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2021年11月27日

年末の株式取引は、損出し・益出しで節税と資産改善を図るビッグチャンス(リニュアル)

株式投資で、儲かっている人もそうでない人も、年末は、節税と資産内容を大きく改善させるビッグチャンスです! 

 

◯大きく利益を上げている人 

 

賢い「損出し」で利益抑制を図り税金を回収すると共に、そのことにより来年に利益の上積みができる持ち株整理ができることになります。 

 

◯大きく損が出ている人 

 

損が出ている人は、「益出し」により、税金徴収されず売却益100%の実収入により資産改善が進み、さらに、来年に利益が出しやすい持ち株整理ができることになります! 

 

その「損出し」、「益出し」の使い方、考え方を事例でご紹介します。

 

年末の取引は、節税と来年に備えた持ち株の取得単価引き下げができるビッグチャンス

 

株式投資の資産形成には節税対策が極めて重要不可欠

株取引等には、大きな税負担が伴い、利益や配当には20.315%(所得税15%+復興特別税0.315%+住民税5%)もの税金がかかります。(100万円稼げば20万円が税金に!) 

 

また、確定申告の仕方によっては、利益は、「譲渡所得」として、配当は「配当所得」として他の所得と合算され住民税や介護保険等の負担に大きな影響を与えます。 

 

従って、株取引等での節税対策は大変重要で、特に年末での取引には細心の注意が必要です。

 

年末取引は、節税と資産改善ができるビッグチャンス

◯今年度、大きな利益が出て沢山の税金を払っている場合 

 

大きく利益が出ている一方、含み損株も沢山抱えトータルを時価評価すると、大した資産増加にもなっていない、或いは、むしろ実質資産は昨年より減っており、払った税金のみが大きかったということもありえます。 

 

挙句の果て、利益や配当が所得と見做され住民税や他の行政サービスの負担増にも繋がりかねません。こうなると悲劇ですね! 

 

◯今年度、運悪く大きく損が出ている場合 

 

一方、運悪く今年度の株式運用がうまくいかず、大きな損(配当を足しても)となっている場合、確定申告で繰越損登録すれば、来年度以降の利益と相殺できるチャンスはあります。 

 

しかし、もし、含み益がある株式銘柄を持っている場合、その株を越年して売却すると高い税金を支払わなければなりません。

 

これを、大きな損がある年内に売却すれば、税金を払わずに利益の100%が得られ資産増に繋がります。 

 

◯年末は、損出し益出しによる持ち株取得単価引き下げで資産改善が図れるビッグチャンス 

 

従って、年末は、投資家にとって「損出し」「益出し」などによる節税対策に欠かせないビッグチャンスなのです! 

 

しかしながら、個人投資家、特にネット取引専門の方は、折角の節税チャンスを生かせず大きな節税機会を逸している方が多いのではないでしょうか?

 

年末節税対策には、「損出し」「益出し」活用が必須のツール!

「損出し」「益出し」は「含み損」あるいは「含み益」の実現化手法

「損出し」「益出し」は、基本的には、「含み損」や「含み益」のある銘柄を売却処分し、同銘柄を同数、同株価で買い戻すことで「損」や「益」を実現させることです。

 

「損出し」「益出し」は、「損切り」や「利食い(利確)」とは違い、基本的には、持ち株を変えずに節税と持ち株整理ができる手法

「損出し」、「益出し」は、損を実現させ税の還付を受けたり、益を実現させ税負担なしで利益100%が受け取れる大変重要な節税手法です。

 

損出し」、「益出し」は、基本的には売却銘柄と同銘柄を同価格で買い替えるのでその銘柄の取得価格の引下げが図れる持ち株改善ができる重宝なツールなのです。 

 

「損切り」や「利食い(利確)」は、株の処分に大きな決断が必要ですが、「損出し」「益出し」は、基本的には、持ち株を変えないので躊躇することなく実行できるのも魅力です。 

 

なお、「損出し」、「益出し」の詳細は「株取引の年末節税対策に欠かせない「損出し」「益出し」手法とは?」をご覧願います!

 

「繰越控除制度」は、損失補てん措置とも言える優遇措置で、節税や損失の挽回に欠かせない重要な制度

「繰越控除制度」は、過去の損失と通算して利益圧縮による節税ができる優遇措置

「繰越控除制度」は、年間において株取引等で損失が出た場合、その損失を翌年以降に繰り越して、利益が出た場合に、利益を圧縮して税負担が軽減できるものです。 

 

従って、「繰越控除」は、節税の為の貴重な負の資産と言え、「繰越控除」があれば、その分、高い株式取引税20%を支払わずに済みます。

 

繰越損の有効期間は3年で、3年経てば時効になる

「繰越損=繰越控除」は、確定申告により3年間繰り越せ、その間は利益と相殺して利益圧縮による節税メリット(減額された金額の20.315%)が税還付されます。 

 

従って、繰越損は、節税のためには非常に重要な役割を担っています。 

 

⦿繰越損の有効期間と留意点

 

損の繰越時期 損益通算の有効期限
3年前の繰越損 今年限りで時効。今年の利益と相殺して、損が残れば消滅します。
2年前の繰越損 3年前の繰越損で相殺しきれなかった場合、この2年前の繰越損とのと相殺を行う。残れば来年まで有効。
1年前の繰越損 2年前の繰越損で相殺しきれなかった場合、この繰越損との相殺を行う。残れば再来年まで有効。

ここで言う「利益」には、取引による利益と配当額の合計を意味します。

 

「繰越控除がある場合」は、それを最大限に生かすことが運用成績を上げる上で非常に重要!(損が益を生む大切な資産?)

このため、「繰越控除がある場合」は、まずその恩恵(メリット)を最大限生かすことが一番の節税対策となります。

 

※「損失の繰越控除とは」
年間取引において、損益通算を行っても本年分の損失を控除しきれない場合は、翌年以降にその損失を繰り越して翌年以降の利益から控除することができる制度です。
損失は、「譲渡損失の繰越控除」として、翌年以後、「最長3年間繰越し可能」で、翌年以後の利益から控除することができます。
また、「配当所得」との損益通算も可能です。
ただし、繰越控除の適用を受けるためには、確定申告が必要であり、取引がない年があっても、繰り越す期間は連続して確定申告をしなければなりません。

 

繰越損活用の基本的な考え方

繰越控除額は、年内取引の「利益(配当分含む)」と相殺できます。 

 

従って、繰越損が活用できるのは、あくまでも今年の取引が黒字(利益+配当)であることが前提になります。 

 

3年間の繰越損合計の範囲であれば、今年の利益(含む配当)がいくら大きくても、税金は全額、還付されます。 

 

しかしながら、注意を要するのは、確定申告によっては、繰越損との相殺前の利益が介護保険料の算定に用いられる場合があるので留意が必要です!

 

国民健保加入者の介護保険料は、所得割が基礎であり、株式取引等の譲渡所得が合算される場合、繰越損との相殺を認めず介護保険料アップに繋がります
(⇒「介護保険@|今更聞けない介護保険制度のしくみと保険料の計算・支払い」

 

このため、今年の利益をあまり大きくすることは得策でない場合があるので、極力、今年の利益圧縮による節税により力を入れるべきだと考えます!  

 

繰越損や利益状況によるケース別節税対策事例

繰越控除と利益有無による4つケース別対策紹介

年末の節税対策では、前年の繰越控除※(以下「繰越損」という)があるかないかで戦略は大きく変わります。

繰越損の上手な使い方が節税効果に大きく影響します。

繰越損がない場合は、今年だけを考えれば良いが、繰越損がある場合は、繰越損をどううまく使うかが上手な節税効果に繋がります。 従って、「繰越損のある場合」と、「ない場合」のそれぞれにおいて、「利益が出ている場合」と「損となっている場合」とで、節税戦略は、大きく変わります。

繰越損と運用状況による4つのケース分け

このため、「損出し」と「益出し」の具体的対策を、実際に置かれた背景(前年度までに繰越損があるかないか)と運用状況(益となっているか損となっているかの運用成績)によって、以下の4つのケースに分けてご紹介します。 

 

対策紹介事例の4ケース区分表

繰越控除 今年度運用状況 ケース
T.前年度までに繰越損がない 今年度は利益(含む配当)が出ている T‐@
今年度は赤字(含む配当)となっている T‐A
U.前年度までに繰越損がある 今年度は利益(含む配当)が出ている U‐@
今年度は赤字(含む配当)となっている U‐A

なお、「利益」は、「売買益と配当の合計」、「損」は、「売買損に配当を加算しても損が残る」ことを意味します。

 

以下の株式取引は「特定口座で源泉徴収あり」を前提とします

ここでの株式取引の前提を次の通りとします。

 

・「1つの特定口座内」で「源泉徴収課税を選択」した取引とする。
取引ごとに税金の「徴収」と「還付」が行われるものとする。
・翌年初めに配当分を含めた1年間の徴収税額が証券会社から税務署へ納付される。

 

なお、複数口座間、一般口座取引、源泉徴収なし選択であっても、1年間を通した取引損益、配当収入により、必要に応じた複数の特定口座・一般口座間の損益通算などを行って確定申告しますが、考え方は同様です。  

 

ケースT‐@
「前年度迄に繰越損がなく、今年度は利益が出ている」場合の対策事例

<節税対策の基本スタンス>

このようなケースの場合、前年度までの繰越損が確定申告されていないので、今年度の利益によって徴収された税金の回収(節税)に焦点を当てた節税対策を講じれば良い。 

 

従って、年末に取り組む対策のスタンスは、次のような点に留意することになります。

 

[節税対策の基本スタンス]

⦿極力「含み損のある株」の「損出し」を進め、「利益の圧縮による税還付を受ける」とともに、「損出し」で買い直した同銘柄株の平均取得単価引き下げる
(=次年度での利益確保のしやすい環境を整える)

⦿なお、「損出し額」が今年の利益を上回っても、確定申告で繰り越せば、来年以降の節税に利用できることに留意。
従って、可能な限り含み損を減らしておきたいものです!

事例による具体的対策

[想定事例] 

「大きな利益、配当を得たが、一方、含み損のある株も多数所有しているため、時価評価すると資産はさほど増えていない」 

 

事例の具体的な数字の想定は次の通りとします。※税率は20%(以下同じ)

 

年初の「株式資産」は、帳簿上3,000万円(含み益。含み損株は0株)だった
今年の収益は、利益500万円と配当100万円、計600万円の黒字であった
徴収された税金(20%)は、株取引で100万円、配当で20万円、計120万円であった

以上より利益、配当合わせた「税引き後の実収入」は480万円(600万円−120万円)で、「帳簿上の株関係資産」は3480万円(3,000万円+480万円)となった。
なお、株の含み益合計は200万円、含み損合計は400万円となっている。
すると、時価換算で資産評価すると実質は、3280万円(+200万円-400万円)となる。

従って、年初の3000万円の資産は、帳簿上では480万円増加しているが、実質は280万円の増加となっている
また、取引と配当で600万円稼いだが、実質は280万円の資産増加にすぎず、支払った税金は120万円となっている。

 

以上の状況から、年末の節税対策としてやるべきことは、次のような内容が望ましい方策と考えられます。

 

<対策>

今年度の利益合計600万円(利益500万円+配当100万円)で税金120万円を収めているので、まず、この利益を極力圧縮する。

このため、含み損のある株400万円を損出しして、同銘柄を同株数、同株価で買い直し、税還付80万円(400万円の20%)を受ける。

<対策効果>
@この結果、資産は、帳簿上3,160万円(3,480万円−400万+80万円)となり、対策前に比べ320万円減少するが、含み損が0になるため、時価での実質資産は3,360万円となり、対策前の実質3,280万円に比べ実質80万円が改善(節税)された。


A更に、損出しで同株を同値で買い直した結果、同株の取得価格を400万円分下げたことになるため、次年度以降での利益確保が期待できることになる!

