2022年09月17日
ちょっとだけMリーグ#44
今回もMリーグの一局だけを掘り下げていきます。
今日の主役は多井 隆晴プロです。
まずは動画からご覧ください。
https://youtu.be/NVwwMPPejR0
2020年2月4日 第1試合
東4局
東家 多井 隆晴 30400
南家 滝沢 和典 35800
西家 村上 淳 22800
北家 朝倉 康心 11000
(敬称略)
親の多井さんは1300オールツモや5800ロンでもトップ目になり、村上さんは跳満ツモや倍満ロンでトップ目に、ラス目の朝倉さんは着順アップには跳満以上のアガリが必要です。
最初に多井さんの手は
ドラ多井手牌
白対子でポンすればいつでも役がつきますがドラ1枚で鳴くとほぼMAX5800の手になってしまい、トップ目を追いかける多井さんは5800をアガってもトップ目になりますが、他家を引き離すにはもう少し高い手にしたい状況です。(リーチ・ツモ・赤・ドラ12000~にしたい)
ツモ打
次に南家・滝沢さんの手は
ドラ滝沢手牌
この手は赤もドラもない3対子で4シャンテン、七対子なら3シャンテン。
仮にこの手がテンパイしても安手で役なしリーチ1300か七対子1600になりそうなのでいつでもオリられる構えで進めるといいでしょう。
メンツを見るとペンチャンが残る可能性が高く、対子手ではテンパイスピードも遅めになるのを意識して進めます。
ツモ打
続いて西家・村上さんの手は
ドラ村上手牌
この手は赤+ドラがあり役なしリーチでも5200~が見えているのである程度攻めを意識したい所ですがペンチャンやがありテンパイスピードは早くはなさそうに見え、テンパイ時にはここが残りそうです。
一応、789三色同順が見えるので789三色を意識しながら待ちが良くなりそうならリーチ・ツモ・赤・ドラの満貫で十分くらいで進めましょう。
ツモ打
最後に北家・朝倉さんの手は
ドラ朝倉手牌
これはほぼメンツ手でを引けば平和・一盃口、を引けば一盃口を見て、他にくっつきが良さそうな牌を引けばくっつき待ちにして平和狙いでいいでしょう。
ただそれでは平和1000点か平和・一盃口2000点で終わってしまうので赤引き、ドラ引きを考えた手組にしたい所です。
例えば引き、やになれば、の2メンツを考えましょう。
点棒状況的に朝倉さんは満貫や跳満が必要な立場です。
ツモ打
次巡、多井さんは
ドラ多井手牌
暗刻の2暗刻、ドラターツで1ブロック、ピンズかソーズで1ブロック作れば後は雀頭を作るか、マンズ、ピンズ、ソーズメンツを作ってのどちらか1枚を落とせば雀頭にもなります。
この2つのルートを天秤にかけながら進めます。
同巡、滝沢さんは
ドラ滝沢手牌
一番のネックであるペンチャンが埋まったものの役なし3シャンテンです。
親が早そうな時以外はあまりアガリの価値は高くないです。
更に同巡、村上さんは
ドラ村上手牌
カンチャン埋まりの789三色2シャンテンですがまだペンチャン残りで形的に弱いです。
次巡、滝沢さんは
ドラ滝沢手牌
リャンメン受け入れができ、平和3シャンテン。
同巡、朝倉さんは
ドラ朝倉手牌
役なしカンテンパイに受けられましたが、点棒の欲しい朝倉さんはドラ引き三面張や引き平和・一盃口も見てテンパイ取らず。
次巡、多井さんは
ドラ多井手牌
リャンメン受け入れが2つになり、引きなら好形1シャンテンになります。
できればマンズかソーズリャンメン待ちにしてツモりにいきたい手です。
次巡、多井さんは
ドラ多井手牌
これで雀頭ができ、を引けばテンパイになる1シャンテン。
同巡、滝沢さんは
ドラ滝沢手牌
赤引き+ドラ受け入れでドラ引きならリーチで満貫になります。
また同巡、村上さんは
ドラ村上手牌
引きならテンパイになる1シャンテン。
次巡、多井さんは
