2019年03月07日
神経系に作用する薬剤(抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、精神刺激薬)
最近の動向
・抗精神病薬は統合失調症だけでなく、双極性障害やうつ病への増強療法として使用されるになったが、副作用に注意する。
・非定型抗精神病薬の注射薬が紹介され、統合失調症急性期の治療選択肢が増えた。
・隔週でなく4週に1回筋肉投与でよい非定型薬の持続効果注射薬が増えてきた。
・抗うつ薬は鎮静系と非鎮静系とに分けられ、2剤の抗うつ薬同士の併用も増えたが、副作用の増加が問題となり、単剤治療をメインに行う。
・気分安定薬も使用される機会が増しているが、過量服薬での致死性や奇形性、皮疹、ホルモン異常など副作用に注意する。
抗精神病薬
統合失調症は病因としてドパミンやその受容体の異常が考えられており、ドパミン神経路のうち幻覚妄想に関係するとされる中脳ー辺縁系路のドパミンD2受容体も遮断効果のある抗精神病薬が治療の中心となる。
第一選択薬
統合失調症:リスペリドン、アリピプラゾール(不穏がなく、外来レベルで対応可能な場合)オランザピン(糖尿病でない。あるいは同疾患の家族歴がない場合)
双極性障害:リチウム、バルプロ酸(躁状態が顕著な場合)オランザピン(躁状態)
統合失調症
精神分裂病と長く呼ばれてきたが、患者や家族、また医療従事者自身にとって、スティグマ(偏見)が強いことから「統合失調症」と改められた。
10代後半から30代前半に発症し、幻覚妄想や思考障害、意欲低下や無関心、感情の鈍麻、社会的ひきこもりといった症状で特徴づけられる。
一生の間に発症する確率は約1%とされている。
初期には頭重感、倦怠感、睡眠障害などの身体的愁訴が多い。幻覚妄想症状はその後見られ、症状が落ち着いた後に意欲低下や無関心などの陰性症状が顕在化し、慢性化しやすい。
抗精神病薬は初回エピソードの患者の70%以上で効果が見られるが、再発を繰り返すと有効率は低下する。
陰性症状への効果は不良で日常生活における問題に焦点を当てる心理社会的アプローチ(認知行動療法や社会生活技能訓練SST)やリハビリテーション(デイケアや作業療法)の併用が望ましい。
また、家族の理解を深める家族療法や就労、居住に対する援助も疾患の転帰に影響する。
薬剤の種類と特徴
1952年にクロルプロマジンの抗精神病効果が証明されて以来はフェノチアジン系、次いでブチロフェノン系が発表された。⇒これらを定型抗精神病薬と呼ぶ。
定型抗精神病薬は急性〜亜急性の錐体外路症状(EPS)である遅発性ジスキネジア、また悪性症候群などを引き起こすため長い間問題となっていたが、リスペリドンが紹介されて以降(日本では1996年)EPSの少ない非定型抗精神病薬が治療の主流となっている。
定型と非定型は効果の違いは小さく、むしろ副作用において大きく異なると言われている。
定型抗精神病薬
フェノチアジン系
総じて抗コリン作用や抗アドレナリンα1作用を認めクロルプロマジン(コントミン)、レボメプロマジン(ヒルナミンは鎮静作用と睡眠作用が強いため統合失調症以外にも躁病、衝動性、またベンゾジアゼピン系睡眠薬は無効な場合に使用される。
ブチロフェノン系
ハロペリドール(セレネース)は幻覚妄想に対する作用が強い。
躁病やせん妄などにも用いる。
抗コリン作用は弱いがEPSやプロラクチン値上昇作用が強いため注意する。
ベンザミド系
スルピリド(ドグマチール)は抗潰瘍薬であるが、低用量(50〜150)では抗うつ作用、高用量(300以上)で抗精神病薬作用が認められる。副作用として脳内移行が悪いため高プロラクチン血症が出やすく、乳汁分泌、月経異常などに注意する。
高齢者ではEPSが出やすい。
非定型抗精神病薬
現在は統合失調症のすべてのガイドラインで第一選択薬は非定型抗精神病薬となっている。
非定型抗精神病薬はEPSが少なく、副次的に抗精神病薬よりも陰性症状に対する効果があり、また抗パーキンソン病薬併用(認知機能に支障)の可能性が少なくなるために認知機能にも効果が表れる事が期待されている。
