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ペン牛といいます。子供の頃から怖い話が好きで、ブログを始めたいけどネタがない、と悩んでいたところ辞書からランダムに選んだ言葉を使って怖い話を書けないかと思いつき、やってみたら案外できることが判明、気がついたらブログを開設していた。こんなですが、どうぞよろしくお願いします。なお当ブログはリンクフリーです。リンクしてもらえるとすごく喜びます。にほんブログ村アクセスランキング、人気ブログランキング、アルファポリスに参加中です。 


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2016年03月05日

六十六話 お題:随時(適宜な時に行う様) 縛り:通日(一日中)、銘ずる(心に深く刻みつける)、曲線(角がなく連続的に曲がっている線)、厄除け(厄難を払い除けること)

 大学の先輩から聞いた話である。


先輩の地元には厄除けのための奇妙な風習があるという。
「ほんとめんどくさいんだよ。毎年村の若い男の中から一人が選ばれて、選ばれたやつは決められた日に全てのパーツが曲線だけでできたお面かぶって、丸一日村を歩き回ってさ、それで通りかかった人が必ず食い物が欲しいって言ってくるから、言われたらその度に何か食い物をあげなきゃなんねぇんだ」
 あげるものはそれこそ飴玉一個でもいいらしく、村人の人数も少ないためできないことではないのだが、それでも通日やるとなるとやはり大変なのだそうだ。
「一度親にこんなことわざわざやる意味あるのかって聞いたんだよ、そしたら」
 やらないと村の人皆体を齧られるよ、と言われたのだという。なんでもその風習は厄除けのために行うが、除ける厄というのは病気や災害ではなく心霊的なものらしく、それによる被害を最小限に留めるためのものなのだそうだ。
「なんか昔飢えて死んだ人達の怨念が集まってどうとかって言ってたな。カクカクしたものがあると嫌がってよってこないから曲線だけでできたお面をかぶって、食べ物を配ることでそいつらを慰めるんだと」
 なお選ばれた男性は時折体の一部を齧られることがあるそうだが、齧られたとしても耐えろ、自分が厄を抑えなければ村全体に被害が及ぶことを肝に銘ずるように、と言い含められるという。先輩に齧られたことはあるんですか、と聞くと、
「俺はねぇんだけどこの間友達がよりにもよって鼻持ってかれたらしくてさ。俺もう一生地元帰らねぇわ」
 本来ほめられることではないが、流石にそれは仕方ないと思った。

posted by ペン牛 at 12:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 怖い話
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