2018年02月17日
5つの銅貨
私が中学生の頃に見た、感動的な音楽映画があります。
それは「5つの銅貨」という、1920年代のコルネット奏者、レッド・ニコルスの半生を描いた映画です。
中学時代から始めたトランペットでしたが、この映画を観てから、トランペットという楽器に愛着をもつようになりました。
もし、この映画を観ていなかったら、現在、トランペットを続けていたかどうかもわかりません。
それほど、私の心に残った映画です。
そして、
私にとって現在一番大切なものは家族です。
その根本的な考え方を植え付けられたのも、この映画の影響です。
音楽好きなあなたにも、是非、この映画を観ていただけたらと思います。
きっと、あなたもJazzが好きになり、心が暖まり、最後は感動のあまり涙すると思いますよ。
音楽っていいな、友人っていいな、家族っていいな、人生っていいな、生きていることって素晴らしいな・・・と思える映画です。
【DVD】5つの銅貨ダニー・ケイ [PHNE-100982] 価格:1,099円 |
1920年代のニューヨーク。
コルネット奏者の田舎青年レッド・ニコルズ(ダニー・ケイ)は、ウィル・パラダイスの楽団に入ってギターのトニーや歌手のボビー(バーバラ・ベル・ゲデス)と知り合いになりました。
ある日のこと、当時人気のトランペット奏者だったルイ・アームストロングの演奏を秘密酒場でボビーと聴く機会がありました。
田舎青年レッドは、このような場所に馴染みがなく、ボビーの勧めるアルコール入りのお茶を調子にのって沢山飲んでしまいます。
酔っ払ったレッドはルイ・アームストロングの演奏を聴いて盛り上がってしまい、私も一緒に演奏すると言って、自分のコルネットを持ち出して、ステージに上がり、楽団員に自分のアレンジした楽譜を手渡しますが、ルイや楽団員は呆れ果てた様子・・
レッドがコルネットを演奏し始めようとすると、慣れないアルコールを飲みすぎていたので、気持ち悪くなり退散するはめになります・・
なだめる歌手のボビー・・・しかし、酔いの覚めたレッドは再びコルネットを吹き始めます。
そして奏でる曲が感動のリパブリック賛歌!!
ボビーはルイ・アームストロングと即興でかけあい演奏をやったことから彼と仲よくなり、レッドとボビーは結婚しトニーはレッドのマネージャーとなりました。
レッドは次第に芸を世に認められるようになります。
レッドとルイ・アームストロングとかけあいで歌われる「聖者の行進」はとても楽しいですよ。
やがてレッドは Five Penniesという楽団を結成し、巡業をはじめました。
娘のドロシーが生まれ、育つにつれて、デキシーランド・スタイルは一世を風びし、楽団のメンバーにもトミー・ドーシーやグレン・ミラーが加わりました。
巡業中に移動のバスの中で生まれたばかりの娘のドロシーのために歌われた曲がLullabye in Ragtimeです。
Won't you play the music
音楽を流してくれるかい
So the cradle can rock
ゆりかごが揺れるような
To a lullaby in ragtime
ラグタイムの子守歌に合わせて
Sleepy hands are creeping to the end of the clock
眠たげな針は 時計の終点を指そうとしている
Play a lullaby in ragtime
ラグタイムの子守歌を流そう
You can tell the sandman is on his way
判るだろう 眠りの精が近づいているのだと
By the way that they play
As still as the trill of a thrush in a twilight hush
黄昏の静けさに鳴くツグミのトリルのように穏やかに
音楽が流れるのに沿って
So you can hear
そう 聞こえるだろう
The rhythm of the ripples on the side of the boat
As you sail away to dreamland
君が夢の国へ漕ぎ出したときに
ボートの脇に立つさざ波のリズムが
High above the moon you hear a silvery note
As the sandman takes your hand
眠りの精が君の手をとるとき
月の遥か上で 銀鈴の調べが聞こえる
So rock-a-by my baby
そう 子守歌だよ 坊や
Don't you cry my baby
泣かないで 坊や
Sleepy time is night
もう夜 眠る時間
Won't you rock me
僕を揺すってくれるかい
To a ragtime lullaby
ラグタイムの子守歌に合わせて
少し大きくなった娘のドロシーに歌った曲が「5つの銅貨」。
この曲はLullabye in Ragtimeとコード進行が同じです。
私がとても好きなシーンです。
This little penny is to wish on
この小さな銅貨は 強く願うということ
And make your wishes come true
君の願いを叶える
This little penny is to dream on
この小さな銅貨は 夢見るということ
Dream of all you can do
君ができるすべてを夢見てごらん
This little penny is a dancing penny
この小さな銅貨は 踊る銅貨
See how it glitters and it glows
見てごらん こんなにもチラチラと仄光る
As bright as a whistle
口笛みたいに麗らかに
Light as a thistle
アザミのように軽やかに
Quick, quick as a wink
ウィンクのように小気味よく