なお、EPSを少なくするための非定型性の理論としては三つある。
・抗精神病薬は統合失調症だけでなく、双極性障害やうつ病への増強療法として使用されるになったが、副作用に注意する。
・非定型抗精神病薬の注射薬が紹介され、統合失調症急性期の治療選択肢が増えた。
・隔週でなく4週に1回筋肉投与でよい非定型薬の持続効果注射薬が増えてきた。
・抗うつ薬は鎮静系と非鎮静系とに分けられ、2剤の抗うつ薬同士の併用も増えたが、副作用の増加が問題となり、単剤治療をメインに行う。
・気分安定薬も使用される機会が増しているが、過量服薬での致死性や奇形性、皮疹、ホルモン異常など副作用に注意する。
抗精神病薬
統合失調症は病因としてドパミンやその受容体の異常が考えられており、ドパミン神経路のうち幻覚妄想に関係するとされる中脳ー辺縁系路のドパミンD2受容体も遮断効果のある抗精神病薬が治療の中心となる。
第一選択薬
統合失調症:リスペリドン、アリピプラゾール(不穏がなく、外来レベルで対応可能な場合)オランザピン(糖尿病でない。あるいは同疾患の家族歴がない場合)
双極性障害:リチウム、バルプロ酸(躁状態が顕著な場合)オランザピン(躁状態)
統合失調症
精神分裂病と長く呼ばれてきたが、患者や家族、また医療従事者自身にとって、スティグマ(偏見)が強いことから「統合失調症」と改められた。
10代後半から30代前半に発症し、幻覚妄想や思考障害、意欲低下や無関心、感情の鈍麻、社会的ひきこもりといった症状で特徴づけられる。
一生の間に発症する確率は約1%とされている。
初期には頭重感、倦怠感、睡眠障害などの身体的愁訴が多い。幻覚妄想症状はその後見られ、症状が落ち着いた後に意欲低下や無関心などの陰性症状が顕在化し、慢性化しやすい。
抗精神病薬は初回エピソードの患者の70%以上で効果が見られるが、再発を繰り返すと有効率は低下する。
陰性症状への効果は不良で日常生活における問題に焦点を当てる心理社会的アプローチ(認知行動療法や社会生活技能訓練SST)やリハビリテーション(デイケアや作業療法)の併用が望ましい。
また、家族の理解を深める家族療法や就労、居住に対する援助も疾患の転帰に影響する。
薬剤の種類と特徴
1952年にクロルプロマジンの抗精神病効果が証明されて以来はフェノチアジン系、次いでブチロフェノン系が発表された。⇒これらを定型抗精神病薬と呼ぶ。
定型抗精神病薬は急性〜亜急性の錐体外路症状(EPS)である遅発性ジスキネジア、また悪性症候群などを引き起こすため長い間問題となっていたが、リスペリドンが紹介されて以降(日本では1996年)EPSの少ない非定型抗精神病薬が治療の主流となっている。
定型と非定型は効果の違いは小さく、むしろ副作用において大きく異なると言われている。
定型抗精神病薬
フェノチアジン系
総じて抗コリン作用や抗アドレナリンα1作用を認めクロルプロマジン(コントミン)、レボメプロマジン(ヒルナミンは鎮静作用と睡眠作用が強いため統合失調症以外にも躁病、衝動性、またベンゾジアゼピン系睡眠薬は無効な場合に使用される。
ブチロフェノン系
ハロペリドール(セレネース)は幻覚妄想に対する作用が強い。
躁病やせん妄などにも用いる。
抗コリン作用は弱いがEPSやプロラクチン値上昇作用が強いため注意する。
ベンザミド系
スルピリド(ドグマチール)は抗潰瘍薬であるが、低用量(50〜150)では抗うつ作用、高用量(300以上)で抗精神病薬作用が認められる。副作用として脳内移行が悪いため高プロラクチン血症が出やすく、乳汁分泌、月経異常などに注意する。
高齢者ではEPSが出やすい。
非定型抗精神病薬
現在は統合失調症のすべてのガイドラインで第一選択薬は非定型抗精神病薬となっている。
非定型抗精神病薬はEPSが少なく、副次的に抗精神病薬よりも陰性症状に対する効果があり、また抗パーキンソン病薬併用(認知機能に支障)の可能性が少なくなるために認知機能にも効果が表れる事が期待されている。
なお、EPSを少なくするための非定型性の理論としては三つある。
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