現役作業療法士(OT)オススメ！便利な自助具・日用品

前回の気まぐれ小話では、幼少期に障害を負った子どもは、意外に幸せだという話をしました


実は…大人になって受傷しても「ある方々」は幸せそうな退院後を送っている傾向があるのです。




それは、

「あなたの体は治りません」

と断言された方々。



意外かもしれませんが、
脊髄完全損傷や切断など

「これ以上身体機能は改善しません」

と宣言された方のほうが、在宅ではいきいきと生活されているのです
(べんりのすけの抱いた印象です。)


「逆じゃないの？」


と皆さんは思うかもしれません。


もちろん、
病気や怪我の直後、医師から宣告された時には

想像を絶する悲しみがあったと思います。


しかし…

「治らない」からこそ、新しい体を受け入れるしかなく、

「この体で生きていくしかない！」

という切り替えが早期にできるのも事実。


現状を受け入れることができれば、

「この体で幸せになる方法を探す！」

という方向性にシフトすることができます



一方、脳卒中などの麻痺で

「リハビリをやれば改善するかもしれません」

と言われた方々は…


「治らないのはリハビリが足りないからだ！」

「少しでも長くリハビリをして、良くなりたい！」


という思考に陥る場合が多々あります。


もちろん、それ自体は自然な事ですし、訓練士もそれを目標にリハビリをします。


しかし…
麻痺の「完治」を目指すのは間違いです。


私は10年近く、何百人もの退院患者様(自分の担当患者様以外も含め)を見てきましたが…

「完全に治りました！」

と言って退院した方は、一人もいません。


外来に来ている患者様まで範囲を広げても、

「麻痺が完治した！」

という方は一人もいません。


そう、
麻痺した体は

「本人が完治と認める状態」

になることはほぼ無いのです。


そしてどんなにリハビリを重ねても、

全く良くならない方も一定数いらっしゃるのです



脳疾患による麻痺は、同じ診断名がついていても

「損傷の大きさ」

はまちまち。


損傷が大きいほど後遺症が重く出現し、回復も難しいものです。


「頑張って訓練すれば治る！」

のであれば…
後遺症を抱えたまま在宅生活をしている人など居ないはずですよね


とてもお金持ちで、たくさんリハビリをしたであろう

元野球監督さんや
元落語家さんも

麻痺は治っていません。


つまり、努力や時間を費やしたからといってイコール回復に繋がるとは限らないのです


また、麻痺がとても改善し、見た目が普通の人と同じように見える方でも

本人は

「何か反応が鈍い」

「薄い手袋をしているようだ」

とまだまだ不満を抱えている事が多いもの。

その違和感は徐々に無くなっていく場合もありますが、パッと無くなる訳ではないので本人の中では完治と認められません。


いずれの場合も、

「もっと良くなるはず！」

という有るかわからないゴールを目指し、

リハビリだけを生き甲斐に長い歳月を過ごしてしまう事になるのです。


そのような方は、「幸せな未来」を描くときに

「麻痺が治っている自分」

が前提になっているもの。


「まずは麻痺を治さないと、未来の生活は考えられないな」


となってしまえば…
麻痺がある限り一歩も前に進めず、悔しい思いをし続ける事になります


まさにそれが「いきいきしていない」原因なのです



ここまでで結構長くなってしまいましたので、一旦区切らせていただきます。


「麻痺は必ず治る」


とお考えの方に…

次回の気まぐれ小話では、私が実習生の時の経験をお話しようと思います。

次回の記事で、本ブログは最終投稿になります。

皆さんの今後の人生を考える、きっかけにしていただけると幸いです。



◇◇◇◇◇
今日の一句
◇◇◇◇◇




悲しみを

乗り越えた先に

ある光





それではまた！


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