2016年10月09日
二百八十四話 お題:乱数表(0から9までの数字を全く無秩序に、しかも出現の確率が同じになるように並べた表) 縛り:妾(正妻の他に、愛し養う女性)
釣り仲間の話である。
彼は中央競馬に個人で馬主登録をしているほどの資産家で、奥さんの他に妾が何人もいるのだが、最近その妾達の様子がおかしいのだそうだ。
「心ここにあらずというか、何を言っても反応が薄いんだよ。旅行に誘っても行かないって断られるし、欲しいものを聞いても何もないって返されるし……一人だけならまだしも、妾全員がそんな調子だからなぁ」
彼は妾達の態度が変わった原因を探るべく、妾達の持ち物を漁った。すると、
「全員、数字がびっしり書かれた表を持ってたんだよ。気になったからこれはなんだって一人一人問い質したんだが」
誰もその数字が書かれた表がなんなのか答えなかったという。私が、君の妾達は実はスパイでもやってるんじゃないか、と言うと、
「スパイ? いやいや、馬鹿な……うーん、でもそうか、もし、万が一そうだとしたら……恰好いいなぁ」
彼の能天気さに若干腹が立った私は、側でとぐろを巻いていた愛猫の背中を少し乱暴に撫でた。
彼は中央競馬に個人で馬主登録をしているほどの資産家で、奥さんの他に妾が何人もいるのだが、最近その妾達の様子がおかしいのだそうだ。
「心ここにあらずというか、何を言っても反応が薄いんだよ。旅行に誘っても行かないって断られるし、欲しいものを聞いても何もないって返されるし……一人だけならまだしも、妾全員がそんな調子だからなぁ」
彼は妾達の態度が変わった原因を探るべく、妾達の持ち物を漁った。すると、
「全員、数字がびっしり書かれた表を持ってたんだよ。気になったからこれはなんだって一人一人問い質したんだが」
誰もその数字が書かれた表がなんなのか答えなかったという。私が、君の妾達は実はスパイでもやってるんじゃないか、と言うと、
「スパイ? いやいや、馬鹿な……うーん、でもそうか、もし、万が一そうだとしたら……恰好いいなぁ」
彼の能天気さに若干腹が立った私は、側でとぐろを巻いていた愛猫の背中を少し乱暴に撫でた。
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