2016年08月21日
二百三十五話 お題:神霊(神) 縛り:体型(体格の型)、銑鉄(鉄鉱石を溶鉱炉で還元して取り出した鉄)
男友達の話である。
彼は刀鍛冶をやっているのだが、先日作業場で不可思議な体験をしたのだという。
「作業してたら、いつの間にか妖怪みたいなのが側に立っててさ」
その何かは直垂を着て烏帽子を被っており、顔の中央に巨大な目が一つだけあった。
「そいつ、自分のことを鍛冶の神だって言って、俺がわざわざ銑鉄から作った日本刀のことを鉄屑って言ったんだ」
熊のような体型とは裏腹に非常に臆病な彼は怯えるばかりで何も言い返すことができなかったという。一つ目の何かは彼の日本刀にひとしきり文句を言うと、満足したのか作業場を立ち去ろうとした。だが、
「バチーン! って音がしたと思ったら、俺が作った日本刀が独りでに飛んでいって、その一つ目の何かに突き刺さってさ」
一つ目の何かは動物のような鳴き声を上げて消えたという。彼の日本刀には、赤い血がべったりとついていたそうだ。
「やっぱり自分のことを神とか言うやつにろくなやつはいないな。それにしても俺の日本刀、人の手も借りずに馬鹿にしたやつに向かって飛んでいくとは……俺も刀鍛冶として捨てたもんじゃないってことだな」
そう言って彼は爽やかに笑った。
彼は刀鍛冶をやっているのだが、先日作業場で不可思議な体験をしたのだという。
「作業してたら、いつの間にか妖怪みたいなのが側に立っててさ」
その何かは直垂を着て烏帽子を被っており、顔の中央に巨大な目が一つだけあった。
「そいつ、自分のことを鍛冶の神だって言って、俺がわざわざ銑鉄から作った日本刀のことを鉄屑って言ったんだ」
熊のような体型とは裏腹に非常に臆病な彼は怯えるばかりで何も言い返すことができなかったという。一つ目の何かは彼の日本刀にひとしきり文句を言うと、満足したのか作業場を立ち去ろうとした。だが、
「バチーン! って音がしたと思ったら、俺が作った日本刀が独りでに飛んでいって、その一つ目の何かに突き刺さってさ」
一つ目の何かは動物のような鳴き声を上げて消えたという。彼の日本刀には、赤い血がべったりとついていたそうだ。
「やっぱり自分のことを神とか言うやつにろくなやつはいないな。それにしても俺の日本刀、人の手も借りずに馬鹿にしたやつに向かって飛んでいくとは……俺も刀鍛冶として捨てたもんじゃないってことだな」
そう言って彼は爽やかに笑った。
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