➂また、利益(含む配当)の圧縮により住民税や介護保険等への影響を軽減できます。

※なお、信用株の損出しは、損金の80%分の現金が減ることを承知で判断する必要あり。

 

 

ケースT‐A
「前年度迄に繰越損がなく、今年度は赤字となっている」場合の対策事例

<節税対策の基本スタンス>

このようなケースの場合、繰越損がないので、今年度の赤字を活用した「評価益のある銘柄の益出し」による節税対策を講じれば良い。 

 

従って、年末に取り組む対策のスタンスは、次のような点に留意することになります。

 

[節税対策の基本スタンス]

 

⦿運用実績が赤字のため、赤字の範囲なら売却益に税金がかからず売却益の100%が収入となる。

このメリットを生かし、極力、評価益のある銘柄を赤字の範囲内で「益出し」に注力する。

逆に、この「評価益のある銘柄」を翌年に持ち越して利食いした場合、20%の税金が徴収されて利益が損なわれることになります。

事例による具体的対策紹介

[想定事例] 

「株取引で大きな損がでており、配当収入を含めても、大きな赤字となっている。一方、含み損のある株もあるが、含み益のある株も多数所有している」 

 

なお、事例の具体的な数字の想定は次の通りとします。※税率は20%(以下同じ)

 

年初の株関係資産は、帳簿上3000万円(含み益、含み損株は0株)だった。
株式取引は500万円の損で配当100万円を含めても計400万円の赤字となっている。
税金は、株取引で0円、配当で20万円、計20万円となっている。

従って、利益、配当合わせた税引き後「実収入」は-420万円(-500万円+80万円)で、 帳簿上の資産は、2580万円となっている。
なお、持ち株の「含み益合計」は、400万円、「含み損合計」は、-200万円になる

従って、現在の資産は、実質2780万円(2580万円+400万円−200万円)となる

 

以上の状況から、年末の節税対策としてやるべきことは次のような内容が望ましい方策と考えられます。

 

<対策と効果>

今年度収支は、400万円の赤字(‐500万円+配当100万円)となっているため、「税金を払わずできる益出し」は、400万円まで可能です。

従って、含み益400万円を全て益出しすれば、税は一切かからず、400万円の資産増加が図れます。(仮にこの400万円の含み益ある株を来年に持ち越して利確すれば80万円の税金がかかる)

400万円益出し後の資産は、帳簿上2980万円(2580万円+益出し400万円)となり、含み益0万円、含み損-200万円が残るため、実質資産は2780万円となります。
なお、年明けに配当の税金20万円が還付され、帳簿上は3000万円、実質は2800万円になります。

これにより、帳簿上の資産は、対策前2580万円から対策後3000万円に実質の資産は、2780万円から2800万円に改善された。

実質資産は、益出しの為、対策前とあまり変わらないが、帳簿上の資産を大幅に改善させることができ、何よりも、400万円の益出しに税金がかからないため80万円の節税ができました。

また、益出しにより、売却株と同銘柄を同値で取得したので、同株の取得価格を400万円分上昇させたことになり、次年度以降の売却時での利幅を小さくするため税金を節減できることになります。

以上から、損金額(損金+配当額)を上限として、極力多くを益出しすることがもっとも節税を大きくすることになります。

 

ケースU‐@
前年度までの繰越損があり、今年度は利益が出ている」場合の対策事例

◯繰越控除の活用ポイント

繰越控除制度は、3年間が有効期間であるため、3年前の繰越損は今年で権利が消滅します

一方、2年前分、1年前分の繰越損は、来年以降の節税対策で使えるので、今年使わずとも次年度以降のためにとっておけます。 

従って、上手い節税法は、「まず3年前分の繰越損を使い切る」ことを目標とし、2年前分、1年前分は、次年度以降の節税用に残しておく方法です。
(しかし、現在の持ち株に含み損株が多く、含み益株が少ない場合で来年度もあまり期待できそうでなければ繰越損活用が優先となります。) 

 

以上から、今回の節税対策は、3年前の繰越損を最大限活用する(使い切る)ことを前提に組みたてます。

 

           繰越控除の活用ポイント
@「今年の利益」が「3年前の繰越損」を下回る場合は、「益出し」を優先させる
(3年前の繰越控除額の枠を残さない為)

A「今年の利益」が「3年前の繰越損」を上回る場合は、上回る部分については損出しも併用して、極力、2年前、1年前の繰越損は、来年以降の節税対策用に確保しておきたいものです。
➂今年の取引が損となっている場合は、「益出し」を優先して税金を払わずにすむメリットを最大限生かして資産増を図る。

<節税対策の基本スタンス>

前年度までの繰越損があるので、過去の繰越損の状況を見て、今年度の利益の大きさをどの程度にするかを考える必要があります。 

 

従って、年末に取り組む対策のスタンスは、次のような点に留意することになります。

 

[節税対策の基本スタンス]

 

⦿3年前の繰越損を有効に使いきることを念頭に、今年の利益(売却益+配当)が、3年前の繰越損を上回っているか、下回っているかの2ケースに分けて対策します

a)「3年前の繰越損を上回る利益が出ている
 ⇒上回る部分の圧縮を図るため「損出し」を優先させる

b)「利益が3年前の繰越損を下回っている
 ⇒3年前の繰越損を帳消しにできる利益を確保するため、「益出し」を優先させる。

 

a)「3年前の繰越損を上回る利益が出ている」場合

事例による具体的対策紹介

[想定事例] 

「3年前の繰越損を上回る利益(含む配当)が出ている一方、含み損のある株も多数所有しているため、時価評価した株関係資産はさほど増えていない」

 

なお、事例の具体的な数字の想定は次の通りとします。※税率は20%(以下同じ)

 

「3年前の繰越損」が400万円ある。(「2年前」は0万円、「1年前」は200万円)
・年初の株関係資産は、帳簿上3000万円(含み益及び含み損のある株は0株)だった。
・今年の収益は、利益500万円と配当100万円、計600万円の黒字となっている。
徴収された税金20%は、取引で100万円、配当で20万円、計120万円となっている

以上より利益、配当合わせた税引き後実収入は、480万円(600万円−120万円)で、 帳簿上の資産は3480万円となっている
なお、株の含み益合計は200万円、含み損合計は400万円となっている。

従って、現在の資産は、時価換算で実質3280万円(+200万円-400万円)となる。
資産は、帳簿上では480万円増加しているが、実質は280万円の増加となっている。

 

以上の状況から、年末の節税対策としてやるべきことは次のような内容が望ましい方策と考えられます。

 

<対策と効果>

今年の利益は、配当込みで600万円あり、既に3年前の繰越損400万円を200万円上回っている。
このため、1年前の繰越損200万円を使えば、繰越損が600万円となり、黒字600万円を全てを帳消しにでき、還付金120万円が得られ、実質資産は3400万円(帳簿上3600万円+含み益200万円-含み損-400万円)となる。

しかし、この場合、以下のデメリットも生じます。
@「繰越損を全て使い切り来年度以降の節税に利用できなくなる」
A「折角の含み損400万円で相殺できる節税メリットを放棄することになる
➂「含み損400万円を抱えたまま持ち越しとなって次年度以降の株価対策(取得単価引き下げ効果)に繋がらない」、
C「繰越損と相殺の場合、国民健康保険加入者の介護保険料算定には過去の繰越損との相殺は認められず、利益(含む配当)が所得に合算され保険料負担が大きくなる懸念が高くなる」
等のデメリットが多くなります。

従って、このような場合は、「3年前の繰越損400万円を有効に使い切る」ことを第一優先に対策することが、節税メリットを最大限活用することに繋がると思われます
このため、「3年前の繰越損は400万円なので、今年の利益600万円(含む配当)の内、400万円を充てることとし、残った200万円の利益を圧縮するために、含み損400万円の内200万円を損出しします。

この場合、200万円の損出しで帳簿上の資産は、3320万円(3480万円-損出し200万円+税還付40万円)となり、含み損は400万円から200万円に縮小させました
また、実質資産は、含み益200万円、含み損200万円から3320万円となり、対策前の3280万円に対し40万円改善されました。
さらに、利益400万円が、確定申告で3年前の繰越損400万円と相殺され80万円が税還付され、最終的に、帳簿上資産は3400万円、実質資産も3400万円となります。

このことにより、
@1年前の繰越損200万円は、次年度以降の節税に利用できる形で繰り越せます。
A200万円の損出しにより買い替えた持ち株の取得単価が切り下げられた為、次年度以降の利益上積みが期待できます。
➂今年の利益(含む配当)を圧縮したので、住民税等への負担増への影響を軽減できます。
以上より、3年前の繰越損の活用を第一優先とし、それを上回る利益については、含み損のある株の「損出し」で利益圧縮を図ることが最大の節減対策と考えます。
もちろん、今回の場合、含み損400万円の内200万円のみを損出ししましたが、全額損出しして最終的に赤字になっても、繰越控除ができるので新たな節税のための繰越損確保となります。

 

b)「利益が3年前の繰越損を下回っている」場合

事例による具体的対策紹介

[想定事例] 

「利益(含む配当)が出ているが、3年前の繰越損を下回る。また、含み損のある株も多数所有しているため、時価評価した株関係資産はさほど増えていない」

 

なお、事例の具体的な数字の想定は次の通りとします。※税率は20%(以下同じ)

 

・3年前の繰越損が400万円ある。(2年前は0万円、1年前は200万円)
・年初の株関係資産は、帳簿上3000万円(含み益、含み損株は0株)だった。
・今年の収益は、利益200万円と配当100万円、計300万円の黒字となっている。
徴収された税金は、取引で40万円、配当で20万円、計60万円となっている。

以上より利益、配当合わせた税引き後実収入は240万円(300万円−60万円)で、  帳簿上の資産は3240万円となっている。
なお、株の含み益合計は200万円、含み損合計は400万円となっている。

従って、現在の資産を時価でみると実質3040万円(+200万円-400万円)となる。
年初の資産は、帳簿上では240万円増加したが、実質は40万円しか増加していない。

 

以上の状況から、年末の節税対策としてやるべきことは次のような内容が望ましい方策と考えられます。

 

<対策と効果>

今年の利益は配当込みで300万円あるが、3年前の繰越損400万円100万円下回っている
3年前の繰越損は今年で消滅するので、このままだと100万円分の節税減機会を逸してしまいます。
3年前の繰越損400万円を最大限有効に使い切るためには利益(含む配当)を400万にする必要があります

このため、含み益を利用し100万円の益出しを行います。
これにより、帳簿上資産は、3320万円(3240万円+益出し100万円-税金20万円) 、実質資産は、3020万円(帳簿上3320万円+含み益100万円−含み損400万円)となります。
これにより、確定申告で今年の利益400万円が繰越損400万円と相殺され80万円の税還付を受けます。

帳簿上資産は3400万円(3320万円+税還付80万円)となり、含み益100万円と含み損400万円を加味すると実質資産は、3100万円となります。

なお、さらに損出しをして、持ち株の取得単価引き下げなどを進めたい場合は、併せて同額の益出しが必要(3年前の繰越損を全て活用するためには)となります。

 

ケースU‐A
前年度までの繰越損があり、今年度は赤字」の対策事例

<節税対策の基本スタンス>

このようなケースの場合、前年度までの繰越損があるが、今年度が赤字のため、まずは、今年度の赤字縮小のための益出しを基本に考える必要があります。 

 

従って、年末に取り組む対策のスタンスは、次のような点に留意することになります。

 

[節税対策の基本スタンス]


⦿赤字(含む配当)の場合は、繰越損の活用ができないので、最終的に利益が出るよう「益出し」に注力する。
たとえ最終的に利益(含む配当)が出ず、せっかくの3年前の繰越損を活用できなくても、損が出る間は、税金を引かれず益出しができるので、含み益のある株は、益出しで節税効果を享受すべきと考えます。
従って、繰越損があり、年内取引が赤字の場合、極力益出しに専念して税金を払わず資産増を図ることが得策。
事例による具体的対策紹介

[想定事例] 

「前年度までの繰越損があるが、今年の株取引は、配当収入を含めても大きな損となっている。一方、含み損のある株もあるが、含み益のある株も多数所有している」 

 

なお、事例の具体的な数字の想定は次の通りとします。※税率は20%(以下同じ)

 

・3年前の繰越損が400万円ある。(2年前は0万円、1年前は200万円)
年初の株関係資産は、帳簿上3000万円(含み益及び含み損のある株は0株)だった。
・今年の取引で500万円、配当100万円を含めても計400万円の赤字となっている。

源泉徴収された税金は、株取引で0円、配当で20万円、計20万円となっている。
従って、利益、配当合わせた税引き後実収入は-420万円(-500万円+80万円)で、 帳簿上の株関係資産は2580万円となっている。
なお、持ち株の含み益合計は400万円、含み損合計は200万円になる。
従って、現在の資産を時価評価すると実質資産は2780万円(2580万円+400万円−200万円)となっている。

 

以上の状況から、年末の節税対策としてやるべきことは次のような内容が望ましい方策と考えられます。

 

<対策と効果>

3年前の繰越損が400万円あるが、今年度の運用状況は、配当100万円含めても赤字の400万(‐500万円+配当100万円)となっている。
一方、持ち株の含み益は400万円あるが、これを全て益出ししても、収支がトントンとなり、繰越損と相殺できる利益が確保できません
従って、せっかくの節税の為の繰越控除は使えず消滅してしまうことになりますが、 この場合、残された期間、含み益のある持ち株の益出しを最大限行使し、含み益400万円全てを益出しすれば、本来(又は翌年)かかる税金80万円が節税できます。

400万円益出し後の資産は、帳簿上は2980万円(2580万円+益出し400万円)となり、含み損200万円を加味した実質資産は2780万円となります。
なお、年明けに配当の税金20万円が還付されるので、帳簿上資産は3000万円実質資産は2800万円になります。
益出しの為、実質資産は対策前とあまり変わらないが、払わずに済んだ税金80万円の節税が損失の補てんとなりました。

  

以上、数字を使い対策の考え方をご紹介しました。

ご参考になれば幸いです。  

まとめ

年末の株式取引は、損益状況と過年度の繰越控除に照らして節税対策と持ち株の資産改善が図れるビッグチャンスです。 

しかし、計画立てて実行していかないと、相場状況で機会を逸してしまう可能性もあります。 早め早めの対策実施でちょうどいいと思います。 

損出し、益出しによる節税と持ち株改善がうまくいくことをお祈りします。

 

ーーーーーーーーーーーーー  完  ーーーーーーーーーーーーーー

 

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2021年11月26日

株式取引等譲渡所得の年末節税対策に欠かせない損出し、益出し手法(リニュアル)

年末を控え、今年の株式取引等譲渡所得の節税対策は十分ですか? 

