2016年06月29日
百八十二話 お題:ポップフライ(野球で内野に上がった小飛球) 縛り:なし
草野球仲間から聞いた話である。
彼と二人で飲みに行った際、ゾーン体験の話になったのだが、
「俺、一度あるんだよ。あっ、ゾーンに入ったって感じたこと。まぁ嫌な思い出だけどな」
私が詳しく聞きたいと言うと、彼は実に嫌そうに話してくれた。
「高校の野球部の練習試合の時だったんだけど、俺その時セカンド守ってて、相手の一番がちょうどいい位置にポップフライ上げたんだよ。これは楽勝だわって思って捕ろうとしたら、突然ゾーンに入ってさ」
彼はその時、ボールが落ちてくるのが信じられないほど遅く感じられたという。そして本来なら激しく回転しているであろうボールがまるで静止しているかのように見えたそうだ。
「それだけなら別によかったんだけど、ボールをよく見たら、このボールを捕ったらお前は死ぬって書いてあったんだよ」
彼はそのボールを捕らなかったという。
「別に幽霊とかそういうのは信じてねぇけど、あの時だけは絶対に捕っちゃいけないって気がしたんだ。まぁおかげで監督からもチームメイトからもボロクソに言われたけどな」
そう言うと彼は嫌な思い出を忘れ去ろうとするかのように、ビールの大ジョッキを一息で飲み干した。
彼と二人で飲みに行った際、ゾーン体験の話になったのだが、
「俺、一度あるんだよ。あっ、ゾーンに入ったって感じたこと。まぁ嫌な思い出だけどな」
私が詳しく聞きたいと言うと、彼は実に嫌そうに話してくれた。
「高校の野球部の練習試合の時だったんだけど、俺その時セカンド守ってて、相手の一番がちょうどいい位置にポップフライ上げたんだよ。これは楽勝だわって思って捕ろうとしたら、突然ゾーンに入ってさ」
彼はその時、ボールが落ちてくるのが信じられないほど遅く感じられたという。そして本来なら激しく回転しているであろうボールがまるで静止しているかのように見えたそうだ。
「それだけなら別によかったんだけど、ボールをよく見たら、このボールを捕ったらお前は死ぬって書いてあったんだよ」
彼はそのボールを捕らなかったという。
「別に幽霊とかそういうのは信じてねぇけど、あの時だけは絶対に捕っちゃいけないって気がしたんだ。まぁおかげで監督からもチームメイトからもボロクソに言われたけどな」
そう言うと彼は嫌な思い出を忘れ去ろうとするかのように、ビールの大ジョッキを一息で飲み干した。
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