2012年11月19日
雪山における、自己責任とは。
「自己責任」。私は、この言葉が嫌いです。ですから自ら使うことはありません。(今回はタイトルの為に使いましたが)
なぜ嫌いかと言うと、本当に全ての責任を自己だけで完結させる事は、到底無理だからです。できない事を宣言するような、このワードは使いたくないのです。
万が一、山へ向かって死亡してしまった場合、自分の死後の責任はとれますか?物理的なことは事前に準備しておけばなんとかなるかもしれません。しかし、遺された遺族の悲しみの感情に対して責任はとれますか?
人は一人で生きているのではありません。色んな方々と関わりながら生活をしています。
万が一のことがあった場合に「あの人は自分の好きな事をして、天に召されたのだから本望だろう」とみなが理解してくれるように、常日頃から努力してますか。
もし、そのような方がいらっしゃるとしたら、その方は自己の責任を果たしているのでしょう。
しかし、現実にはこのような事が起こります。
積丹岳遭難死 道に1200万円賠償命令 札幌地裁 「救助隊に過失」
後志管内積丹町の積丹岳(1255メートル)で2009年2月、遭難した札幌市豊平区の会社員Aさん=当時(38)=が死亡したのは道警の山岳遭難救助隊が適切な救助を行わなかったためだとして、両親が道に約8600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、札幌地裁であった。千葉和則裁判長は「救助隊に過失があった」として計約1200万円の支払いを道に命じた。
判決によると、Aさんは09年1月31日、スノーボードをしようと知人2人と積丹岳に登り、吹雪で遭難。途中で引き返した知人らが救助を求め、救助隊は2月1日、Aさんを発見。抱きかかえて下山する際、雪庇(せっぴ)を踏み抜いて隊員とともに滑落し、さらに救助用のそりに乗せて引き上げようとしたが再びそりが滑落し行方を見失った。Aさんは翌日発見されたが、搬送先の病院で凍死と確認された。
<北海道新聞11月19日夕刊掲載>
注)実際の新聞記事では実名報道でしたが、このようなブログで記録が残る事に疑問を感じているので、匿名にしました。
救助隊に過失との判決ですが、もし仮にこの方が生還して、後遺症の残るような怪我を負った場合に、この方自身は救助隊の方を訴えることをしたのでしょうか?
今となっては知る由も無いですが、もし、私だったら命を助けて貰ってありがとうと伝えたと思います。
危険を伴う趣味を家族に理解してもらうことは、相当のパワーを必要とし難しいことだと思います。しかし、もし自己責任で危険なゾーンに向かうのであれば、そこまでの責任を全うする必要があると考えます。
おわり。
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