2020年02月24日
Bopに一生を捧げる男
私が本格的にJazzを聴くようになったのは、
Jazz好きである3男の兄の影響が大きいのですが、
本格的にJazzと接するようになったのは、中学時代に聴いた
クリフォードブラウンの演奏であるということは、何度かこのブログでもお話しているとうりです。
【クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)】
〇1930年10月30日 - 1956年6月26日
〇アメリカ合衆国出身のジャズミュージシャン(トランペット奏者)
〇ハード・バップ期初期のプレイヤーであり、「ブラウニー」の愛称で親しまれている
〇品行方正で誠実な人柄
〇自動車事故の巻き添えにより25歳で急逝
(Wikipediaより引用)
中学時代から、ハーブアルパートとティファナブラスや、バートバカラックなどの
インストものを好んで聴いていましたが、クリフォードブラウンの演奏を生まれて初めて聴いた時に、
今までに味わったことの無い、音楽的な強い衝撃を受けました。
クリフォードの甘く美しい音色はもちろんですが、テーマのあとに吹き続けられる
超絶技巧とも思われるインプロビゼーション。
当時は、アドリブというものに対する知識が全く無かったので、
すべて、最初から譜面に書いてあるものを演奏しているのだと思っていました。
それらの演奏がすべて、即興でその場で行われている
という事実を知ったのは、高校に入ってからのことです。
プロ・アマチュア問わず、Jazzトランペットを演奏する人で(と言うより、Jazzを志す人すべて)、
クリフォードの演奏を否定する人は恐らくいないと思います。
それほど、クリフォードブラウンというのは、Jazzの歴史において重要な人物なのです。
そして、彼の演奏スタイルは、チャーリー・パーカー( ASax)やディジー・ガレスピー(tp)
の作り上げたBe Bopのスタイルを基本とした、Hard Bop期初期の演奏スタイルです。
Jazzを演奏したことのあるトランペット奏者であれば、クリフォードの演奏スタイルを
一度は手本にしたことがあるはずです。
そして、この演奏スタイルに一生を捧げている、日本人トランペット奏者がいます。
その彼の名前は「村田浩」
【村田浩(むらた ひろし)】
〇1943年生まれ(出身地:横浜)
〇1975年渡辺貞夫リハーサルオーケストラに参加
〇1975年よりTHE BOP BANDを結成、現在まで45年間活動中
〇デュークジョーダン、ロイ・ヘインズetc来日アーティストとの共演多数
〇日本を代表する本格的なバップ・トランペッターとして貴重な存在
彼の温和な性格と、心温まる音色とフレーズは、確実にクリフォードブラウンのそれを受け継いでいます。
しかも、そのスタイルを崩さずに、すでに70歳を超えているにもかかわらず、現役で今尚活躍されているというところが凄い!!
彼の演奏を初めて聴いたのは、大学生の頃です。
当時、新宿の紀伊国屋の裏にジャズライブハウスのピットインがあった頃に(現在は新宿3丁目に移転)、
朝の部でよく聴いていました。
その頃のピットインは、朝の部、昼の部、夜の部と分かれていて、
夜の部には渡辺貞夫さんなどの当時でも知名度の高いミュージシャンが出演していました。
朝の部は、主として駆け出しのジャズミュージシャンが出演していましたが、
確か、料金は400円ほどで、ドリンクも付いていたと記憶しています。
朝の部と言えども、プロの演奏が生で聴けるので、大学の授業をサボってよく聴きに行きました。
そこで出会ったのが、村田浩率いるTHE BOP BANDの演奏です。
当時の日本のJazzトラッペンターと言うと、すごいなと思うミュージシャンは
日野皓正・大野俊三くらいしか知らなかったので、最初に村田さんの演奏を聴いた時は、
クリフォードのレコードを最初に聴いた時と同じくらいのショックを受けました。
日本人でも、こんなに本格的な演奏をする人がいるんだ・・
それでも、ピットインのお客さんはガラガラ・・
もともと、日本人でジャズを聴く人自体の絶対数が少ないので、仕方がないと言えば、仕方がない・・
そんな中、どうしても村田さんの演奏を録音したくて、
普通のモノラルのラジカセ(この頃は、専用の録音器など無かった)を持ち込んで
村田さんが生演奏している目の前で録音した事があります。
そんなことをしても、全く怒られることもありませんでした(今だったら大変でしょう)。
その演奏がこちらです。
この演奏は、当時のBOP BANDが聴ける貴重な録音(私しか持っていない)だと思います。
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