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ペン牛といいます。子供の頃から怖い話が好きで、ブログを始めたいけどネタがない、と悩んでいたところ辞書からランダムに選んだ言葉を使って怖い話を書けないかと思いつき、やってみたら案外できることが判明、気がついたらブログを開設していた。こんなですが、どうぞよろしくお願いします。なお当ブログはリンクフリーです。リンクしてもらえるとすごく喜びます。にほんブログ村アクセスランキング、人気ブログランキング、アルファポリスに参加中です。 


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2016年06月16日

百六十九話 お題:流離(故郷を離れてあちこちをさまよい歩くこと) 縛り:生きる(生命を保つ)、混乱(物事が入り乱れて秩序をなくすこと)、下ろし和え(下ろし大根で野菜・きのこ・魚・貝類などをあえたもの)、フラミンゴ(フラミンゴ目フラミンゴ科の鳥の総称)、悪党(悪人)

 女友達から恋人が失踪したと聞かされた時のことである。

「なんか魚っぽい男だったんだよね。顔つきとか体臭とか。あと指の間にすっごい水かきあったし」
 その男性は記憶が混乱しており、彼女は最初に会った時、こんな状態でちゃんと生きることができるのかと思ったそうだ。
「でも私世話焼きだからさぁ。かえってそこがよかったんだよね」
 彼女はすぐに男性と同棲を始めた。彼女と暮らすうちに男性は少しずつ落ち着きを取り戻し、やがて働くことができるまでになった。
「とにかく下ろし和えが大好きでさぁ。仕事から帰ってきて夕食に下ろし和えがないってわかるとすっごい不機嫌になるの。あとは動物がすっごい好きで、時間がある時は動物番組見たり動物園行ったり、あ、動物園でたまたまフラミンゴがキスしてて、何枚も写真撮ってたなぁ」
 二人の生活は軌道に乗り、彼女も妊娠していることがわかったのだが、男性はある日突然家に帰ると言って行方をくらましてしまった。
「ここ以外のどこに家があるんだよって聞いたら、海って即答されてさ。もう完全に魚の答えじゃん。それでなんか気が抜けちゃって、こうなったら一人で子供育てようと思ってさ」
 私はその男性のことを結構な悪党だと思ったのだが、それを彼女に伝えると彼女は複雑そうな顔をした。その後彼女は出産したが、産まれてきた子供は人と魚が混ざったような奇怪な見た目をしており、呼吸をすることができずすぐに死んだという。
「あーあ、子供も死んじゃったし、私も海に帰ろうかな」
 彼女は最近、これが口癖になっている。

posted by ペン牛 at 13:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 怖い話
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