Up on it's twinkling toes
キラキラと つま先立ちして
Oh, this little penny is to laugh on
この小さな銅貨は 歓喜の銅貨
To see that tears never fall
涙が決して零ることのないように
This little penny is the last little penny
この小さな銅貨は 最後の小さな銅貨
And the most important of all
いちばん大切な銅貨
For this penny is to love on
なぜならこれは愛し続けるということ
And where love is heaven is there
愛のあるところ 天国はそこに
So with just five pennies
そう 5つの銅貨さえあれば
If they're these five pennies
これら5つの銅貨があれば
You'll be a millionaire
君は億万長者になるようなもの
真夜中に娘のドロシーとレッドがポーカーをするシーンがありますが、このシーンも大好きです。
そして、ルイ・アームストロングとレッドとドロシーの3重唱が聴けます。
レッドとドロシーの二重唱
ドロシーがとっても可愛いですよね。
私にも娘がいますが、オーバーラップしてしまいます。
しかし、物語は急展開します。
ボビーは成長する娘に巡業がよくないことを考えて、彼女を寄宿学校に入れました。
誕生日もクリスマスも両親に会えない。
ドロシーの中で寂しさが募ります。
両親の遠征先を鉛筆でたどって、会える日を待ち遠しく思います。
しかし、いくら待っても会えない日々が続きます。
そして、ドロシーは寄宿学校に入れることを提案した父を恨むようになってしまいます。
レッドの人気が絶頂に達した頃、ドロシーが小児マヒにかかっていることが知らされてきました。
飛行機で病床にかけつけたレッドは、音楽に熱中してドロシーにかまわなかったことを後悔しました。
バンドを解散し、コルネットを金門橋から投げ捨てた彼は、娘の病気を治すことに専念することを決意します。
時が過ぎて第2次大戦が始まった頃、レッドは造船所の職工でした。
その頃、ドロシーは13歳になっていました。
初めは頑なだったドロシーの心も、レッドの必死の働きかけで徐々にほぐれていきました。
大きくなったドロシーの誕生日会で彼女の友達が遊びにきた時、かかっていたレコードの話から、レッドはグレン・ミラーたちがこの楽団にいたと口を滑らせてしまいますが、誰も信じません。
そこへ妻のボビーがコルネットを持ってきてレッドに手渡します。
しかし、長いあいだ楽器を手にしていなかった彼には、まともな音ひとつ出せなくなっており、ドロシーの友達は呆れて帰ってしまいました。
しかし、ドロシーは徐々に幼い日々の記憶を蘇らせ、父が自分のためにいかに尊い犠牲を払ってくれたかを理解します。
ボビーや昔の仲間たちはカムバックを進めますが、レッドは自らの技術のあまりの劣化ぶりに諦めてしまっていました。
私もまかりなりにも長年トランペットを演奏していますので、この気持ちが痛いほど分かります。
トランペットという楽器はしばらく吹かないでいると全く音が出なくなってしまい、音楽を奏でるどころの話では無くなってしまいますから・・・
しかしドロシーは、自分の脚のリハビリの時の話を持ち出し、厳しくレッドを叱咤します。
やがてレッドは復活に向けた練習を始めます。
鍛錬を重ね、レッドはついに場末のクラブで復帰することになりました。
しかし、彼の名は既に世間から忘れ去られており、客席はがら空きです。
がっかりするレッド。
そこへ突然ルイ・アームストロングが、ドーシーやミラーなどかつてのファイブ・ペニーズのメンバーと共に演奏しながら、観客を引き連れて入場してきました。
たちまち盛大なセッションが始まります。
往年の勢いを取り戻したレッドのコルネットが鳴り響きます。
そして、最後に娘ドロシーからも、思いもかけぬ贈り物がもたらされるのでした。
私が中学の頃に観たこの映画、ここには、私の理想とする家族像があります。
私が結婚したのは50歳過ぎてからですが、そのきっかけとなったのも音楽です。
楽器が上手いとか下手とかいう問題ではなくて、音楽そのものが人生にとって、とても素晴らしいものだと思うのです。
生活はとても貧乏ですが、私と妻と娘と犬一匹、そして音楽。
幸せな日々を送っています。
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この記事へのコメント
ピアートさん 、bugpiper さん、コメントの返信がとても遅くなってしまい申し訳ありません。このようなコメントを頂きまして、心から嬉しいです。「五つの銅貨」は、私がトランペットを本当に好きになったきっかけの映画でした。ひょっとすると、この映画がなかったら、現在トランペットを続けていたかどうか分かりません。いまだに上手くは演奏できませんが、心がほっこりと優しくなれるような演奏ができたら最高かな・・コメント、どうも有難うございました。
Posted by Morifuku at 2022年04月04日 23:52
「五つの銅貨」を検索していて、このページを見つけました。私も大好きな映画のひとつです。高校時代、友人に誘われて見ました。その後テレビで放映されたので録画していて、今でも時々見ています。
Posted by bugpiper at 2022年03月05日 07:02
私もコルネットを吹いていますが、この映画が大好きです。そして、こちらの文章を読んでて心がほっこりと優しくなれました。
Posted by ピアートさん at 2020年09月12日 02:43
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