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2024年01月14日

HIVとAIDSの話−3.AIDSとは何ですかー

HIV感染後の長期間の潜伏期を経て免疫不全状態に陥り、『エイズの指標疾患』(Indicator Disease) の1つ以上が明らかに認められる場合にAIDSと診断します。

『厚生労働省 9 後天性免疫不全症候群』
          ↓
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-07.html

単にHIVに感染しただけ(HIVキャリア)ではAIDSとは呼びません。


【HIVはどのようにして感染するのですか?】

HIVは非常に感染力と生命力の弱いウイルスで、一般に普通の社会生活をしていたり、感染者と暮らしたとしても殆感染することは無く、感染する主たる原因は、コンドーム無しの膣性交と肛門性交です。

特に肛門性交によって感染する割合が最も高い(必然的に男性同性愛者の性的接触による割合が多くなる)。

その理由としては、妊娠のリスクが無い為、性交時にコンドームを使用せず、直腸内で射精する行為が多い為だからです。

次いで異性間の膣性交によるものが多く、感染者全体の多くは性行為による感染です。

次いで注射器の使い回しによる感染や母子感染となっています。

【HIVの感染する場所はどこですか?】

一般に感染源となりるHIVを含む体液は、血液・精液・膣分泌液・母乳・カウパー液です。

感染しやすい部位としては粘膜(腸粘膜、性器粘膜など)、切創(せっそう)や刺創(しそう)などの血管に達すような 深い傷などがある場合となります。

通常の傷のない健康な皮膚に血液や体液が付いても感染する事はありません。

主な感染経路は以下の3つに限られます。

1.性的感染

性交による感染では、性分泌液に接触する事が最大の原因となり、通常の性交では、女性は精液が膣粘膜に直接接触し血液中 にHIVが侵入する事で感染します。

男性は性交によって亀頭に目に見えない細かい傷ができ、そこに膣分泌液が直接接触し血液中にHIVが侵入する事で感染します。

肛門性交では、ペニスの挿入の際出来た腸粘膜の傷口に精液が接触しそこから感染するとされている。

腸の粘膜は一層の為に薄く、性行為を行う場所でないことから、ペニスの挿入で簡単に傷つきHIVが侵入しやすい状態となり その為膣性交よりも感染リスクが高いわけです。

また割礼によって、傷つきやすく、免疫関連細胞の多い包皮を切除することで感染リスクが低減するという研究結果が複数ありますが、これはHIVの侵入・感染が抑えられる為だと考えられています。

なおオーラルセックスで口腔で性器を愛撫する場合も、口腔内に歯磨きなどで微小な傷が生じていることが多く、そこに性体液が 接触することで、血液中にHIVが侵入する恐れがあることも指摘されています。


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2.血液感染

感染者の血液が、傷、輸血、麻薬まわし打ち等によって、血液中に侵入する事で感染が成立する。

特に麻薬・覚醒剤中毒者間の注射器・注射針の使い回しは感染率が極めて高いことが確認されています。

輸血用血液のHIV検査体制が不十分なときは、輸血や血液製剤からの感染が発生していましたが、現在では全ての血液について 事前にHIV感染の有無を検査され、感染のリスクは極めて低くなっています。

特にわが国では世界最先端の検査体制をとっていることから、輸血用血液からの感染リスクは、1500万分の1以下と言われています。

しかし、発展途上国では、HIV検査体制そのものが不十分なことに加え、売血制度があることから、輸血によるHIV感染のリスクは非常に高い ことから、これらの国での輸血には十分注意する必要があります。

医療現場においては、針刺し事故等の医療事故による感染の危険性があることから、十分な感染対策が必要とされています。

2024年時点、わが国においては、医療現場での針刺し事故によるHIV感染の報告はありません。

3.母子感染

母子感染の経路としては、@出産時の産道感染、A妊娠中に胎児が感染する、B母乳の授乳による感染の三つの経路があります。

産道感染は子供が産まれてくる際、産道出血による血液を子供が浴びる事で起こりますが、感染を避ける方法として、 帝王切開を行い母親の血液を付着させない方法があり、感染を防ぐ効果を上げています。

胎内感染は、胎盤を通じ子宮内で胎児がHIVに感染する事で起こることから、物理的な遮断が出来ない為、感染を回避する事が難しいとされています。

感染対策として、妊娠中に母親がHAART療法により血中のHIV量を下げ、子供に感染する確率を減らす方法がとられています。

HIVに感染した母親の母乳を与える事は危険とされ、この場合は母乳を中止して、子供に粉ミルクを与える事によって、 感染を回避する事が可能となります。




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長年血液により感染する感染症の研究に従事した際の経験・知見を活かして各種感染症の正しい知識と予防法を解説します。
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