2021年11月09日
<第1話> 滞納太郎の、その夏・3
公平で客観的な表現をめざすことは、家族を語る場合、冷たいことなのか。あるいは、冷たく伝わってしまうのか。
人は、老いる。老い方はそれぞれだ。
同居の母は後期高齢者。介護等級は要介助1、生活行動はほぼ単独で可能。時に言動に論理性を欠く。
年齢なりの視力や聴力の衰えがあり、日常生活での支障は明らかだが、認めない。矯正しようともしない。
知覚の不正確は周囲・状況の認知を不正確にし、それゆえ判断や言動も不正確になる。とくに、時間と空間の価値に対して。
元来、独自性の強い家庭で育ち、別の独自性が強い家庭へ嫁いだため、価値観や論理性に偏りがつよい。
加えて世情の常識の変遷をふまえた情報更新がなされていない。
親子であれ共同生活には段取り、約束ごとがあるものだが、全て崩れた。自らの合理性でのみ行動するためだ。
こわされた約束ごとを再確認し、だが後日またこわされる、このサイクルが繰り返された。
職場の状況に加えて、毎晩帰宅するとなにかが起きていることに、わたしの心は蝕まれていった。
たとえるなら、わたしの知らない私をわたしが責め、わたしの知らない私にわたしが責められている、ような奇妙な感覚。
会社なら、解雇できる。婚姻関係なら、離婚できる。しかし、血縁関係は。
人はやさしくありたい。はずだ。とくに家族に対しては。
だが、わたしは安全地帯であるはずの自宅で緊張を解くことがまったくできなくなっていた。
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