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略して鬼トラ
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2017年12月05日

司法書士試験 憲法と条約の関係についての憲法優位説と条約優位説

はじめに


今回,憲法と条約の形式的効力関係についての憲法優位説と条約優位説に関する択一問題を作成しました。

ところで,憲法優位説と条約の違憲審査の可否との関係性については,試験での狙い目の一つとして,ひっかかり易い論点となっているようです。

司法書士試験平成29年度午前択一第3問の肢エで上記論点が出題されています。

そこで,かかる論点の理解についても択一を解くうえ上で必要とされる問題を作成しました。
この機会に,基本書等でよくご確認されたほうがよろしいでしょう。

正解は参考文献の下に記載してあります。


[ 問 題 ]

下記(文章)の[   ]内に,憲法と条約の関係についての憲法優位説あるいは条約優位説のいずれかの語句を挿入すると完成した文章となる。完成後の文章における[イ]と[ロ]の説のいずれかに,下記AからFまでの(憲法優位説と条約優位説の各根拠の記述)を,分類した場合,同じ分類に属するものの組み合わせとして正しいものは,後記1から5までのうちのどれか。

(文章)
憲法と条約の形式的効力関係について,[  イ  ]をとるのであれば,条約の憲法適合性は論理的に問題とならないのに対して,[  ロ  ]をとった場合に初めて条約の違憲審査の可否という問題が生じてくる。

この点,[  ロ  ]をとった場合においても,なお,条約の規範形式としての特殊性を重視して,憲法81条の文言に沿って,条約の違憲審査を否定する見解がある。

(憲法優位説と条約優位説の各根拠の記述)
 憲法98条1項において条約がはずされていることに加えて,憲法81条が違憲審査の対象として特に「条約」を除外している。

 憲法99条は国務大臣,国会議員,裁判官に対して憲法を尊重すべき義務を課している。

 憲法改正の手続と条約締結の手続における手続的難易は,憲法と条約の形式的効力の優劣に対応する。

 憲法98条2項は条約遵守義務を規定している。

 条約締結権が憲法によって認められた権能であることを重視すべきである。

 憲法は徹底して国際主義を承認している。


 イ(ADF)  ロ(BCE)
 イ(ABF)  ロ(CDE)
 イ(ACD)  ロ(BEF)
 イ(ACE)  ロ(BDF)
 イ(ADE)  ロ(BCF)


( 参 考 )
憲法第81条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

憲法第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

憲法第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。




ここまでが問題

ここから先は解説



















[ 解 説 ]


(文章)の[  ]に語句を挿入した後の完成した文章は以下の通り。

(文章)
憲法と条約の形式的効力関係について,イ[条約優位説]をとるのであれば,条約の憲法適合性は論理的に問題とならないのに対して,ロ[憲法優位説]をとった場合に初めて条約の違憲審査の可否という問題が生じてくる。
この点,ロ[憲法優位説]をとった場合においても,なお,条約の規範形式としての特殊性を重視して,憲法81条の文言に沿って,条約の違憲審査を否定する見解がある。
(芦部・憲法p384〜,樋口・憲法p440〜,市川・憲法p360〜参照)


以上からすると,[ イ ]は[条約優位説]であり,[ ロ ]は[憲法優位説]となります。



それでは次に[条約優位説]と[憲法優位説]の各根拠にかかる記述を列挙します。
[問題]の肢に対応してA,B,・・・として掲記します。

[条約優位説]

A 憲法98条1項において条約がはずさていることに加えて,憲法81条が違憲審査の対象として特に「条約」を除外している。

・・・憲法の最高法規性を定める憲法98条1項において条約がはずされていること,及び憲法81条の違憲審査の対象から特に「条約」が除外されていることからすれば,憲法は条約との関係において必ずしも最高法規であることを示していない。
(佐藤功・日本国憲法概説p581〜,長尾・日本国憲法第3版p556〜,野中ほか・憲法Up429〜参照)


