2016年06月15日
百六十八話 お題:忍びの術(忍術) 縛り:客分(客としての扱いを受ける人)
私が子供の頃の話である。
当時私は伯父の家によく遊びに行っていた。伯父は裕福で人柄も気さくであり、そのせいか伯父の家には客分なのか居候なのかよくわからない人が何人もいたのだが、その内の一人に変わった男性がいた。
「俺はね、生まれる時代を間違えたんだよ」
その男性は種も仕掛けもなしに口から火を吐けるのだと言い、丁度忍者が好きだった私はそれを聞いて、すごい、火遁の術だ! とはしゃいだ。私の反応に気をよくしたのだろう。男性は火を吐くところを見せてあげようと言って煙草を一本取り出し、先端を口に近づけた。私は固唾を飲んで見守ったが、男性はそれにただ息を吹きかけただけで、火は出なかった。私は男性にからかわれたのだと思い、泣きそうになってしまったが、次の瞬間、男性は口から細く青いバーナーから出るような火を出して煙草に火をつけた。
「今は手品でもっとすごいことがいくらでもできるからなぁ。ほんと世知辛いよ」
なお男性はそれからしばらくして伯父の家を出ていったのだが、その際私に、
『火の使い道を見つけたよ』
という伝言を残していった。
当時私は伯父の家によく遊びに行っていた。伯父は裕福で人柄も気さくであり、そのせいか伯父の家には客分なのか居候なのかよくわからない人が何人もいたのだが、その内の一人に変わった男性がいた。
「俺はね、生まれる時代を間違えたんだよ」
その男性は種も仕掛けもなしに口から火を吐けるのだと言い、丁度忍者が好きだった私はそれを聞いて、すごい、火遁の術だ! とはしゃいだ。私の反応に気をよくしたのだろう。男性は火を吐くところを見せてあげようと言って煙草を一本取り出し、先端を口に近づけた。私は固唾を飲んで見守ったが、男性はそれにただ息を吹きかけただけで、火は出なかった。私は男性にからかわれたのだと思い、泣きそうになってしまったが、次の瞬間、男性は口から細く青いバーナーから出るような火を出して煙草に火をつけた。
「今は手品でもっとすごいことがいくらでもできるからなぁ。ほんと世知辛いよ」
なお男性はそれからしばらくして伯父の家を出ていったのだが、その際私に、
『火の使い道を見つけたよ』
という伝言を残していった。
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