2016年06月10日
百六十三話 お題:土用波(夏の土用の頃、海岸に打ち寄せる大波) 縛り:なし
中学生の頃に体験した話である。
当時私は歩いて中学校に通っていたのだが、ある日の朝、登校するために海沿いの通学路を歩いていると、二人の主婦らしき女性が立ち話をしていた。私がおはようございます、と挨拶をすると、女性達はおはよう、元気がいいね、と挨拶を返してくれた。私はそのまま歩いていこうとしたのだが、何気なくその女性達の会話を聞いた瞬間、足が止まってしまった。
「もう夏の土用なのに今年はあんまり波が激しくならないねぇ。もっとどんどん人飲み込んでもらわないと困るのに」
「そうだよねぇ。地球温暖化とか異常気象とか言ってるけど、全然大したことない。昔は今の倍は死んでたでしょう?」
「そうそう。そのくらい死んでた。もっと人が波に飲まれて死んでくれないと、寂しくなる一方だもんねぇ。あぁ、困った困った」
思わず私が女性達の方へ顔を向けると、そこには誰もいなかった。それ以来私はその通学路を避けて遠回りをするようになったため、通学が大変不便になった。
当時私は歩いて中学校に通っていたのだが、ある日の朝、登校するために海沿いの通学路を歩いていると、二人の主婦らしき女性が立ち話をしていた。私がおはようございます、と挨拶をすると、女性達はおはよう、元気がいいね、と挨拶を返してくれた。私はそのまま歩いていこうとしたのだが、何気なくその女性達の会話を聞いた瞬間、足が止まってしまった。
「もう夏の土用なのに今年はあんまり波が激しくならないねぇ。もっとどんどん人飲み込んでもらわないと困るのに」
「そうだよねぇ。地球温暖化とか異常気象とか言ってるけど、全然大したことない。昔は今の倍は死んでたでしょう?」
「そうそう。そのくらい死んでた。もっと人が波に飲まれて死んでくれないと、寂しくなる一方だもんねぇ。あぁ、困った困った」
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