なお,憲法98条及び81条の規定についていうと,条約の国際法の特質に着眼して修辞上の配慮を示したまでであり,条約に対する法的取り扱いにつき別個にすることを憲法は要求するものではない,との憲法優位説からの反論があります。
(長尾・日本国憲法第3版p556〜参照)



D 憲法98条2項は条約遵守義務を規定している。


・・・憲法98条2項の条約順守義務を誠実に実行するためには,条約の誠実な執行を妨げる国内法の成立は否定されるべきであり,そのためには憲法と条約の形式的効力関係において,条約優位説をとるのが妥当である,との主張がなされます。
(長尾・日本国憲法第3版p556〜,野中ほか・憲法Up429〜参照)



F 憲法は徹底して国際主義を承認している。


・・・日本国憲法が伝統的に国家主権を超えた国際主義的な思想をとっていることを前提とすれば,形式的効力関係において,一国家のみの意思の現れである憲法よりも,国際社会の意思の現れである条約を優位するものと憲法は位置づけている,との主張がなされます。
(佐藤功・日本国憲法概説p581〜,長尾・日本国憲法第3版p556〜参照)


[憲法優位説](判例・通説(芦部・憲法p384〜参照)

B 憲法99条は国務大臣,国会議員,裁判官に対して憲法を尊重すべき義務を課している。

・・・確かに憲法98条2項は,条約遵守義務を規定しているが,しかし同時に憲法99条は,条約締結権を有する内閣の構成員たる国務大臣や,条約締結の承認権を有する国会の議員に対して,憲法を尊重し,擁護すべき義務をも課している。
(佐藤功・日本国憲法概説p581〜,野中ほか・憲法Up429〜参照)


C 憲法改正の手続と条約締結の手続における手続的難易は,憲法と条約の形式的効力の優劣に対応する。


・・・憲法改正には国民主権の現れとされる国民投票が必要とされているが,これに対して条約は,内閣による締結及び国会の承認で足りるとされており,国民投票までは要求されていない。
形式的効力において,憲法に対する条約の優位を肯定すると,国民投票を要する憲法を,国民投票を要しない条約によって憲法を改正してしまうことになりかねない。すなわち,憲法改正手続を経ることなく実質上の改憲が行われることになりかねない。
条約優位説によると,このように国民主権ないしは硬性憲法の建前に反するという事態が生じうる。
そこで,憲法改正手続と条約締結手続における手続的難易は,憲法と条約の形式的効力における優劣に対応すべきであり,憲法優位説が妥当といえる,との主張がなされます。
(佐藤功・日本国憲法概説p581〜,芦部・憲法p384〜,長尾・日本国憲法第3版p556〜参照)


E 条約締結権が憲法によって認められた権能であることを重視すべきである。

・・・条約締結権は,憲法によって認められた国家機関の権能であって,それ故みずからの権能の根拠となった憲法を変更することができるものではなく,憲法の採用する国際協調主義といっても,憲法と条約の形式的効力関係において,条約優位を論理的に導くものではない。
(木下・只野[編]・新・コンメンタール憲法p752参照)



[参考文献]
日本国憲法 橋本公亘 著 有斐閣
日本国憲法概説 全訂第五版 佐藤功 著 学陽書房
憲法 第6版 芦部信喜 著 高橋和之 補訂 有斐閣
憲法 第三版 樋口陽一 著 創文社
日本国憲法論 佐藤幸治 著 成文堂
日本国憲法[第3版][全訂第4版] 長尾一紘 著 世界思想社
憲法U 第5版 野中俊彦・中村睦男・高橋和之・高見勝利 著 有斐閣
基本講義 憲法 市川正人 著 新世社
新・コンメンタール憲法 木下智史・只野雅人[編]日本評論社
正解 1 条約優位説 イ(ADF)      憲法優位説 ロ(BCE)


以上の記述の正誤につきましては,是非ご自身の基本書,テキスト等によりご検証,ご確認ください。

                                         以  上














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