2010年02月20日
高橋、もう一人の母と獲ったメダル
バンクーバー冬季五輪フィギュアスケート男子フリー(18日=日本時間19日、パシフィック・コロシアム)高橋には、“2人の母”がいる。メダル獲得が決まると、長光歌子コーチ(58)と抱き合って、感激を分かち合った。
「先生にはまだまだ恩返しができていない。これから頑張らなきゃいけないなと思う」
同コーチは選手として67年全日本選手権女子で優勝。コーチ、振り付け師として、02年ソルトレークシティー五輪4位の本田武史の振り付けを担当したこともある。
高橋と長光コーチとの出会いは、中2の夏。初の海外試合直前にプログラムをつくってもらって以来、11年余り。高3のときは、米国やロシアなど半年にわたる海外修行に付き添ってもらい、関大入学後は兵庫県内の長光宅に居候生活。トリノ五輪後の08年4月、織田のコーチ就任を発表したニコライ・モロゾフコーチと師弟関係を解消してからは、再びマンツーマンのタッグを組んだ。
右ひざ手術後の09年2月。先のみえないもどかしいリハビリに疲れた高橋が病院を“脱走”。約2週間、連絡が取れなかった。長光コーチは、戻ってきた高橋に「やめるならやめていい」と声をかけた。そう言えば、必ずやる気を出すと確信があったからだ。
この日、フリーの滑走前、長光コーチは高橋にいった。「今まで演技を見て泣いたことがない。泣かせてね」。演技後の同コーチには、笑顔だけが浮かんだ。「4回転ジャンプが決まらなかったから泣けないよ」。“息子”は「これじゃあ終われないね」。再び二人三脚の戦いが始まる。
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