 

株式投資や投信取引等で大きく利益が出て多額の税金を払っている方や、逆に大きく損を出している方もおられると思いますが、いずれにしても年度末を迎え、大きく利益が出てたくさん税金を払っている場合は、少しでも利益を減らして税金を戻したいものですね。

 

逆に、損を出している場合は、極力、評価益のあるものを利益処分して税金支払いなしで利益100%を現金化したいものですね。

 

そして、来年度に利益を出しやすい状態にしたいものです! 

 

そのためには、「損出し」及び、「益出し」手法は欠かせないものです!

 

 

 

年末の株式等取引は、節税と来年に利益を出しやすい持ち株入れ替えができる最大のチャンス!

 

株式投資や投信等において、年末取引は、この1年間で利益が出ている人も、損が出ている人も、節税と来年に利益を出しやすい持ち株入れ替えを行なう大きなチャンスでもあります。(ここで言う利益は配当等も含みます) 

 

しかし、個人投資家、特にネット取引専門の方は、証券会社等からの直接のアドバイスがない為、折角の大きなそして取り返しがつかない節税機会を、また、来年に備えた利益体質のある銘柄入れ替えのチャンスを逸してしまう方が多いのではないかと思います。

(非常にもったいないことですね!)

 

株式取引等の税負担は、利益(含む配当)の20%と税負担は重く、又、来年の住民税等の負担増に影響しかねません!

 

株式取引等投資には、大きな税負担が伴い、利益や配当には20.315%(所得税15%+復興特別税0.315%+住民税5%)もの税金がかかります。 

 

また、確定申告の仕方によっては、利益は譲渡所得として、配当は配当所得として他の所得と合算されて住民税やその他の社会保険や行政サービス負担にも影響を与えます。 

 

従って、株式取引等の投資に伴う節税対策は大変重要です。

 

年末取引は、今年の運用状況を見ながら大きな節税対策が打てる最大のチャンス!

 

特に、年末での取引は、今年の運用状況を見ながら、利益の出ている場合は、利益圧縮を、損が出ている場合は、税金を払わずに益出しの100%が現金化できる大きなチャンスでもあります。

 

これらについては、細心の注意を払って、節税対策を行う必要があります。 これを見逃し放置し来年となれば全ての節税機会を失った形になります(気づかなければそれまでですが?)

 

節税対策には「損出し」「益出し」手法が重要で必須!

 

「損出し」「益出し」の仕組み

 

損出し」「益出し」は、「損切」「利食い」と違って、基本的には、「持ち株を変えず」に、「含み損」あるいは「含み益」を実現させ、税の還付を受けたり、税負担なく利益の100%を受け取れる「節税手法」です。

 

「損切り」や「利食い(利確)」は、その株を「処分する」ことになるので大きな決断を強いられます。 

 

しかし、「損出し」「益出し」は、基本的には、売却した銘柄と同じ銘柄を同株数、同値で買い直すことを前提にしているため、実質的には、持ち株そのものには変動がなく「損」又は「益」を実現させることができるのです。

 

例え、その株価が上に行こうと、下に行こうと、持ち続けていれば同じことなので失敗ということはあり得ません。 従って、節税には、極めてありがたい手法であり、気楽に実行できます。

 

「損出し」「益出し」の節税メリット

 

「損出し」のメリット

 

「損出し」のメリットは、簡単に言うと、「持ち株を変えずに、含み損のある株のを実現させて、今までの利益で徴収された税金を取り戻せること」です。 

 

つまり、今年のこれまでの取引でトータルとして利益(含む配当)が出ている(税金を払っている)場合に、「含み損のある株」(含む信用買株)を売却し「損を実現させる」ことにより、これまでのトータル利益を減らし税の還付(※ここでは、特定口座内取引で源泉徴収を選択していることを前提にします。※以下同じ)を受ける取引です。

 

「損出しによるメリット」は、節税だけでなく、買い替えた同株の買い付け値が、この株の買値を引下げることにもなるので将来の利幅拡大にも繋がるという点です。 

 

また、「損出し」は、今年度の譲渡所得の抑制になり、住民税やその他の公的負担への影響軽減にも役立ちます。

 

「損切り」との違い

 

「損切り」と異なるのは、「損出し」の場合は、売却と同時に、同銘柄を同値で同数買い直し実質的には持ち株を変えず「損」だけ実現させる取引行為を指します。 

 

もちろん、同株でなく他の株へ乗り換えても良く、「損の実現」が最大目的で他の株への乗り換えもその時の価格で買い付けるという意味では考え方は同じです。

 

「益出し」のメリット

 

「益出し」のメリットは、簡単に言うと、持ち株を変えずに、「含み益のある株」の「益を実現」させて、税金を払わず(トータルとして赤字であるため)に利益が得られることです。

 

「益出し」とは、これまでの取引で損(配当を含めても損になる)となっている場合に、含み益のある株(含む信用買株)を売却し、「税負担なし」で「利益の100%」を現金で受け取る為の取引です。

「利食い」との違い

「利食い」と異なるのは、「益出し」の場合は、売却と同時に、基本的には、同銘柄を同値で同数買い直し、実質的に、持ち株数を変えずに「益」だけを実現させる取引行為を指します。 

 

つまり、持ち株(数量、価格)を変えずに「益」だけ実現させることになります。 

 

もちろん、同株でなく他の株へ乗り換えても良く、「益の実現」が最大目的で他の株への乗り換えもその時の価格で買い付けるという意味では考え方は同じです。 

 

但し、「益出し」の場合、既に値上がりしての利益なので、買い直しは、更に上値が見込まれ同株を保有し続けたいという気持ちがないと難しいですが、単に「益出し」と考えれば、願ってもない手法です。 

 

また、「益出し」は、利益の100%を現金で受け取れる最大のメリット以外に、買い替えた同銘柄の買い入れ値は高くなっているため、翌年以降に値上がりで利確する場合に利幅がその分小さくなっているので税金は少なくて済みます。

 

「損出し」「益出し」の「同株買い替え」のやり方と、現物株と信用株とのやり方の違い

 

「損出し」「益出し」は、通常、売却と同時に、同株を同数、同価格で買い入れることが基本的な考え方です。 

 

しかし、これは、信用取引では、容易に、同株を同数同価格で買い入れできますが、信用取引をされていない場合は、少し工夫が必要になります。

 

「損出し」「益出し」株が現物株の場合の「同株買い替え」のやり方

 

現物株の場合、「損出し」「益出し」で売却する株と同銘柄を同日に現物で買い直しをすると、買い直し株の買い入れ価格が、売却株の平均取得単価に組み入れられるので、「損出し」「益出し」の損益が縮小されてしまい効果が薄まってしまいます。 

 

◯信用取引できる場合 

 

従って、「損出し」「益出し」で売却する株が現物株の場合、最もいい方法は、信用を使って同株を同数、同値で買い直しすることです。 

 

やり方は、いろいろできますが、当日の寄付き前に、売りと買いを成り行きで注文すれば容易にできます。(但し、極端に取引が少ない銘柄はブレに注意してください) 

 

◯信用取引できない場合 

 

信用が利用できない場合は、現物の売りに対し、現物の買い替えは、翌日以降の買い付けとなります。従って、同値では難しくなりますが、余程の変動がない限り翌日に買い付けるのが落ち着くと思います。 

 

このため、信用取引ができるように契約しておくことが便利と思われます。(但し、信用取引は、無理にはお勧めしません)

 

「損出し」「益出し」株が信用建玉の場合の「同株買い替え」のやり方

 

「損出し」「益出し」で売却する株が「信用建玉の場合」は、同日に現物株買いであろうと信用買いであろうと、当日の寄付き前に、売りと買いを成り行きで注文すれば容易にできます。
(但し、極端に取引が少ない銘柄はブレに注意してください) 

 

但し、「損出し」株が信用建玉である場合は、「損出し」により、損を実際に現金で決済しなければなりません。(つまり、現金が減ります。現物での損出しの場合は、含み損の実現なので資産は目減りしません!) 

 

従って、信用建て玉を損出しする場合は、損金の20%は還付金で戻りますが、80%分は現金が失われます。

 

しかし、同銘柄を同値で買い直せば同銘柄の買い入れ値を下げたことになるので、その分利食いのチャンスは広がり利幅も大きくなります。 

 

従って、評価損のある信用建玉を「損出し」する場合は、損金の80%分の現金が一時的に失われることを承知で、維持率等を勘案して判断する必要があることに注意願います。 

 

以上のように、「損出し」「益出し」は、今年の株取引の運用状況に応じて、節税と株の仕入れ値も調整ができる手法で、年末における節税対策には欠かせません。

 

「損出し」「益出し」手法を使う主な場面

 

株式等取引における年末節税対策は、今年のこれまでの運用成績や過去の繰越損(確定申告で登録済みがある場合)の有無などで基本スタンスが決まります!

 

「損出し」は、利益(含む配当)圧縮の年末節税対策に力を発揮します!

今年度に大きな利益(含む配当)が出ている場合、含み損のある株の「損出し」により、損金の20.315%が還付されるので、現物株に含み損がある場合、極力、「損出し」で利益を圧縮し税金の還付を受けるのが基本スタンスです。 

 

たとえ、利益よりも損出しで損が出ても、配当分(利益の1種)があり、利益+配当額まで損出しすれば、両者にかかっていた税金が100%が回収できます。 

 

また、それ以上の損出しであっても、確定申告で「損は繰越しできる」ので来年以降の節税対策に利用できます。 

 

従って、含み損を抱える現物株(信用も可)については、損出しは、節税の大きな武器になります。

 

「益出し」は、運用が赤字(含む配当)の場合、税金を払わずに利食いできるので、年末節税対策に力を発揮します!

 

「益出し」は、基本的には、運用がトータル赤字(損+配当)の場合に使います。 

 

運用がトータルで赤字であれば、含み益のある株を「益出し」すれば、税金20.315%を払わずに利益が100%受け取ることができます。(益出ししても運用トータルが赤字であればです) 

 

もし、含み益のある株を来年以降に持ち越して利食いすると税金が徴収されることになります。従って、トータル運用成績(配当も含めて)があかじであれば、年内で益出しすると、節税をしたことになります。

 

なお、年末節税対策には、「繰越損」の有無も重要

 

年末の節税対策は、今年のこれまでの運用状況を見て「損出し」「益出し」を駆使して取り組まれることが大事ですが、実は、確定申告で「繰越損」を税務署に申告しているかどうかも重要となります。 

 

過去に繰越損(苦い思いをした遺物)があれば、それを活用することが、過去の損を生かすことになります。 

 

従って、下表のように区分して、今年の仕上げをどうしたいかを考えると、より具体的に、年末節税対策として取り組むべき課題が明確になってくると思います。 

 

詳細は、 株取引の年末節税対策|素人でもわかる節税の手引き(損出し益出し)」をご覧願ます。

 

T.前年度迄の繰越損がない場合 +.今年度の取引が黒字(利益がでている)の場合
−.今年度の取引が赤字(損がでている)の場合
U. 前年度迄の繰越損がある場合 +.今年度の取引が黒字(利益がでている)の場合
−.今年度の取引が赤字(損がでている)の場合

 

※利益は、「売買益と配当の合計」、損は、「売買損に配当を加算しても損が残る」ことを意味します。

 

まとめ

 

「損出し」「益出し」は、節税や銘柄の組み換え等に大変威力を発揮する手法です。

 

 年末における皆様の置かれた運用状況は様々ですが、ケースバイケースで「損出し」「益出し」を活用されれば、頭を抱えていた状況も少しは整理がし易く年末対策が打ちやすくなるのではと期待しています。 

 

なお、具体的な「損出し」「益出し」の活用事例を
株取引の年末節税対策|素人でもわかる節税の手引き(損出し益出し)
でご紹介していますのでご覧いただければ幸いです。

 

 

ーーーーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーーーーー

 

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2021年11月25日

年末の節税対策は十分?|年末にできる節税対策と大きい節税効果(リニュアル)

年末を控え節税対策は十分ですか? 