ドラ多井手牌
切りで他家リーチが入る前にを処理しています。
もう引きだけを見て、リーチの準備段階に入っています。
この同巡、朝倉さんは
ドラ朝倉手牌
平和・高目一盃口でリーチ、待ち。
待ちのは朝倉さんに1枚+多井さんに3枚の純カラ、は村上さんに2枚の山に0+2=2枚。
このリーチに対し、多井さんは無スジツモ切り。
滝沢さんは現物切り、これを村上さんがチーして打。
チードラ村上手牌
これは食いタン+一発消しの両方の意味があります。
次巡、多井さんは
ドラ多井手牌
望外の三暗刻・・ドラ、満貫の1シャンテンにパワーアップ。
引きでテンパイ。
次巡、多井さんはツモ切り。
更に次巡、多井さんテンパイ。
ドラ多井手牌
ここから切る選択肢は@、A、Bのどれかになりそうです。
それ以外の牌(三暗刻になる)はタンキ待ちになってしまうので、リーチ負けしてしまう可能性が高く、トップ目を追いかける立場には向かない待ちになってしまいます。(は滝沢さんに1枚、は村上さんに1枚、朝倉さんに1枚と薄い待ちになる)
まず@切りで放銃するのはリャンメン待ち、タンキ待ちの2つ。(3枚持ちでシャンポン待ちはなし、1はカンチャン、ペンチャンにはならない)
A切りで放銃するのはリャンメン待ち、カンチャン待ち、ペンチャン待ち、タンキ待ちの4つ。
B切りで放銃するのはタンキ待ちの1つだけ。(字牌はリャンメン、カンチャン、ペンチャン待ちはない)
この3パターンを比べると、一番放銃の可能性が低いのはB切りです。
これらの理由から、多井さんは切りリーチとしたようです。
ドラ多井手牌
切りで三暗刻・の3ハン落としと安くはなりますが、とスジをたくさん持てば持つほど、他家の必要牌になりやすく、放銃のリスクは高くなります。
これと同じように七対子でスジをブロックしていても、3枚目の牌を切ると当たりやすかったりするのも似たような現象です。
打A手牌
リーチロンB手牌
リーチの3巡後、多井さんツモアガリ。
リーチツモドラ裏ドラ多井手牌
裏ドラ1枚が乗り、リーチ・ツモ・ドラ・裏の満貫、4000オールです。(+1000)
このアガリで、
多井 43400
滝沢 31800
村上 18800
朝倉 6000
この試合は結局、南場の親で村上さんの6000オールが飛び出し、オーラスもツモればトップ逆転リーチが入るものの、朝倉さんにかわされて多井さんトップで終了します。
多井 +65.1
滝沢 +16.1
村上 − 6.8
朝倉 −74.4
多井さんは試合後のインタビューで
「東場の調子が良くて、解説に沢崎さんがいたので、(半荘最高スコアの)記録抜いちゃうぞと思っていたんですけど、
滝沢さんに追いかけリーチでカンツモられた時には
『これはダメだ、苦戦するな』と感じました。
その後立て直して引き締めたのがトップを取れた原因かなと思います。
を暗刻から落としてリーチした時は、
リャンメンから埋まったら切ろうって決めてました。
今日は監督も控え室に来ていて
『ここで多井さんを出さないと後悔するかもしれないから』
と僕を指定してくれたくらい、ピリピリした試合でした。」
と語りました。
多井さんがリーチする時の「好形待ちにしてリーチ・ツモ」の戦術が放銃回避と共にアガリに結びついた一局でした。
今日のまとめ
・どうしても放銃できない時、好形待ちにしたい時は2ハン落とし、3ハン落とししてでもリーチすることもある
・字牌にはリャンメン待ち、カンチャン待ち、ペンチャン待ちが無く、安全牌が無い時は字牌切りが基本的には安全
ドラ多井手牌
ここから多井さんは切りリーチ。
三暗刻の残る打でもでもなくタンキ待ちにしか放銃しない打で放銃を最大限に避ける一打
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