昨年、風水害や盗難などで被害があった場合は、所得税や住民税の軽減や免除が受けられます!
昨年も台風や豪雨など各地で災害が発生し、たくさんの方が被害を受けられました。心よりお見舞い申し上げます。
このような場合、確定申告すれば、所得税、住民税の軽減や免除措置が受けられます。
被災された方は、火災保険などの手続きは終わっておられると思いますが、これら税軽減や免除措置の適用を受けるための確定申告をお忘れなく!
目 次 ・損害に対する税軽減措置の取り扱いは、所得税と住民税では若干異なる ・所得税での税軽減措置と免除措置 1.雑損控除による税軽減を受ける方法 2.「災害減免法」の適用による「税額控除」を受ける方法 ・住民税での税軽減措置 ・確定申告に必要な書類 ・最後に |
風水害や盗難等で被害を受けた方は、所得税や住民税の税軽減措置が受けられます。
過去5年間に遡って確定申告できるので、該当される場合は確定申告をおすすめします。
(還付金等の請求権は、5年間行使しないことによって、時効により消滅する)
損害に対する税軽減措置の取り扱いは、所得税と住民税では若干異なる
国税である所得税と地方税である住民税では損害に対する税軽減措置の取り扱いは、若干取り扱いが異なるので注意が必要です。
所得税には、「災害減免法」の適用による「税額控除」措置がありますが、住民税にはありません。
従って、確定申告で「災害減免法」の適用による「税額控除」措置を受けられた場合は、住民税では、別個に、雑損控除による申告を提出する必要が生じます。
所得税での税軽減措置と免除措置
風水害や盗難等により、生活に必要な資産(建物設備や家財等)に大きな損害を受けた場合、損失の一部を所得から差し引ける「雑損控除」による税軽減措置、あるいは、損害が多大であれば、「雑損控除」にかえて「災害減免法による所得税の軽減免除」の適用が受けられます。
つまり、風水害等により被災された方は、
1.雑損控除による税軽減を受ける方法
2.「災害減免法」の適用による「税額控除」を受ける方法
のどちらかの措置を受けることができます。
なお、所得1000万円以上の人は、「災害減免法」は適用外となるため、選択肢は雑損控除による方法しかありません。
1.雑損控除による税軽減を受ける方法
災害や盗難などで自宅や家財などに損害を被った場合、損害補償として受け取った火災保険金などを差し引いた「実質損失額」に当たる部分を「雑損控除」として、他の「社会保険控除」などと同様に一定額まで所得の控除が受けられるというものです。
なお、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。
[雑損控除金額の計算方法]
2通りあり、いずれかの大きい方が適用されます。
(1)[損失額-民間保険の保険金]より「差し引き損失額」を出し、「所得の10%の金額」(免責部分?)を差し引いた金額を「雑損控除金額」とする方法
「損失額-民間保険の保険金」-所得の10%の金額
=「雑損控除金額」
なお、損失額は、自宅や車など資産ごとに算出する。
(生活に通常必要でない資産は対象外)
『自宅の場合』
取得価額が判っている場合 | 損失額は、時間の経過による減価を差し引いた時価に被害割合(100%、50%など)をかけた金額 |
取得価額がわからない場合 | 損失額は、総床面積に対する工事費用(国税庁発表都道府県別u当たり工事費用による)に被害割合をかけた金額を損失額とする。 |
なお、被害割合は、災害時に自治体に申請して交付を受けた「罹災証明書」に記載の「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊に至らず」の4区分により国税庁の定める比率「%」を用います。(詳細については「国税庁の被害割合表」をご覧ください。)
(2)「災害関連支出-5万円」=「雑損控除金額」とする方法
「災害関連支出」とは、損壊した自宅の修復費用や自宅内に流れ込んだゴミや土砂などの撤去費用など。
2.「災害減免法」の適用による「税額控除」を受ける方法
「住宅や家財の損害額が時価の二分の一を超える場合」に、下記の「所得に応じた免除割合」が適用され所得税そのものが税額控除されます。
雑損控除よりも直接的に税金免除を受けられるので、本人の所得水準や被害状況と免除割合によっては、雑損控除よりも軽減効果が大きくなる可能性があります。
なお、この制度は、所得1000万円以上の人は適用外となります。
◎所得区分別に所得税の免除割合
所得 | 所得税免除率 |
500万円以下 | 所得税の全額免除 |
500〜750万円 | 所得税の50%の免除 |
750〜1000万円 | 所得税の25%免除 |
住民税での税軽減措置
住民税には、災害減免法の適用がありません。
(注:市町村条例で減免措置を定めるところもあるので確認が必要)
このため、所得税の確定申告で、「2.災害減免法の適用による税額控除を受ける方法」を選択した場合は、別途に確定申告期間中に市区町村で「雑損控除の申告」をする必要があります。
なお、所得税の確定申告で「雑損控除」を選んだ場合は、自動的に住民税に反映されるため別途手続きする必要はありません。
確定申告に必要な書類
・「罹災証明書」、「火災保険などから受け取った保険金関係書類」、「災害関連支出の領収書類」など。
最後に
不幸にも台風や豪雨あるいは地震や火災、水害などで被害に遭われた方は、確定申告で所得税などで収めた税金の還付が受けられますので、必要書類を取り揃えて還付申告されることをおすすめします。
なお、確定申告時期は、例年、2月中旬から3月中旬に設定されますが、雑損控除などによる還付申告は、それ以前でも行えますので早めに申告されることをおすすめします。
また、申告についての詳細は「国税庁の雑損控除」でご確認願います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
完
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