 

サラリーマンの方は、この時期、会社では年末調整として、今年1年間の給与所得に見合った納税額の過不足調整が行われ、多くの方は、払い過ぎた税金が戻ったのではないでしょうか? 

 

さて、年末は、そういったサラリーマンの方も、また、年金生活者や自営業者、個人事業主の方にとっても、今年度の課税額を見積もった上での節税のチャンスがたくさんあります。 

 

年末の節税効果は、今年度ばかりでなく、来年度の住民税等の節税等に直結しますので、残された期間、しっかりと節税対策を打ちたいものです!

 

 

 

年末節税対策は、今年度の節税額をMaxにし、来年度の住民税等の負担軽減を図る最後のチャンスです!

 

年末は、今年度所得税等の節税をMaxにする最後のチャンス

 

給与所得者の方は、会社の年末調整で今年度の所得税や住民税の確定が行われ、給与所得に関わる所得税や住民税は一旦確定します。 

 

しかし、こういった給与収入者も含めて、年金生活者や自営業者、個人事業主の方も、年末までの期間に節税できるチャンスは沢山あります。 

 

例えば、給与、年金、事業等の主たる所得以外において、株式取引等による「譲渡所得」がある場合は、譲渡所得の削減で節税できます。 

 

また、ふるさと納税の限度枠が残されていれば、さらなる節税に活用できます。 

 

家族の合算医療費が、所得控除の対象となる10万円に僅かに及ばない場合は、診療の前倒しで控除が受けられ可能性があります。 

 

また、配偶者控除の適用を受ける為に、パート収入を抑制することもできるかも知れません。 

 

副業や自営業者、個人事業主においては、必要経費の前倒し等による節税効果も得られるかも知れません。

 

主な節税項目は、株式取引等の譲渡所得、ふるさと納税、医療費控除、パート収入抑制、必要経費の前倒しなどがある

 

給与所得者、年金所得者、自営業者や個人事業主においては、残された期間に以下のような節税チャンスがあります。 

 

@「ふるさと納税」の限度枠活用 

A「株式等譲渡所得」の削減 

「医療費控除」の適用可能額への調整 

C「配偶者控除」適用の為のパート収入の抑制 

D副業や事個人事業主における「必要経費」の前倒し 

等々です。 

 

これらの項目の多くは、普段において実行すべきことが多いのですが、この1年間の経過を見て、残された期間に対策することで、大きな節税効果が得られことも多くあります。 

 

なお、これら節税対策の多くは、確定申告が必要になりますが、スマホやパソコンで申告できる「e-tax」などで手間暇かからなくなっていますので、積極的に、「節税のための確定申告」を利用されることをおすすめします。 

 

また、ふるさと納税では、ワンストップ特例制度を利用したり、株式等の譲渡所得では必要がなければ確定申告は必要ありません。

 

節税は来年度の住民税・介護保険等の軽減に大きく寄与!

 

節税は、今年度の所得税や住民税の節税に貢献するほか、来年度の住民税の軽減ばかりでなく、下表「行政サービスの負担や給付に影響する例」のように、いろんな負担の軽減に繋がります。

 

住民税は、行政サービスの給付や負担の算定基礎になる

 

住民税は、行政サービス(医療・介護、保育・教育等)の給付に使われるため、住民税算定に用いられる課税所得は、各種行政サービス費の負担や給付の算定基礎に使われます。 

 

このため、年末の節税による住民税軽減は、次年度の生活費に大きく影響します! 

特に、介護保険やサービス費の自己負担などに直結しています。

 

  (資料:日経)  

 

 

おさらい|所得税課税の仕組み

 

税金(所得税+住民税)の節税ポイントを理解する為には、所得税課税の仕組みを理解しておく必要があります。 

 

節税は、日頃から意識した取り組み、資産運用が大事ですが、ここでは、年末に際し目のつけどころ(着目点)を、「所得税課税の仕組み」を通して押さえておきたいと思います。

 

1.所得税、住民税の対象となる「所得」は10種類

 

所得税(住民税)の対象となる所得は、次の通り10種類があります。 

 

これらの所得がいくつかある場合は、それら全てを合算したものが年間の総所得となります。 

 

なお、不動産売却による「不動産所得」や銀行預金の「利子所得」株等の売却による「譲渡所得」等は、「分離課税対象」となります。 

 

これは、相続した土地が値上がりして生じた利益や退職金など、一時に大きな金額が手に入った時、その金額を通常の課税所得とは切り離して計算をすることで、他の所得にも高い税率が適用されないようにする制度です。

 

所得の種類

所得は10種類に区分され、それぞれの所得は、「収入から必要経費などを差し引いた金額」て求められます。必要経費はその所得によって定められています。

1.利子所得(銀行預貯金利子、国債・地方債・外国国債等利子、公社債投信の配当等
2.配当所得(株式の配当金や、株式投資信託の収益分配金などの所得)
3.不動産所得(不動産の貸付所得、但し、事業所得、譲渡所得に該当するもの除く)
4.事業所得(農業、漁業、製造業、販売業の他、個人事業主(含むタレント、騎手)等)
5.給与所得(俸給、給料、賃金、歳費及び賞与等給与所得)
6.退職所得(退職手当等)
7.山林所得(山林の伐採又は譲渡による所得)
8.譲渡所得(土地、建物、株式、ゴルフ会員権等の資産譲渡によって生ずる所得)
9.一時所得(懸賞金、謝礼金等の臨時収入所得、 満期保険金、競馬払い戻し等の所得)
10.雑所得(以上の9所得ののいずれにも該当しない所得で年金等の所得)

 

 

2.各所得の「所得額」の求め方

 

各所得は、それぞれの収入からその収入を得るのに必要となった経費(必要経費)を差し引いた額が「所得額」となります。

 

「収入」ー「必要経費」=「所得額」

 

 

  ◯「必要経費」の計算方法は、下表の通りです。

 

必要経費の算出方法

 

事業(農業、漁業、自営業、個人経営の医師、不動産賃貸、等)収入の場合は、収入を得る為に必要となったコストを積み上げて算出しますが、
給与収入の場合は、収入金額に応じた「給与所得控除額」が、公的年金収入の場合は、「支給額」に応じた「公的年金等控除額」が定められていて、これを差し引いた額が「所得額」 となります。

 給与収入の場合     : 給与収入ー収入金額に応じた「給与所得控除額」
 公的年金収入の場合  : 公的年金収入ー「支給額」に応じた「公的年金等控除額」

 

 

3.所得税(住民税)の計算の流れ

 

所得税は、こうして算定された各所得を合計した「総所得」から、所得税軽減措置として定められた「所得控除額」を差し引いた「所得額(課税所得という)」に、「所得税率」(累進課税方式という)が乗じられて「所得税」が決まります。 

 

※住民税も基本的には同じ流れで計算されます。 

 

なお、この所得税に、さらに「税額控除」される優遇措置があります。

 

  ◯所得税の計算は、次の手順(@→A→➂)で計算されます。

 

@1年間の全ての所得額合計ー所得控除額=課税所得額
A課税所得額×課税所得の大きさに応じた累進税率=所得税額
➂所得税額ー税額控除額(直接税額免除される金額)=(納付)所得税額※
※実際には、この所得税額に対し復興特別所得税2.1%がかかります。

 

4.所得税節税の対策箇所は3か所!

 

以上の所得税計算の流れにおいて節税対策を講じられる箇所は、次の3か所となります。

 

1)「所得額」を下げる

 

「所得額」は、(収入ー必要経費)で決まるので、「必要経費を大きくする」か、「収入を抑える」ことで所得金額を下げることができます。

 

必要経費を大きくする方法

 

給与、年金、退職一時金等の所得は、「必要経費は収入額に応じた定額で定められている」ため恣意的に引下げできる余地はありません。 

 

必要経費を大きくできる所得は、それ以外の所得となります。 

 

このためその他の所得」では、年末対策としてできることは、「必要経費を極力大きくするための対策」が講じられるかにかかっています。

 

収入を抑える方法について

 

収入を抑えて損にならない取引行為が可能なのは、含み損のある資産を損出し手段に用いることができる「株式や投資信託などの譲渡所得」です。 

 

そこでは、買い替え等による損出し方法によって譲渡所得の圧縮が可能となります。 

 

従って、今年の譲渡所得累計において、利益が出ており、税金を払っている場合は、同一銘柄の買い替え(損出し売却と同値買戻しの反対売買)等によって譲渡所得の引下げが行え、且、損出しによる税還付(特定勘定の場合)が受けられます。 

 

詳細は、 

・「株取引の年末節税対策|素人でもわかる節税の手引き(損出し益出し)」 

・「株取引の年末節税対策に欠かせない「損出し」「益出し」手法とは? 

をご参考に願います!

 

2)「課税所得額」を下げる

 

「課税所得額」を下げるためには、下表にある「所得控除項目」の多くの項目に該当し、且つ、それぞれの控除金額が大きくなることが必要です。 

 

「所得控除項目」は、下表のとおり15種類ありますが、年末対策としての打てる対策は少ないと思われます。 

 

例えば、「医療費控除」であれば、「医療費総額が10万円未満見込みの場合、予定していた高額医療費がかかる入院等を年内に繰り上げてもらう」とか、「寄付金控除を増やす」とか、妻のパート収入を抑えて配偶者控除を復活させる確定申告|年間パート収入が103万円以下なら所得税は戻せる!)などといったことで所得控除額を大きくすることができますが、対効果の試算が必要でしょう。

 

◯所得控除項目

 

※「課税所得金額」は、「全ての所得合計」から「所得控除額」を差し引いて算出します。

「所得控除額」とは、控除の対象となる扶養親族が何人いるかなどの個人的な事情を加味して税負担を調整するもので、次の種類があります。

1雑損控除(「災害等にあったとき」参照)
2医療費控除(「医療費を支払ったとき」参照)
3社会保険料控除
4小規模企業共済等掛金控除
5生命保険料控除(「保険と税」参照)
6地震保険料控除(「保険と税」参照)
7寄附金控除(「寄附金を支出したとき」参照)
8障害者控除(「障害者と税」参照)
9寡婦控除(「家族と税」参照)((家族と税|参照)
10.ひとり親控除(「家族と税」参照)
11.勤労学生控除
12.配偶者控除(「家族と税」「高齢者と税(年金と税)」参照)
13.配偶者特別控除(「家族と税」参照)
14.扶養控除(「家族と税」「高齢者と税(年金と税)」「障害者と税」参照)    
15.基礎控除(「基礎控除」表参照)

 

 

3)「所得税(住民税)」そのものを軽減する(税額控除)

 

算定された「所得税」から直接、所定の「税額控除」してくれるものに次のようなものがあります。

 

◯「税額控除項目」

 

「配当控除」、「政党等寄附金特別控除」、「公益社団法人等寄附金特別控除」、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」、「ふるさと納税」など

 

この中で、年末対策として活用したいものは、何といっても「ふるさと納税」になります。 

 

※ふるさと納税は限度額以内であれば、2000円負担で高額な地域特産物などが貰え、(支払った額ー2000円)の10%は所得税の節税に、90%は住民税の節税となり、特に住民税の節税に大きく寄与します。

 

年末節税対策は、「株式等譲渡所得の節税」と「ふるさと納税の活用」が柱!

