2016年05月26日
百四十八話 お題:長呂儀(ちょろぎ、シソ科の多年草) 縛り:熊(食肉目クマ科の哺乳類の総称)、腹中(腹の中)、月中(月の中頃)、逆らう(物事の自然の勢いに従わないでその逆の方向に進もうとする)
私の伯父の話である。
伯父は猟師をやっているのだが、去年の十一月の月中に異常な状態の熊を仕留めたのだという。
「もう長いこと猟師をやってるが、あんな風になった熊を見たのは初めてだった。何せ背中には色んなキノコや草が生えてて、腹には鹿の脚や猿の腕が生えてた。顔はわかるだけでも熊に狐、狸、猿、猪、鹿の部品が出鱈目に並んでて、見てるだけで吐きそうだった」
伯父はその熊の死体に触れるのも嫌だったそうだが、それでも仕留めた以上死体を放置するわけにもいかず、解体して持って帰ることにしたという。熊の解体は順調に進んだが、腹中の内容物を調べた際に妙なものが出てきた。
「真っ赤な長呂儀がそのままの形でたくさん出てきたんだ。長呂儀は元々は白くて色をつけて初めて赤くなる。一体どういうことだろうと考えてたら、俺の爺さんから聞いた化け長呂儀の話をハッと思い出してな」
なんでも化け長呂儀というのは伯父が猟に行く山で極々稀に見つかる植物で、一見長呂儀そっくりだが根と塊茎が真っ赤なので見分けがつくのだそうだ。
「爺さんは化け長呂儀を食うのは山の掟に逆らうことだから、たとえ飢えて死にそうになってる時でも食うなと言ってたんだが、ようやくその意味がわかったよ」
なお持って帰った熊の死体は全て灰になるまで焼いたという。
伯父は猟師をやっているのだが、去年の十一月の月中に異常な状態の熊を仕留めたのだという。
「もう長いこと猟師をやってるが、あんな風になった熊を見たのは初めてだった。何せ背中には色んなキノコや草が生えてて、腹には鹿の脚や猿の腕が生えてた。顔はわかるだけでも熊に狐、狸、猿、猪、鹿の部品が出鱈目に並んでて、見てるだけで吐きそうだった」
伯父はその熊の死体に触れるのも嫌だったそうだが、それでも仕留めた以上死体を放置するわけにもいかず、解体して持って帰ることにしたという。熊の解体は順調に進んだが、腹中の内容物を調べた際に妙なものが出てきた。
「真っ赤な長呂儀がそのままの形でたくさん出てきたんだ。長呂儀は元々は白くて色をつけて初めて赤くなる。一体どういうことだろうと考えてたら、俺の爺さんから聞いた化け長呂儀の話をハッと思い出してな」
なんでも化け長呂儀というのは伯父が猟に行く山で極々稀に見つかる植物で、一見長呂儀そっくりだが根と塊茎が真っ赤なので見分けがつくのだそうだ。
「爺さんは化け長呂儀を食うのは山の掟に逆らうことだから、たとえ飢えて死にそうになってる時でも食うなと言ってたんだが、ようやくその意味がわかったよ」
なお持って帰った熊の死体は全て灰になるまで焼いたという。
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