2010年02月08日
高木出現の意味=幸運もたらす期待も−バンクーバー五輪
12日に開幕するバンクーバー五輪で、日本のスピードスケート陣(ショートトラックを除く)で最年少の五輪代表となった高木美帆(北海道・札内中)が大きな注目を集めている。思わぬホープの出現は、二つの点で大きな意味がある。
一つ目は、単純に能力への期待の大きさだ。昨年末の五輪代表選考会では1500メートルで1位となるなど、堂々の滑りで文句なく五輪代表の座をつかんだ。スピードスケートの名選手だった日本スケート連盟の橋本聖子会長が「ちゃんと育てなくては…」と緊張感さえのぞかせたところからも、高木の素材の良さがうかがえる。たとえ今大会で好結果が得られなくても、将来の日本のエースとして貴重な経験を積むことになる。
もう一つは、高木が話題を集めることで、他の有力選手たちへの注目が少なからず軽減されたことだ。高木がいなければ、男子短距離陣にもっと取材が集中したかもしれないし、フィギュアスケート勢やスキー・モーグルの上村愛子もしかり。
サッカー、イングランド代表の人気者デービット・ベッカムについて、「マスコミへの対応にしても、彼がしっかり受け止めてくれるから、われわれの負担が減る」とその存在のありがたさを語るチームメートの声を聞いたことがある。年齢や実績が大きく違うとはいえ、15歳の少女が似た役割を果たしているのかもしれない。その結果、吉井小百合や小平奈緒が少しでもリラックスしてレースに臨めれば、チームとしても幸運だ。
スケート連盟の橋本会長が日本選手団団長を務める今大会。そこに、同じ競技の後輩となる「シンデレラガール」が現れたことに、不思議な縁のようなものも感じる。
【15秒バージョン】
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