 

以上より、年末を控え、誰にとっても見逃せない節税対策は、主に次の2点と言えます。

 

1.「株式取引や投資信託等譲渡所得の節税対策」
2.「ふるさと納税」の活用

 

1.株式取引や投資信託等譲渡所得の節税対策

 

次の記事をご参考に願います。 

 

・「株取引の年末節税対策|素人でもわかる節税の手引き(損出し益出し)」 

・「株取引の年末節税対策に欠かせない「損出し」「益出し」手法とは?」  

 

2.「ふるさと納税」の活用

 

ふるさと納税は、地域が提示するお礼の品(地域の名産品など)を指定して寄付できる制度です。

 

 
地域が提示するお礼の品は、「ふるなび」や「さとふる」などに紹介されています。

 

 

 

寄付額は所得税と住民税で大半が還付されるお得な制度

 

通常の「市町村等への寄付」は、2,000円を超える部分については「寄付金控除」として他の「社会保険料控除」などと同じく課税対象から除かれる税優遇措置ですが、「ふるさと納税」は、確定申告によって2,000円を超える部分は「所得税の還付」と「翌年度の住民税の税軽減」という形で、両者合わせるとほぼ全額還元されるというお得な制度です。 

 

 

 

但し、税優遇を受ける寄付金額は、本人の所得水準と家族構成により上限があります。 

 

 

 

還元の仕組みは、例えば、課税所得が310万円で寄付金額が上限以内の場合、「寄付金額」から「2000円」を差し引いた金額に対し、「所得税で10%(※1)」、「住民税で90%」が還元され、合わせて「100%」が還元されるというものです。

 

(具体的な制度と求め方は後述) 
 
※1. 各課税所得での所得税率
キャプチャ所得税の速算表.PNG
(例)給料収入が600万円の場合、下表による次の計算から426万円の「所得」となります。 
・所得控除額: 600万円×20%+54万円=174万円 
・給与「所得」:600万円‐174万円=426万円
キャプチャkyuuyosyotokukoujogaku.PNG

 

所得税の還付額と住民税の軽減額の求め方(制度)

ふるさと納税の確定申告による税の還付額や軽減額は、次のような算式により求められます。 
なお、「ワンストップ特例制度」(寄付の都度、寄付金控除が受けられる)があるので、年末対策としては、こちらが便利です。  
 

[確定申告の場合の手続き]

○所得税の控除額(還付額) 

 

所得税からは、寄付金から2千円差し引いた金額に本人の「課税所得税率」分を乗じた金額が還付されます。

 

還付額=(寄付金‐2000)×本人の所得での所得税率(※1)×1.021

 

 

 

○住民税の控除額(軽減額) 

 

ふるさと納税の住民税控除額計算は、下表のとおり「基本分」と「特例分」の合計で求められます。

住民税控除額=「基本分」+「特例分」 「基本分」 = (寄附金額−2,000円)×10% 「特例分」 = (寄附金額 - 2,000円)×(100% - 10%(基本分) - 所得税の税率)

 

つまり、基本分と特例分を合わせた計算式は次の様になります。 

 

{(寄附金額−2,000円)×10%}+{(寄附金額−2,000円)×(100%−10%(基本分)−所得税の税率)} 

 

何やらややこしい計算式ですが、この計算式をまとめると次の計算式になります。

 

{(寄附金額−2,000円)×(100%−所得税の税率)}

 

結局、住民税の控除額は、所得税で控除された金額を差し引いた残り全額になると言うことです。 

 

 

つまり、寄付金額から2千円を引いた全額が、まずは本人の所得税率による還付を受け、残額は全て住民税で控除されるという仕組みです。

結局、住民税控除額=(寄付金‐2千円)‐「所得税率による還付額」   

 

 

◯課税所得310万円の人が5万円のふるさと納税を利用した場合の計算例

 

税項目 計算 還元内容
所得税の控除額(還付額) (50000‐2000)×10%=4800 所得税が4800円還付される
住民税の控除額(軽減額) (50000‐2000)×10%+ (50000‐2000)×(90%‐10%×1.021) =4800+38300=43100 43100円が次年度の住民税で軽減される。
合計 4800+43100=47900  5万円の寄付の内47900円が還元される

 

但し、所得の大きさと家族構成(高校生以上の扶養者)により寄付額の上限額が定められている

ふるさと納税には、本人の給与収入等と家族構成によって全額控除となる控除上限額があります。 

 

年間での寄附金額が、控除上限額を超えた場合、超えた金額は、自己負担になります。 

 

下記の表は、自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税及び住民税から控除される、ふるさと納税額の目安表です。 

 

この目安表は、社会保険料控除額を給与収入の15%と仮定して設定していますが、医療費控除などの他の控除を含めていませんので注意してください。 

 

従って、社会保険料控除額が15%よりかなり大きかったり、医療費控除、生命保険料や地震控除、雑損控除などがあればその分課税所得が下がるので上限額も下がります。 

 

その場合は、その分を考慮して収入を下げてこの表を見る必要があります。 

 

正確には、他のサイトのシミレーションを活用することをおお勧めします。 

(ただし、住宅ローン控除や配当控除は税額控除なので、課税所得を算出する際には含まれない控除項目となります) 具体的な計算はお住まいの市区町村にお問い合わせください。

 

なお、確定申告不要の「ふるさと納税ワンストップ特例制度」もある

確定申告の不要な給与所得者等が、確定申告を行わなくても寄附金控除が受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」があります。 

 

これは、都度各自治体に特例の適用に関する申請書を提出する必要があります。 

 

但し、他のことで確定申告する場合は、これらについて再度ふるさと納税の控除を受ける手続きが必要になります。 

 

従って、毎年、何らかの確定申告を考えている方にはあまりおすすめできないところがあります。

 

最後に

年末はあっという間に過ぎます。 年末対策は、早ければ早いほどいい対策が可能です。 

 

大晦日までチャンスはありますので、特に株式投資等の節税は大きなメリットがあります。

 

くれぐれも譲渡益は最小限に抑えたいもんですね!

 

ーーーーーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーーーーー

 

いよいよ節税対策シーズン入り! 簡単にできる「ふるさと納税」を節税に生かしましょう!

あなたの今年の限度枠は、かんたんシミュレーター(2021年分)」で確認できます!ふるさと納税は限度額以内であれば、2000円負担で高額な地域特産物などが貰え、(支払った額ー2000円)の10%は所得税の節税に、90%は住民税の節税となり、特に住民税の節税に大きく寄与します。最大限節税して、来年の住民税も軽減しましょう! ふるさと納税については、ふるさと納税って?節税効果が大きく活用しないと損!おすすめ利用法」をご覧ください。

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2020年12月04日

株取引の年末節税対策|素人でもわかる節税の手引き(損出し益出し)

事例で読み解く「年末の運用状況にあった「損出し」、「益出し」の上手い使い方、考え方」

 

年内取引は、節税と来年に備えた持ち株整理ができるチャンスです!

 

株取引等には、大きな税負担が伴い、利益や配当には20.315%(所得税15%+復興特別税0.315%+住民税5%)もの税金がかかります。(100万円稼げば20万円が税金に!)

 

また、確定申告の仕方によっては、利益は「譲渡所得」として、配当は「配当所得」として他の所得と合算され住民税や介護保険等の負担に大きな影響を与えます。

 

従って、株取引等での節税対策は大変重要で、特に年末での取引には細心の注意が必要です。

 

今年大きく利益が出て税金を沢山払った一方、含み損のある株も沢山増えたため時価評価すると、むしろ実質資産は昨年より減っているといったことが間々あります。

 

しかも、確定申告すると、利益や配当が所得として住民税や他の行政サービスの負担増にも繋がりかねません。

 

従って、年末は、投資家にとって「損出し」「益出し」などによる節税対策が欠かせません。

 

しかしながら、個人投資家、特にネット取引専門の方は、折角の節税チャンスを生かせず大きな節税機会を逸している方が多いのではないかと思われます。

 

年内の運用状況によって「損出し」「益出し」を上手く使い分ける要領をケース別にご紹介したいと思います。皆さんの節税の参考になれば幸いです。

 

 

目 次

・年末節税対策には「損出し」「益出し」活用が必須!

・「繰越控除制度」は、損した人の為の税制優遇制度です!

・4つのケース(運用状況と繰越控除の有無)に分けて節税対策

・取引(特定口座、源泉徴収等)の前提条件

・T.「前年度までに繰越損がない」

 (+)「今年度は利益(含む配当)が出ている」ケース

 (−)「今年度は赤字(含む配当)となっている」ケース

・U.「前年度までの繰越損がある」

 (+)「今年度は利益(含む配当)が出ている」ケース

   a)「3年前の繰越損を上回る利益が出ている」場合

   b)「利益が3年前の繰越損を下回っている」場合

 (−)「今年度は赤字(含む配当)となっている」ケース

 

年末節税対策には「損出し」「益出し」活用が必須!

 

「損出し」「益出し」は、「持ち株を変えず」に「含み損」あるいは「含み益」を実現させ、税の還付を受けたり、税負担なしで利益100%が受け取れる大変重要な節税手法です。

 

また、「損出し」、「益出し」は、基本的には売却株と同株を同価格で買い替えるので取得価格の改善等が図れる側面もあり持ち株整理の重宝なツールにもなります。

 

「損切り」や「利食い(利確)」は、株の処分に大きな決断が必要ですが、「損出し」「益出し」は、基本的には、持ち株を変えないので躊躇することなく実行できるのも魅力です。

 

なお、「損出し」、「益出し」の詳細は「株取引の年末節税対策に欠かせない「損出し」「益出し」手法とは?」をご覧願います!

 

「繰越控除制度」は、損した人の為の税制優遇制度です!

 

「繰越控除制度」は、年間において株取引等で損失が出た場合、その損失を翌年以降に繰り越して、利益が出た場合に、利益を圧縮して税負担を軽減できるようにしたものです。

 

従って、「繰越控除」は、節税の為の貴重な資産と言え、「繰越控除」があれば、その分、高い株式取引税20%を支払わずに済みます。

 

このため、「繰越控除がある場合」は、まずその恩恵(メリット)を最大限生かすことが一番の節税対策となります。

 

※「損失の繰越控除とは」

 

年間取引において、損益通算を行っても本年分の損失を控除しきれない場合は、翌年以降にその損失を繰り越して翌年以降の利益から控除することができる制度です。

損失は、「譲渡損失の繰越控除」として、翌年以後、「最長3年間繰越し可能」で、翌年以後の利益から控除することができます。また、「配当所得」との損益通算も可能です。

ただし、繰越控除の適用を受けるためには、確定申告が必要であり、取引がない年があっても、繰り越す期間は連続して確定申告をしなければなりません。

 

4つのケース(運用状況と繰越控除の有無)に分けて節税対策

 

実際に置かれた背景(前年度までに繰越損があるかないか)と現在までの運用状況(益となっているか損となっているかの運用成績)によって、「損出し」と「益出し」をどのように使い分ければ節税効果が大きくなるかを、4つのケースに分けてご紹介します。

 

実際に、節税を意識し株取引を進めるには、まずは、前年の繰越控除※(以下「繰越損」という)があるかないかで戦略は大きく変わります。

 

繰越損がない場合は、今年だけを考えれば良いが、ある場合は、せっかくの繰越損をどううまく使うかが上手な節税ポイントになります。

 

従って、繰越損のある場合とない場合のそれぞれにおいて、「利益が出ている場合」と「損となっている場合」とで節税の戦略は大きく変わります。

 

このため、本稿では、以下の4つのケースに分けて節税対策をご紹介します。

 

T.前年度までに繰越損がない (+)今年度は利益(含む配当)が出ている
(−)今年度は赤字(含む配当)となっている
U.前年度までに繰越損がある (+)今年度は利益(含む配当)が出ている
(−)今年度は赤字(含む配当)となっている

 

なお、「利益」は、「売買益と配当の合計」、「損」は、「売買損に配当を加算しても損が残る」ことを意味します。

 

取引(特定口座、源泉徴収等)の前提条件

説明上、株取引の前提条件を次の通りとします。

・「1つの特定口座内」で「源泉徴収課税を選択」した取引とする。

・取引ごとに税金の徴収と還付が行われるものとする。

・翌年初めに配当分を含めた1年間の徴収税額を証券会社から当該税務署へ納付される。

 

なお、複数口座間、一般口座取引、源泉徴収なしであっても、1年間を通した取引損益、配当収入により必要に応じて複数の特定口座・一般口座間の損益通算などを行って個人が確定申告しますが、考え方は同様です。

 

T.「前年度までに繰越損がない」

(+)「今年度は利益(含む配当)が出ている」ケース

 

[節税対策の基本スタンス]

⦿極力、含み損のある株の「損出し」を進め、@利益の圧縮による税還付を受けるとともに、A「損出し」で買い直した同株の平均取得単価引き下げを図る(次年度での利益確保を図る)。

なお、損出し額が利益を上回っても繰り越しで来年以降の節税に利用できることに留意。

 

[具体的想定事例]

 

⦿「大きな利益、配当を得たが、一方、含み損のある株も多数所有しているため、時価評価すると資産はさほど増えていない」ケース
想定事例 年初の「株関係資産」は、帳簿上3000万円(含み益。含み損株は0株)だった。

 

今年の収益は、利益500万円と配当100万円、計600万円の黒字となっている。

 

徴収された税金20%は、取引で100万円、配当で20万円、計120万円となっている。

 

以上より利益、配当合わせた「税引き後実収入」は480万円(600万円−120万円)で、「帳簿上の株関係資産」は3480万円となっている。

 

なお、株の含み益合計は200万円、含み損合計は400万円となっている。

 

従って、時価換算すると実質3280万円(+200万円-400万円)となる。

 

年初3000万円の資産は、帳簿上では480万円増加しているが、実質は280万円の増加となっている。

 

以上の状況から年末の節税対策としてやるべきことは?
節税対策例 今年度の利益合計600万円(利益500万円+配当100万円)で税金120万円を収めているので、まず、この利益を極力圧縮する。

 

このため、含み損のある株400万円を損出して、同株を同数、同値で買い直し、税還付80万円(400万円の20%)を受ける。

 

この結果、資産は、帳簿上3160万円(3480万円−400万+80万円)となり、対策前に比べ320万円減少するが、含み損が0になるため、時価での実質資産は3360万円となり、対策前の実質3280万円に比べ実質80万円が改善(節税)された。

 

更に、損出しで同株を同値で買い直した結果、同株の取得価格を400万円分下げたことになるため、次年度以降での利益確保が期待できることになる!

