2010年02月21日
列島萌絵〜、決めた5点ショット
バンクーバー冬季五輪第8日・カーリング女子1次リーグ(19日=日本時間20日、五輪センター)日本代表のチーム青森が、02年ソルトレークシティー五輪金メダルの英国に11−4でギブアップ勝ち。通算成績を2勝2敗とし、1次リーグ突破へ大きく前進した。本橋麻里(23)=NTTラーニングシステムズ=らのショットが安定。最後はスキップ(主将)目黒萌絵(25)=みちのく銀行=がスーパーショットを決めた。
6−4で迎えた第9エンドは、英国の得点チャンス。追いつめられたスキップ目黒の左手から、最後の一投が放たれた。ストーンを目で追いながら、「ヤーッ!(掃いて!) ヤーッ!」と大声で本橋と石崎に指示を送る。
手前のストーンをかすめるようにハウス(円)へ向かったショットは、英国の2つの赤いストーンをはじき飛ばした。内側に残ったのは黄色が5つ。日本に大量5得点をもたらす、起死回生のスーパーショットだ。英国はギブアップの握手を求めるしかなかった。
「相手に1点あげて、第10エンドを(有利な)後攻にするつもりだった。最後はラインが少し中に入って、狙った以上のショットになりました。ラッキー」
快勝に声が弾んだ。初戦で米国に“ミリ差”の勝利を挙げながら、カナダ、中国に連敗。原因は目黒の不振だった。重圧がかかる上に難しいショットが要求される最終投者とはいえ、5−9と完敗した中国戦を終え、成功率はメンバー最下位の62%に落ち込んでいた。
阿部晋也監督(30)はミーティングで「氷の状態がどうとか難しく考えず、シンプルにやろう」とアドバイス。これで「不安も硬さもなくなった」と、ショット成功率は67%に回復した。
元チームメートの寺田桜子さん(25)への思いが心にあった。同級生だった北海道南富良野町・落合小からのカーリング仲間で、トリノ五輪にも一緒に参加。バンクーバーを目指す新生チームで寺田さんは主将となったが、体調を崩して07年末にチームを離れた。「安心して見てもらえるような試合をしたい」。親友の無念に応えたかった。
これで強豪との4連戦を終えて星を五分に戻し、5位に浮上。4カ国が進出する準決勝へ一歩近づいた。「今後に向けていいイメージが残った。気持ちいい」と目黒。予選通過の予想ラインは6勝3敗。クリスタルジャパンが、ますます輝きを増す。
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