2024年07月29日
フリオ・セサル・ラ・クルース敗れる しかしキューバは勝った
ラ・クルース(右)、ロレン・ベルト・アルフォンソ(左)に敗れる
Cubadebate、2024年7月29日、Joel García記者
最初の反応は予想されたものだった。判定はどれほど接戦であろうとも、彼は自らを勝者だと思っていた。そのため、手で顔を覆い、目を閉じて、驚きがあった。しかしフリオ・セサル・ラ・クルースはすぐに息を吐き、苦しそうにため息をついて、ロレン・ベルト・アルフォンソを抱擁した。アルフォンソはピナール・デル・リオ出身のキューバ人で、祖国を否定しないスポーツ移民の一人であり、子どものときからフリオはアイドルだった。
12本のロープのなかでの戦いはとても互角な結果だった。最初のラウンドは4-1でラ・クルースに投じられたが、第1ラウンドは基本的に様子見のラウンドであり、ほとんど打撃がなかった。そのあとベルト・アルフォンソは、フリオの右を封じカウンターを放つ、という自身の戦略的計画に従うことになる。彼はこのように行動を合わせ、すべてはリング上の最後の3分間に賭けられた。
ゴングが鳴り、青と赤の伝統的なシャツのあいだで、ジャブ、フック、スウィングの衝突よりも、五輪二連覇王者フリオの目標は、自身のいつものスタイル(ローガードで入り込みパンチ、フェイントに次ぐフェイント)に忠実であることだった。アルフォンソはフリオを知り尽くしていた。というのも彼もキューバ代表チームにいたからであり、それはキューバボクシング学校の育成者の一人である彼のコーチ、ペドロ・ロケも同様であった。
そうしてベルト・アルフォンソは最高のパンチを放ち、当てた。大きなリードやパンチの連発なしに最高の打撃を刻み、最後の180秒が終わったとき、自らを勝者だと感じた。レフェリーが両者をリングの中央に呼び、ふたりは公式アナウンスとともに手をあげるという確信的ポーズを決めた。「判定は3対2で、赤コーナーの、ロレン・ベルト」、というのが公式アナウンスの裁定だった。
そのあとやってきたすべてのことは、フリオ・セサル・ラ・クルース(五輪二連覇、世界選手権5回優勝)の帝国崩壊を意味するどころか、キューバが勝利した、ということを裏付けた。ヨーロッパがいくら悲しもうとも、わが国が五輪と世界選手権の明白な王様であるスポーツで同じ地の二人の息子を五輪で戦わせるというぜいたくを味わえる国は世界でもほとんどない。
フリオのスポーツ選手としての尊厳が、彼に記者たちと向かいあうのをやめさせたが、主将であるという倫理観や、スポーツ倫理の模範として、じきに対応することだろう。今回彼は目標を達成できなかった。おそらく彼の最後の機会であったし、そのため一層つらいことだろうが、試合後の最初のコメントで自分のことではなく「わたしのアイドルであるフリオ」について語り、92kg級で獲得が予想されるメダルを含む今後おこなうことすべてを「キューバ国民に」捧げた相手と戦って敗れたことに誇りを感じていい。
きょう日曜日の最後の教訓は、未来にも向けられた。われわれのスポーツ移民との関係は、より透明性があり、そのつど感情にとらわれないものであるべきだ。彼らはキューバ人で、その大半はわが国の代表チームで教育を受けている。ロレン・ベルト・アルフォンソのような移民は、今回のパリ五輪にはおよそ20人がおり、両親や友人や親族がいる土地に対する憎しみを公言することはほとんどない。
フリオ・セサルとロレン・ベルトの最後の抱擁を私は支持する。つらくもあったが、キューバがこの階級から去らないことに喜んだ。この大会は全員にとってとても困難な五輪である。パスポートではアゼルバイジャン人、スペイン人、ルーマニア人、米国人であろうが、心と魂のキューバ人はつねに私たちを賞讃で満たしてくれるはずである。
これは確かに、これはニュースである。フリオ・セサルが負けた。「ラ・ソンブラ」は三たび太陽を、金を、オリンポスを制覇できなかった。しかしキューバは勝った。これをみなで言い、叫ぼう。これが人生である。
フリオ・セサル・ラ・クルース(左)、ロレン・ベルト・アルフォンソ(右)と抱擁
フリオ・セサル・ラ・クルース対ロレン・ベルト・アルフォンソ 試合の模様
ロレン・ベルト・アルフォンソ 試合後コメント
両陣営コーチの試合後コメント
París Día 3: Perdió Julio César La Cruz, !ganó Cuba!
http://www.cubadebate.cu/opinion/2024/07/29/paris-dia-3-perdio-julio-cesar-la-cruz-gano-cuba/
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