特にビジネス用語がひどいですよね。英語を使うならきちんと使えばいいものを短縮してしまったらそれは英語でもないから海外の人には伝わらない。日本人の1部の人にしか伝わらない言葉を作り出すメリットがわかりません。日本人は日本語も短縮化させる傾向がありますが、こんなことをする民族って日本人だけではないでしょうか?
西洋との違い
西洋の場合の短縮形は、単語の頭文字を使うことが多く、言葉自体が変化しているわけではありません。例えば「International Japan Company」という場合「IJC」と簡略化させることがあります。これは、言葉が長いので頭文字をとったものです。しかし、日本の場合、言葉自体が変化してしまって何を言っているのかわからない場合が多くなります。
最近のドラマの短縮言葉から引用すると「30歳まで童貞だと魔法使いになるらしい」が「チェリまほ」と呼ばれています。頭文字をとったとか、短くしたというものではないですよね。ほとんど題名が短縮語に含まれていません。かろうじて魔法使いの「まほ」が使われているだけです。知らない人には全く伝わらない言葉です。
日本人の多くは言葉を相手に伝えようとする能力が低いともいえます。本当に伝えたいのならば、相手にわかりやすい言葉を使って表現するのが正しいやり方です。日本語の短縮形を始めてみた時に、いちいち調べないとわからないというのがネックです。
日本人は本音を言わない
日本人は本音を言わない、とよく言われます。このような民族的特徴は過去にさかのぼることでわかってきます。【言霊】という言葉を聞いたことがありますか?言葉には力が宿っているため、その言葉を使ったときには、それが現実化するといったものです。
日本ではどんなものにも魂が宿っているという教えがあります。これは神道から来ています。言葉にも力が宿っているため、むやみに本音を言わないという習慣が根付いているのです。日本語の言葉の数は他の国に比べてたくさんあります。一つの言葉を表すのにいくつも別の言葉が存在するからです。
「わたし」という言葉があります。自分を表現するときに使いますが他にも自分を表現する言葉はたくさん存在しますよね。私・あたし・僕・俺・うち・拙者・当方・自分etcです。こんなに一つの単語に類義語がある国はありません。ここに秘密が隠されているのです。
言霊を使わない
「死ぬ」という言葉があります。これを直接言うのは失礼にあたると考えます。そこで「お亡くなりになる」「お隠れになる」「死去される」「崩御される」などと言葉を変えて伝えます。失礼にあたると考えるのは現代人ですが、初めの頃は言葉には強い力があるために、それを遠回しに伝えることで言霊の力を回避してきたといえます。
特に身分の高い人に言葉を伝えるときに、このようなオブラートに包んだ言葉を使っていました。はっきりと直接的な言葉を使わないという事で、言霊の力をむやみに使わないようにしてきたのです。それが習慣化して時がたつと本当の意味だけが抜け落ち、形だけが残るといった状態になるのです。
「さようなら」という言葉があります。別れるときに使っていますよね。でも、さようならには別れるという意味は含まれていません。「さようならば、これにて失礼します。」これが本来の使い方です。「さようならば」という接続詞が短縮されてしまい「さようなら」で完結してしまったのです。
日本語には、このような言葉が多くあり、言葉の意味が別の言葉に移行してしまう現象が起きています。本来の言葉が消えてしまって、本来意味のない短縮形が残ってしまっているのです。この短縮形の言葉に言霊はあるのでしょうか?そこが気になります。
日本人特有もほどほどに
古来からの習慣が根付いているとはいえ、短縮語もほどほどに使った方が良いのではないかとも思います。人に伝えるためには、誰にでもわかる言葉を使う方が理にかなっています。言葉は本来、人に伝えるための手段です。そのことをちゃんと理解したうえで使うのならばよいでしょう。
海外に出て日本人の弱さはこの辺にあるようですね。遠回しに伝えた場合、伝わらない、勘違いされるといったデメリットが生じます。グローバル化を目指すのであれば、はっきりとわかりやすい言葉で伝えた方が役に立つでしょう。