしくも恥ずかしいテーマです。私もご多分に漏れず色気づいた年ご
ろから、女体に対する興味が尽きませんでした。昔は女子は小学5-6年生に
なると男生徒とは別に、我々からすると非常に怪しげな興味深い性教育が
行われていたようです。もちろん女性は初潮が始まるのでその為なのでし
ょうが、男性にはそんな教育をして、盛りが付きすぎたらよくないという
事だったのか、全くありませんでした。

この物語もちょっとした偶然がきっかけで異様に女性器に興味をもってしま
い、挙句に産婦人科医になり、多くの女性器に出合い、不妊に悩む夫婦の問
題に取り組むうちに、悪魔に身を売ってしまった医者の物語です。

最後は「老人の愉しみ」ですが、私とほぼ同じ年代の国立医療センターを定
年退職した主人公が、暇を持て余し鬱々した毎日を送っている。ある日贔屓
のバーで飲んでいるとアベックの客が来店。何気に心の中でアベックの悪口
を呟くと相手にも通じるらしく、こちらを睨みつけてそそくさと出て行って
しまう。

これに味を占めて地下鉄の中でも客の悪態をついてみると同じ反応。格好の
老後の楽しみが見つかる。その後も贔屓のバーで悪態を楽しんでいると、自
分と同じように念力を使う少女リルが現れる。誘われるままに怪しげな薬を
飲まされ、リルに殺されそうになる。しかしこの死の体験が自分の生き方を
変える起爆剤となり、・・・・・・・。

全編を通してブラックでダークな内容なのだが、人間の根源的な問題に根差し
ており、とても他人事とは思えない癖になる小説です。
それでは又。

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43年勤めた会社を退職し、趣味でやっていた株式投資三昧の毎日。そんなに贅沢し美食したわけでもないのに、50歳から痛風予備軍と高血圧症。長年の医者通いにうんざりし、医療費節約も兼ねて、薬の個人輸入を始める。
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