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ペン牛といいます。子供の頃から怖い話が好きで、ブログを始めたいけどネタがない、と悩んでいたところ辞書からランダムに選んだ言葉を使って怖い話を書けないかと思いつき、やってみたら案外できることが判明、気がついたらブログを開設していた。こんなですが、どうぞよろしくお願いします。なお当ブログはリンクフリーです。リンクしてもらえるとすごく喜びます。にほんブログ村アクセスランキング、人気ブログランキング、アルファポリスに参加中です。 


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2016年03月20日

八十一話 お題:長座(長い時間そこにいること) 縛り:柏餅(柏の葉で包んだ餡入りの餅)、立論(論の趣旨や筋道を組み立てること)、湿度(空気中に含まれている水蒸気の割合)、巻き添え(他人の起こした事件に引き込まれて損害を被ること)

 大学生の時に体験した話である。


当時、同じ研究室に所属していた友人が課題が全く進まず困り果てており、何度も助けてくれと言われたものの自分も余裕があるわけではなく、無理だと断っていたのだが、ある日教授から、
「君、彼と仲いいんでしょ? 手伝ってあげなさいよ、薄情だなぁ」
 と言われてしまい泣く泣く手伝うことになった。このままでは友人の巻き添えになってしまうため、まず友人の課題がどの程度進んでいるのか確認したところ立論すらまだだというので、眩暈を覚えながらも二人で研究室に泊まり込んで課題を進め、やっとのことで終わらせた。課題が終わった直後、色々と限界に達していた私と友人は、子供の日に何故か教授が買ってきてくれた柏餅を齧りながらぼんやりとしていたのだが、それまでの疲れもあり、いつの間にか二人そろって眠ってしまった。
「おい、起きろ! 大丈夫か!」
 私は研究室の先輩の声で目を覚まし、目覚めた時は先輩がどうして慌てているのかわからなかったが、話を聞いてその理由がわかった。なんでも私と友人は眠ってしまった時から一ヶ月もの間、行方不明になっていたのだそうだ。日付を確認してみると確かに課題を終えた日から一ヶ月経っており、梅雨入りしたためか湿度も明らかに高くなっていた。行方不明になっていたことで問題は色々と起きたのだが、最大の問題は課題の提出期限が過ぎてしまったことで、友人と二人で散々教授を拝み倒してどうにか受け取ってもらうことができた。以来、私は柏餅を見る度、あの時自分と友人に何が起こったのだろう、と考えてしまうようになったのである。

posted by ペン牛 at 14:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 怖い話
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