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ペン牛といいます。子供の頃から怖い話が好きで、ブログを始めたいけどネタがない、と悩んでいたところ辞書からランダムに選んだ言葉を使って怖い話を書けないかと思いつき、やってみたら案外できることが判明、気がついたらブログを開設していた。こんなですが、どうぞよろしくお願いします。なお当ブログはリンクフリーです。リンクしてもらえるとすごく喜びます。にほんブログ村アクセスランキング、人気ブログランキング、アルファポリスに参加中です。 


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2016年02月17日

四十九話 お題:大所高所(小さな点にこだわらない、広く全体を見通すような見方) 縛り:モザイク(ガラス・タイル・大理石などの断片を組み合わせて作った絵や模様)、蓮台(蓮華の形に作った仏像の台座)、軍閥(軍部を中心とする政治上の勢力)、当たり年(農作物の収穫量の特に多い年)

 私の祖父の話である。


祖父は生前は旧陸軍の将校で、当時陸軍内で有力な軍閥に所属していた。ある秋の日、祖父は陸大の同期と飲みに行き、その帰り道で困った様子の女性に出会った。身なりはよくないが顔立ちは非常に整っており、酔って気の大きくなっていた祖父は何かお困りですか、と声をかけたという。女性は梨が食べたいのですが、お金がないのですと祖父に言った。その年は梨の当たり年で祖父の家にはもらいもののよく熟した梨が大量にあり、家の近くまで来ていたこともあってわざわざ家の梨を風呂敷に包めるだけ包むとその女性にあげたそうだ。女性は大いに喜び、このお礼は必ずと言って立ち去った。祖父は珍しいほどの美人と話せただけで満足しており、お礼のことは特に気にしていなかったのだが、数日後その女性はわざわざ祖父の家を訪ね、梨のお礼の品ですのでどうぞお納めくださいと一枚の絵を差し出してきた。その絵は実に奇妙な絵で、モザイクの技法で描かれた蓮台に座る仏の絵だった。女性は幸運を呼ぶ絵ですのでどうか大事になさってください、と言って立ち去り、祖父はもらった手前もあり自室にその絵を飾ることにした。しばらくして祖父は難病にかかり、軍を退役せざるをえなくなった。その後第二次世界大戦が始まったが祖父は辛うじて生き延び、退役していたおかげで戦争責任を問われることもなかった。祖父は亡くなる直前、女性からもらった絵を見ながら、仏様の授けてくれる幸運はどうにもわかり辛くていかんなぁと呟き、そのまま亡くなった。

posted by ペン牛 at 11:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 怖い話
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