 

また、利益(含む配当)の圧縮により住民税や介護保険等への影響を軽減できます。

 

※信用株の損出しは、損金の80%分の現金が減ることを承知で判断する必要あり。

 

参考までにケース1の対策を図解すると下表の通りとなります。

 

 

(−)「今年度は赤字(含む配当)となっている」ケース

 

[節税対策の基本スタンス]

⦿利食いしても利益に税金がかからないメリットを生かし、極力、赤字の範囲で「益出し」に注力しする。

逆に、含み益ある株を翌年に持ち越し利食いすると税金20%が徴収され大きく利益が損なわれます。

[具体的想定事例]
⦿「株取引で大きな損がでており、配当収入を含めても、大きな赤字となっている。   一方、含み損のある株もあるが、含み益のある株も多数所有している」ケース
具体例 年初の株関係資産は、帳簿上3000万円(含み益、含み損株は0株)だった。

 

年内取引は500万円の損、配当100万円を含めても、計400万円の赤字となっている。

 

源泉徴収された税金は、株取引で0円、配当で20万円、計20万円となっている。

 

従って、利益、配当合わせた税引き後実収入は-420万円(-500万円+80万円)で、 帳簿上の資産は、2580万円となっている。

 

なお、持ち株の含み益合計は400万円、含み損合計は-200万円になる。

 

従って、現在の資産は、実質2780万円(2580万円+400万円−200万円)となる。

 

以上の状況から年末の節税対策としてやるべきことは?
節税対策例 今年度の収支は、400万円の赤字(‐500万円+配当100万円)となっているため、税金を払わずできる益出しは、400万円まで可能です。

 

従って、含み益400万円全てを益出しすれば税は一切かからず400万円の資産増加が図れます。(仮にこの400万円を来年に持ち越して利確すれば80万円の税金がかかる)

 

400万円益出し後の資産は、帳簿上2980万円(2580万円+益出し400万円)となり、含み益0万円、含み損-200万円が残るため、実質資産は2780万円となります。

 

なお、年明けに配当の税金20万円が還付され、帳簿上は3000万円、実質は2800万円になります。

 

これにより、帳簿上の資産は、対策前2580万円から対策後3000万円に実質は、2780万円から2800万円に改善された。

 

実質は、益出しの為、対策前とあまり変わらないが、帳簿上の資産を大幅に改善させることができ、何よりも400万円の益出しに税金がかからないため80万円の節税ができました。

 

また、益出しにより、売却株と同株を同値で取得していれば、同株の取得価格を400万円分上昇させたことになり、次年度以降の売却時での利幅を小さくするため税金を節減できることになります。

 

以上から、損金額(損金+配当額)を上限として極力多くを益出しすることがもっとも節税を大きくすることになります。

 

U.「前年度までの繰越損がある」

[繰越損とは]

「繰越控除」は、確定申告により3年間繰り越せ、繰り越し後3年間に得た利益と相殺することができ、減額された金額の税金20.315%が還付されます。

 

従って、繰越損は、節税のためには非常に重要な役割を担っています。

 

⦿繰越損の有効期間と留意点

3年前の繰越損 今年限りで時効。今年の利益と相殺して、損が残れば消滅します。
2年前の繰越損 3年前の繰越損で相殺しきれなかった場合、この2年前の繰越損とのと相殺を行う。残れば来年まで有効。
1年前の繰越損 2年前の繰越損で相殺しきれなかった場合、この繰越損との相殺を行う。残れば再来年まで有効。

 

ここで言う「利益」には、取引による利益と配当額の合計を意味します。

 

【繰越損活用の基本的な考え方】

繰越控除額は、年内取引の利益(配当分含む)と相殺して税金が還付されます。

 

従って、繰越損が活用できるのは、あくまでも今年の取引が黒字(利益+配当)であることが前提になります。

 

3年間の繰越損の範囲であれば、今年の利益(含む配当)がいくら大きくても、税金は全額、還付されます。

 

しかしながら、注意を要するのは、確定申告によっては、今年の利益(繰越損との相殺前の利益)が住民税等、特に国民健康保険加入者の介護保険料の負担増に繋がる場合があると言うことです!

 

国民健保加入者の介護保険料は、所得割が基礎であり、株式取引等の譲渡所得が合算される場合、繰越損との相殺を認めず介護保険料アップに繋がります(⇒「介護保険@|今更聞けない介護保険制度のしくみと保険料の計算・支払い」

 

このため、今年の利益をあまり大きくすることは得策でない場合があります。

 

繰越控除は、3年間が有効期間であるため3年前の繰越損は今年で権利が消滅します。一方、2年前分、1年前分の繰越損は、来年以降の節税対策で使えるので、今年使わずとも次年度以降のためにとっておけます。

 

従って、上手い節税法は、まず3年前分の繰越損を使い切ることを目標とし、2年前分、1年前分は、次年度以降の節税用に残しておく方法です。(しかし、持ち株に含み損株が多く、含み益株が少ない等で来年度があまり期待できそうでなければ繰越損活用が優先となります。)

 

以上から、今回の節税対策は、3年前の繰越損を最大限活用することを前提に組みたてます。

 

⦿節税対策のポイント

 

@今年の利益が3年前の繰越損を下回るか場合は、益出しを優先させる

A今年の利益が3年前の繰越損を上回る場合は、上回る部分については損出しも併用して、極力、2年前、1年前の繰越損は来年以降の節税対策用に確保する。

➂今年の取引が損となっている場合は、「益出し」を優先して税金を払わずにすむメリットを最大限生かして資産増を図る。

 

(+)「今年度は利益(含む配当)が出ている」ケース

[節税対策の基本スタンス]

⦿3年前の繰越損を有効に使いきることを念頭に、今年の利益(売却益+配当)が、3年前の繰越損を上回っているか、下回っているかの2ケースに分けて対策します。

 

a)「3年前の繰越損を上回る利益が出ている

上回る部分の圧縮を図るため「損出し」を優先させる

 

b)「利益が3年前の繰越損を下回っている

3年前の繰越損を帳消しにできる利益を確保するため、「益出し」を優先させる。

 

なお、「損出し」、「益出し」の進め方は、上述の「T.前年度までに繰越損がない場合」の項を参考に願います。

 

a)「3年前の繰越損を上回る利益が出ている」場合

[具体的想定事例]

 

⦿「3年前の繰越損を上回る利益(含む配当)が出ている一方、含み損のある株も多数所有しているため、時価評価した株関係資産はさほど増えていない」ケース
想定事例 ・3年前の繰越損が400万円ある。(2年前は0万円、1年前は200万円)

 

・年初の株関係資産は、帳簿上3000万円(含み益及び含み損のある株は0株)だった。

 

・今年の収益は、利益500万円と配当100万円、計600万円の黒字となっている。

 

徴収された税金20%は、取引で100万円、配当で20万円、計120万円となっている。

 

以上より利益、配当合わせた税引き後実収入は480万円(600万円−120万円)で、 帳簿上の資産は3480万円となっている。

 

なお、株の含み益合計は200万円、含み損合計は400万円となっている。

 

従って、現在の資産は、時価換算で実質3280万円(+200万円-400万円)となる。

 

資産は、帳簿上では480万円増加しているが、実質は280万円の増加となっている。

 

以上の状況から年末の節税対策としてやるべきことは?
節税対策例 今年の利益は配当込みで600万円あり、既に3年前の繰越損400万円を200万円上回っている。

 

このため、1年前の繰越損200万円を使えば、繰越損が600万円となり、黒字600万円を全てを帳消しにでき、還付金120万円が得られ、実質資産は3400万円(帳簿上3600万円+含み益200万円-含み損-400万円)となる。

 

しかしこの場合、

 

@「繰越損を全て使い切り来年度以降の節税に利用できなくなる」

 

A「折角の含み損400万円で相殺できる節税メリットを放棄することになる」

 

➂「含み損400万円を抱えたまま持ち越しとなって次年度以降の株価対策(取得単価引き下げ効果)に繋がらない」、

 

C「繰越損と相殺の場合、国民健康保険加入者の介護保険料算定には過去の繰越損との相殺は認められず、利益(含む配当)が所得に合算され保険料負担が大きくなる懸念が高くなる」

 

等のデメリットが多くなります。

 

従って、このような場合は、「3年前の繰越損400万円を有効に使い切る」ことを第一優先に対策することが、節税メリットを最大限活用することに繋がると思われます。

 

このため、「3年前の繰越損は400万円なので、今年の利益600万円(含む配当)の内、400万円を充てることとし、残った200万円の利益を圧縮するために、含み損400万円の内200万円を損出しします。

 

この場合、200万円の損出しで帳簿上の資産は、3320万円(3480万円-損出し200万円+税還付40万円)となり、含み損は400万円から200万円に縮小させました。

 

また、実質資産は、含み益200万円、含み損200万円から3320万円となり、対策前の3280万円に対し40万円改善されました。

 

さらに、利益400万円が、確定申告で3年前の繰越損400万円と相殺され80万円が税還付され、最終的に、帳簿上資産は3400万円、実質資産も3400万円となります。

 

このことにより、

 

@1年前の繰越損200万円は次年度以降の節税に利用できる形で繰り越せます。

 

A200万円の損出しにより買い替えた持ち株の取得単価を切り下げた為、次年度以降の利益上積みが期待できます。

 

➂今年の利益(含む配当)を圧縮したので、住民税等への負担増への影響を軽減できます。

 

以上より、3年前の繰越損の活用を第一優先とし、それを上回る利益については、含み損のある株の「損出し」で利益圧縮を図ることが最大の節減対策と考えます。

 

もちろん、今回の場合、含み損400万円の内200万円のみを損出ししましたが、全額損出しして最終的に赤字になっても、繰越控除ができるので新たな節税のための繰越損確保となります。

 

b)「利益が3年前の繰越損を下回っている」場合

[具体的想定事例]

 

⦿「利益(含む配当)が出ているが、3年前の繰越損を下回る。また、含み損のある株も多数所有しているため、時価評価した株関係資産はさほど増えていない」ケース
想定事例 ・3年前の繰越損が400万円ある。(2年前は0万円、1年前は200万円)年初の株関係資産は、帳簿上3000万円(含み益、含み損株は0株)だった。

 

・今年の収益は、利益200万円と配当100万円、計300万円の黒字となっている。

 

徴収された税金は、取引で40万円、配当で20万円、計60万円となっている。

 

以上より利益、配当合わせた税引き後実収入は240万円(300万円−60万円)で、  帳簿上の資産は3240万円となっている。

 

なお、株の含み益合計は200万円、含み損合計は400万円となっている。

 

従って、現在の資産を時価でみると実質3040万円(+200万円-400万円)となる。

 

年初の資産は、帳簿上では240万円増加したが、実質は40万円しか増加していない。

 

以上の状況から年末の節税対策としてやるべきことは?
節税対策例 今年の利益は配当込みで300万円あるが、3年前の繰越損400万円100万円下回っている。3年前の繰越損は今年で消滅するので、このままだと100万円分の節減機会を逸してしまいます。

 

3年前の繰越損400万円を最大限有効に使い切るためには利益(含む配当)を400万にする必要がありますこのため、含み益を利用し100万円の益出しを行います。

 

これにより、帳簿上資産は、3320万円(3240万円+益出し100万円-税金20万円) 、実質資産は、3020万円(帳簿上3320万円+含み益100万円−含み損400万円)となります。

 

これにより、確定申告で今年の利益400万円が繰越損400万円と相殺され80万円の税還付を受けます。

 

帳簿上資産は3400万円(3320万円+税還付80万円)となり、含み益100万円と含み損400万円を加味すると実質資産は、3100万円となります。

 

なお、さらに損出しをして、持ち株の取得単価引き下げなどを進めたい場合は、併せて同額の益出しが必要(3年前の繰越損を全て活用するためには)となります。

 

(−)「今年度は赤字(含む配当)となっている」ケース

[節税対策の基本スタンス]

⦿赤字(含む配当)の場合は繰越損の活用ができないので、最終的に利益が出るよう益出しに注力する。

 

たとえ最終的に利益(含む配当)が出ず、せっかくの3年前の繰越損を活用できなくても、 損が出る間は、税金を引かれず益出しができるので、含み益のある株は、益出しで節税効果を享受すべきと考えます。

 

従って、繰越損があり、年内取引が赤字の場合、極力益出しに専念して税金を払わず資産増を図ることが得策。

 

[具体的想定事例]
⦿「前年度までの繰越損があるが、今年の株取引は、配当収入を含めても大きな損となっている。一方、含み損のある株もあるが、含み益のある株も多数所有している」ケース
具体例 ・3年前の繰越損が400万円ある。(2年前は0万円、1年前は200万円)

 

年初の株関係資産は、帳簿上3000万円(含み益及び含み損のある株は0株)だった。

 

・今年の取引で500万円、配当100万円を含めても計400万円の赤字となっている。

 

源泉徴収された税金は、株取引で0円、配当で20万円、計20万円となっている。

 

従って、利益、配当合わせた税引き後実収入は-420万円(-500万円+80万円)で、 帳簿上の株関係資産は2580万円となっている。

 

なお、持ち株の含み益合計は400万円、含み損合計は200万円になる。

 

従って、現在の資産を時価評価すると実質資産は2780万円(2580万円+400万円−200万円)となっている。

 

以上の状況から年末の節税対策としてやるべきことは?
節税対策例 3年前の繰越損が400万円あるが、今年度の運用状況は、配当100万円含めても赤字の400万(‐500万円+配当100万円)となっている。

 

一方、持ち株の含み益は400万円あるが、これを全て益出ししても、収支がトントンとなり、繰越損と相殺できる利益が確保できません

 

従って、せっかくの節税の為の繰越控除は使えず消滅してしまうことになりますが、 この場合、残された期間、含み益のある持ち株の益出しを最大限行使し、含み益400万円全てを益出しすれば、本来(又は翌年)かかる税金80万円が節税できます。

 

400万円益出し後の資産は、帳簿上は2980万円(2580万円+益出し400万円)となり、含み損200万円を加味した実質資産は2780万円となります。

 

なお、年明けに配当の税金20万円が還付されるので、帳簿上資産は3000万円実質資産は2800万円になります。

 

益出しの為、実質資産は対策前とあまり変わらないが、払わずに済んだ税金80万円の節税が損失の補てんとなりました。

 

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なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

2020年11月25日

年末を控え、今年の株取引の節税対策は十分ですか?「損出し」「益出し」とは?

年末取引は、節税と持ち株整理ができる大きなチャンス!

 

年末取引は、この1年間で利益が出ている人も、損が出ている人も、節税と持ち株整理が行える大きなチャンスでもあります。(ここで言う利益は配当も含みます)

 

しかし、個人投資家、特にネット取引専門の方は、証券会社等からの直接のアドバイスがない為、折角のチャンスを逸してしまう方が多いのではないかと思います。

(非常にもったいないことですね!)

 

 

 

目  次

 

・株取引の税負担は重く、利益(含む配当)には住民税等の負担に影響も!

 

・年末節税対策には「損出し」「益出し」活用が必須!

 

「損出し」、「益出し」による節税の仕組みとは?

    「損出し」とは、メリットは?

    「益出し」とは、メリットは?

 

・「損出し」「益出し」時の「同株買い替え」のやり方・・現物株と信用株との違い

    「損出し」「益出し」株が現物株の場合の「同株買い替え」のやり方

    「損出し」「益出し」株が信用建玉の場合の「同株買い替え」のやり方

 

・「損出し」「益出し」の基本的な使い方

    「損出し」は、基本的には、今年の運用で大きな黒字(利益)となっている場合に使います。

   「益出し」は、基本的には、今年の運用で大きな赤字(損+配当)となっている場合に使います。

 

・「損出し」「益出し」のケースバイケースでの使い方

 

 

株取引の税負担は重く、利益(含む配当)には住民税等の負担に影響も!

 

株取引は、大きな税負担が伴い、利益や配当には20.315%(所得税15%+復興特別税0.315%+住民税5%)もの税金がかかります。

 

また、確定申告の仕方によっては、利益は譲渡所得として、配当は配当所得として他の所得と合算され住民税やその他の社会保険や行政サービス負担にも影響を与えます。

 

株取引に伴う節税対策は大変重要で、年末での取引には細心の注意が必要です。

 

 

年末節税対策には「損出し」「益出し」活用が必須!

 

「持ち株を変えず」に、「含み損」あるいは「含み益」を実現させ、税の還付を受けたり、税負担なく利益の100%を受け取れたりできる「節税の為の魔法の杖」です。

 

 「損切り」や「利食い(利確)」は、その株を処分することになるので大きな決断を強いられますが、

 「損出し」「益出し」は、基本的には、市場で売却した株と同株を同株数、同値で買い直すため、実質的には、持ち株に変動はなく損益を実現させられるので気楽に実行できます。

 

 

「損出し」、「益出し」による節税の仕組みとは?

 

「損出し」とは、メリットは?

「損出し」のメリットは、簡単に言うと、持ち株を変えずに、含み損のある株の損を実現させて、今まで収めた利益から徴収された税金を取り戻せることです。

 

 「損出し」とは、今年のこれまでの取引で利益が出ている(税金を払っている)場合に、「含み損のある株」(含む信用買株)を売却し「損を実現させる」ことで、これまでの利益を減らし税の還付(ここでは、特定口座内取引で源泉徴収を選択していることを前提にします。以下同じ)を受ける取引です。

 

 「損切り」と異なるのは、「損出し」の場合は、売却と同時に、同株を同値で同数買い直し実質的には持ち株を変えず「損」だけ実現させる取引行為を指します。

 

もちろん、同株でなく他の株へ乗り換えても良く、「損の実現」が最大目的で他の株への乗り換えもその時の価格で買い付けるという意味では考え方は同じです。

 

「損だしによるメリット」は、節税だけでなく、買い替えた同株の買い付け値が、この株の買値を引下げることにもなるので将来の利幅拡大にも繋がるという点です。

 

また、「損出し」は、今年度の譲渡所得の抑制になり、住民税やその他の公的負担への影響軽減にも役立ちます。

「益出し」とは、メリットは?

「益出し」のメリットは、簡単に言うと、持ち株を変えずに、含み益のある株の益を実現させて、税金を払わずに利益が得られることです。

 

 「益出し」とは、これまでの取引で損(配当を含めても損になる)となっている場合に、含み益のある株(含む信用買株)を売却し、「税負担なし」で「利益の100%」を現金で受け取る為の取引です。

 

 「利食い」と異なるのは、「益出し」の場合は、売却と同時に同株を同値で同数買い直し、実質的には持ち株数を変えず「益」だけを実現させる取引行為を指します。

 

つまり、持ち株(数量、価格)を変えずに益だけ実現させることになります。

 

もちろん、同株でなく他の株へ乗り換えても良く、「益の実現」が最大目的で他の株への乗り換えもその時の価格で買い付けるという意味では考え方は同じです。

 

 「益出し」の場合、既に値上がりしての利益なので買い直しは同株を保有し続けたいという気持ちがないと難しいですが、単に「益出し」と考えれば、願ってもない手法です。

 

また、「益だし」は、利益の100%を現金で受け取れる最大のメリット以外に、買い替えた同株の買い入れ値は高くなっているため、翌年以降に値上がりで利確した場合に利幅がその分小さくなっているので税金は少なくて済みます。

 

 

「損出し」「益出し」時の「同株買い替え」のやり方・・現物株と信用株との違い

 

「損出し」「益出し」は、通常、売却と同時に、同株を同数、同価格で買い入れることが基本的な考え方です。

 

しかし、信用取引のできる方は、容易に、同株を同数同価格で買い入れできますが、信用取引を使わない方は、少し工夫が必要になります。

「損出し」「益出し」株が現物株の場合の「同株買い替え」のやり方

「損出し」「益出し」の株が現物株の場合は、同日に売却と買い直しをやると、買い直し株の買い入れ価格が、売却株の平均取得単価に組み入れられ「損出し」「益出し」の損益が縮小されてしまい効果が薄まってしまいます。

 

従って、「損出し」「益出し」の株が現物株の場合、最もいい方法は、信用を使って同株を同数、同値で買い直しすることです。

 

やり方は、当日の寄付き前に、売りと買いを成り行きで注文すれば容易にできます。(但し、極端に取引が少ない銘柄はブレに注意してください)

 

信用が利用できない場合は、現物の売りに対し、現物の買い替えは、翌日以降の買い付けとなり同値では難しくなりますが、余程の変動がない限り翌日に買い付けるのが落ち着くと思います。

 

「損出し」「益出し」の株が信用株の場合、最もいい方法は、現物でも信用でも問題なく同株を同数、同値で買い直しできます。

 

やり方は同じで、当日の寄付き前に、売りと買いを成り行きで注文すれば容易に成立します。

その方法は、寄付きに売りと買いともに成り行きで発注すると成立します。

 

このため、信用取引ができるように契約しておくことが便利と思われます。(但し、信用取引は、無理にはお勧めしません)

 

「損出し」「益出し」株が信用建玉の場合の「同株買い替え」のやり方

「損出し」「益出し」の株が信用建玉の場合は、同日に現物株買いであろうと信用買いであろうと、当日の寄付き前に、売りと買いを成り行きで注文すれば容易にできます。(但し、極端に取引が少ない銘柄はブレに注意してください)

 

但し、「損出し」株が信用建玉である場合は、「損出し」により、損を実際に現金で決済しなければなりません。

 

損金の20%は還付金で戻りますが、80%分は現金が失われます。

 

しかし、同じ株を同値で買い替えれば同株の仕入れ値を下げたことになりその分利食いのチャンスは広がり利幅も大きくなります。

 

従って、評価損のある信用建玉を「損出し」する場合は、損金の80%分の現金が一時的に失われることを承知で、維持率等を勘案して判断する必要があることに注意願います。  

 

以上のように、「損出し」「益出し」は、今年の株取引の運用状況に応じて、節税と株の仕入れ値も調整ができる手法で、年末における節税対策には欠かせません。

 

 

「損出し」「益出し」の基本的な使い方

 

株取引の年末節税対策は、今年の現在までの運用成績や過去の繰越損の有無などで基本スタンスがあります。

「損出し」は、基本的には、今年の運用で大きな黒字(利益)となっている場合に使います。

含み損のある株の損出し」により、損金の20.315%が還付されるので、現物株に含み損がある場合、極力、「損出し」で利益を圧縮し税金の還付を受けるのが基本スタンスです。

 

たとえ利益よりも損出し損金が大きくなっても、配当分(利益の1種)があり、利益+配当額まで損出しすれば両者にかかっていた税金が100%が回収できます。

 

また、それ以上に損出ししても確定申告で「損は繰越しできる」ので来年以降の節税に利用できます。

 

従って、含み損を抱える現物株(信用も可)については、損出しは、節税の大きな武器になります。

 

「益出し」は、基本的には、今年の運用で大きな赤字(損+配当)となっている場合に使います。

含み益のある株を「益出し」すれば、税金20.315%を払わずに利益が100%受け取ることができます。

 

もし、来年以降に持ち越して利食いすると税金が徴収されることになるので、年内であれば、節税を生かしたことになります。

 

「損出し」「益出し」のケースバイケースでの使い方

年末の節税対策を講じるにあたり、皆様の置かれた運用状況は様々で、「損出し」「益出し」も状況に応じた使い方があります。

 

従って、様々な状況を想定して、ケースバイケースで「損出し」「益出し」の使い方を次回でご紹介します。

 

その区分けは、

まずは、前年度に「過去の繰越損」を確定申告している場合と、そうでない場合に区分し、

それぞれの置かれた背景を区分します。

 

次に、それぞれにおいて現在まで利益(配当も含む)が出ている(税を徴収されている)黒字の場合と配当を含めても損となっている場合とに区分します。

 

以下の表の様な区分で、それぞれの置かれた状況に応じて、どういうスタンスで節税及び持ち株の改善に臨むことができるかのヒントになるような考え方をご紹介します。

 

T.前年度迄の繰越損がない場合 +.今年度の取引が黒字(利益がでている)の場合
−.今年度の取引が赤字(損がでている)の場合
U. 前年度迄の繰越損がある場合 +.今年度の取引が黒字(利益がでている)の場合
−.今年度の取引が赤字(損がでている)の場合

 

なお、利益は、「売買益と配当の合計」、損は、「売買損に配当を加算しても損が残る」ことを意味します。

 

 

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なお、下記の関連記事もご覧いただければ幸いです。

2020年11月16日

年末の節税対策は十分?|年末にできる節税対策の種類とふるさと納税

年末を控え残り僅かとなりましたが、節税対策は十分ですか?

年内の残り日数は、今年の節税と来年の節税を決定する大変重要な日々となります。

 

今年の税金(所得税+住民税)をいかに抑えることができるか、払い過ぎた税金を今年中にいかに多く取り戻せるかといった節税は、来年度の住民税やその住民税に基に決められる介護保険料や医療費負担割合、児童手当、学校教育費負担等に影響します。

 

では、年内にできる節税対策には何があるかが気になりますが、多くは普段実行するべきことが多く、年末に限ってできることはそう多くありません。

 

どこに節税ポイントがあるか少し遠回りですが、所得税の仕組みからおさらいしてみました。

 

 

目 次

 

 ・年末の節税対策は来年度の住民税や国民健康保険等の軽減にも!

 ・節税のために、まず所得税課税の仕組みをおさらいしましょう

  [所得税、住民税の対象となる所得の種類]

  [各所得の「所得額」とは?]

  [所得税(住民税)の計算の流れ]

  [所得税(住民税)節税の対策箇所]

   @所得額を下げる

   A課税所得額を下げる

   B所得税(住民税)そのものを軽減する(税額控除)

 ・年末の節税対策は、株式等譲渡所得の節税とふるさと納税の活用

 ・誰でも利用できる「ふるさと納税」が年末節税対策の王者

 

年末の節税は来年度の住民税や国民健康保険等の軽減に!

今年の節税が来年度のいろんな負担の軽減にも繋がるのです。  

 

住民税は、行政サービス(医療・介護、保育・教育等)の給付や負担の算定に使われるため、生活費に大きく影響します!

 

  (資料:日経)  

 

節税のために、まず所得税課税の仕組みをおさらいしましょう

  節税には、日頃から節税を意識した取り組み、資産運用が大事ですが、ここでは、年末に際しつけどころ(着目点)を、「所得税課税の仕組み」を通して押さえたいと思います。  

[所得税、住民税の対象となる所得の種類]

  所得税(住民税)の対象となる所得は、次の通り10種類あります。

 

これらの所得がいくつかある場合は、それら全てを合算したものが年間の総所得となります。  

所得の種類

 

所得は10種類に区分され、それぞれの所得は、「収入から必要経費などを差し引いた金額」て求められます。

必要経費はその所得によって定められています。

 

1.利子所得(銀行預貯金利子、国債・地方債・外国国債等利子、公社債投信の配当等

2.配当所得(株式の配当金や、株式投資信託の収益分配金などの所得)

3.不動産所得(不動産の貸付所得、但し、事業所得、譲渡所得に該当するもの除く)

4.事業所得(農業、漁業、製造業、販売業の他、個人事業主(含むタレント、騎手)等)

5.給与所得(俸給、給料、賃金、歳費及び賞与等給与所得)、

6.退職所得(退職手当等)、

7.山林所得(山林の伐採又は譲渡による所得)、

8.譲渡所得(土地、建物、株式、ゴルフ会員権等の資産譲渡によって生ずる所得)、

9.一時所得(懸賞金、謝礼金等の臨時収入所得、 満期保険金、競馬払い戻し等の所得)、 10.雑所得(以上の9所得ののいずれにも該当しない所得で年金等の所得)

 

[各所得の「所得額」とは?]

  各所得は、それぞれの収入からその収入を得るのに必要となった経費(必要経費)を差し引いた額が「所得額」となります。  

収入ー必要経費=所得額

 

必要経費の計算方法は、下表の通りです。  

必要経費の算出方法

 

事業(農業、漁業、自営業、個人経営の医師、不動産賃貸、等)収入の場合は、収入を得る為に必要となったコストを積み上げて算出しますが、

給与収入の場合、収入金額に応じた「給与所得控除額」が、

公的年金収入の場合は、「支給額」に応じた「公的年金等控除額」が定められていて、

これを差し引いた額が所得額 となります。

 

[所得税(住民税)の計算の流れ]

  所得税は、こうして算定された各所得を合計した「総所得」から、所得税軽減措置として定められた所得控除額を差し引いた「所得額(課税所得という)」に、所得税率(累進課税方式という)が乗じられて「所得税」が決まります。住民税も基本的には同じ流れで計算されます。

 

なお、この所得税に対してさらに税額控除される優遇措置があります。  

 

所得税の計算は、次の様な手順(@→A→➂)で計算されます。  

 

@1年間の全ての所得額合計ー所得控除額=課税所得額

 

A課税所得額×課税所得の大きさに応じた累進税率=所得税額

 

➂所得税額ー税額控除額(直接税額免除される金額)=(納付)所得税額※ ※実際には、この所得税額に対し復興特別所得税2.1%がかかります。  

 

[所得税節税の対策箇所]

  以上の所得税計算の流れにおいて節税対策を講じられる箇所は次の3か所となります。   

 

コメントは、年末対策としての視点で紹介しています。  

@所得額を下げる

  所得額は、(収入ー必要経費)で決まるので、「必要経費を大きくする」か、「収入を抑える」ことで所得金額を下げることができます。

 

 [必要経費を大きくする方法について]

給与、年金、退職一時金等の所得は、必要経費は収入額に応じた定額で定められているため恣意的に引下げできる余地はありません。

 

必要経費を大きくできる所得は、それ以外となります。

 

このため、その他の所得では、年末対策としてできることは必要経費を極力大きくするための対策が講じられるかにかかっています。

 

  [収入を抑える方法について]  

収入を抑えて損にならない取引行為が可能なのは、含み損のある資産を損出し手段に用いることができる株式や投資信託などの譲渡所得です。

 

買い替え等による損出し方法によって譲渡所得の圧縮が可能となります。

 

従って、今年の譲渡所得累計において、利益が出ており、税金を払っている場合は、同一銘柄の買い替え(損出し売却と同値買戻しの反対売買)等によって譲渡所得の引下げが行え、且、損出しによる税還付(特定勘定の場合)が受けられます。

 

A課税所得額を下げる

課税所得額を下げるためには、下表にある「所得控除項目」の多くの項目に該当し、且つ、それぞれの控除金額が大きくなることが必要です。

 

所得控除項目は下表のとおり15種類ありますが、年末対策としての打てる対策は少ないと思われます。

 

例えば、医療費控除であれば、「医療費総額が10万円未満見込みの場合、予定していた高額医療費がかかる入院等を年内に繰り上げてもらう」とか、寄付金控除を増やすとか、妻のパート収入を抑えて配偶者控除を復活させる(確定申告|年間パート収入が103万円以下なら所得税は戻せる!)などといったことで所得控除額を大きくすることができますが、対効果の試算が必要でしょう。  

 

 

課税所得金額は、全ての所得合計から所得控除額を差し引いて算出します。

 

所得控除とは、控除の対象となる扶養親族が何人いるかなどの個人的な事情を加味して税負担を調整するもので、次の種類があります。

 

1雑損控除(「災害等にあったとき」参照)

2医療費控除(「医療費を支払ったとき」参照)

3社会保険料控除

4小規模企業共済等掛金控除

5生命保険料控除(「保険と税」参照)

6地震保険料控除(「保険と税」参照)

7寄附金控除(「寄附金を支出したとき」参照)

8障害者控除(「障害者と税」参照)

9寡婦控除(「家族と税」参照)((家族と税|参照)

10.ひとり親控除(「家族と税」参照)

11.勤労学生控除

12.配偶者控除(「家族と税」「高齢者と税(年金と税)」参照)

13.配偶者特別控除(「家族と税」参照)

14.扶養控除(「家族と税」「高齢者と税(年金と税)」「障害者と税」参照)    

15.基礎控除(「基礎控除」表参照)

 

➂所得税(住民税)そのものを軽減する(税額控除)

  算定された所得税から直接、所定の税額を控除してくれるものに次のようなものがあります。  

 配当控除、政党等寄附金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除、

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除ふるさと納税、など

 

この中で、年末対策として活用したいものは、何といっても「ふるさと納税」になります。

 

ふるさと納税は、限度額以内であれば、2000円負担で高額な地域特産物などが貰え、 (支払った額ー2000円)の10%は所得税の節税に、90%は住民税の節税となり、特に住民税の節税に大きく寄与します。  

 

以上から、年末節税対策は、株式等譲渡所得の節税とふるさと納税の活用が柱と言えそうです!

年末の節税対策の柱

1.「株式取引や投資信託等譲渡所得の節税対策」

2.「ふるさと納税」の活用

  株式等取引におけるケースバイケースでの具体策は、次回ご紹介します。

 

誰でも利用できる「ふるさと納税」が年末の節税の目玉

ふるさと納税は、地域が提示するお礼の品(地域の名産品など)を指定して寄付できる制度です。地域が提示するお礼の品は、「ふるなび」や「さとふる」などに紹介されています。  

寄付額は所得税と住民税で大半が還付されるお得な制度

  通常の「市町村等への寄付」は、2,000円を超える部分については「寄付金控除」として他の「社会保険料控除」などと同じく課税対象から除かれる税優遇措置ですが、

 

「ふるさと納税」は、確定申告によって2,000円を超える部分は「所得税の還付」と「翌年度の住民税の税軽減」という形で、両者合わせるとほぼ全額還元されるというお得な制度です。

 

但し、税優遇を受ける寄付金額は、本人の所得水準と家族構成により上限があります。

 

還元の仕組みは、例えば、課税所得が310万円で寄付金額が上限以内の場合、「寄付金額」から「2000円」を差し引いた金額に対し、「所得税で10%(※1)」、「住民税で90%」が還元され、合わせて「100%」が還元されるというものです。

 

※1. 各課税所得での所得税率   (例)給料収入が600万円の場合、下表による次の計算から426万円の「所得」となります。

 ・所得控除額: 600万円×20%+54万円=174万円

 ・給与「所得」:600万円‐174万円=426万円     

所得税の還付額と住民税の軽減額の求め方(制度)

ふるさと納税の確定申告による税の還付額や軽減額は、次のような算式により求められます。

なお、「ワンストップ特例制度」(寄付の都度、寄付金控除が受けられる)があるので、年末対策としては、こちらが便利です。 (後述) 

 

 

○所得税の控除額(還付額)

還付額=(寄付金‐2000)×本人の所得での所得税率(※1)×1.021

 

○住民税の控除額(軽減額)

    基本分    +       特例分{(寄付金‐2000)×10%}  +  {(寄付金‐2000)×(90%‐所得税率×1.021)} まとめると、「(寄付金‐2000)×約95% 」となり、ほぼ「95%」が次年度の住民税の軽減に反映されることになります。

 

[課税所得310万円の人が5万円のふるさと納税を利用した場合の計算例]

税項目 計算 還元内容
所得税の控除額(還付額) (50000‐2000)×10%=4800 所得税が4800円還付される
住民税の控除額(軽減額) (50000‐2000)×10%+ (50000‐2000)×(90%‐10%×1.021) =4800+38300=43100 43100円が次年度の住民税で軽減される。
合計 4800+43100=47900  5万円の寄付の内47900円が還元される

但し、所得の大きさと家族構成(高校生以上の扶養者)により寄付額の上限額が定められている

ふるさと納税には、本人の給与収入等と家族構成によって全額控除となる控除上限額があります。年間での寄附金額が、控除上限額を超えた場合、超えた金額は、自己負担になります。

 

下記の表は、自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税及び住民税から控除される、ふるさと納税額の目安表です。

 

この目安表は、社会保険料控除額を給与収入の15%と仮定して設定していますが、医療費控除などの他の控除を含めていませんので注意してください。

 

従って、社会保険料控除額が15%よりかなり大きかったり、医療費控除、生命保険料や地震控除、雑損控除などがあればその分課税所得が下がるので上限額も下がります。

 

その場合は、その分を考慮して収入を下げてこの表を見る必要があります。

 

正確には、他のサイトのシミレーションを活用することをおお勧めします。

 (ただし、住宅ローン控除や配当控除は税額控除なので、課税所得を算出する際には含まれない控除項目となります) 具体的な計算はお住まいの市区町村にお問い合わせください。

 

 

確定申告不要の「ふるさと納税ワンストップ特例制度」

  なお、確定申告の不要な給与所得者等が、確定申告を行わなくても寄附金控除が受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」があります。

 

これは、都度各自治体に特例の適用に関する申請書を提出する必要があります。

 

但し、他のことで確定申告する場合は、これらについて再度ふるさと納税の控除を受ける手続きが必要になります。

 

従って、毎年、何らかの確定申告を考えている方にはあまりおすすめできないところがあります。

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