2016年05月04日
百二十六話 お題:遁辞(言い逃れの言葉) 縛り:なし
大学の同級生で嘘をつくのが怖い、という男がいる。
何かきっかけがあったのか、と私が聞くと、
「俺子供の時、お袋の財布から金盗んだことがあるんだよ。つってもすぐにバレて、お前盗っただろうってお袋に問いつめられたんだけどさ」
彼は咄嗟に、知らない男の人がお金を盗っていったんだ、と言い逃れをしたという。もちろん彼の母親はそんな訳ないだろうと言ったのだが、その時、
「知らない男がお袋を後ろから殴って、何度も頭を踏みつけて動けなくした後、家中の金を盗っていったんだよ。俺は何もできなかった。怖くて動くこともできなかったんだ」
その男は彼の家を立ち去る際、彼に、
「よかったな坊主、これでお前嘘つきじゃなくなったぞ」
と言ったという。
「お袋はその時のことで障害が残ってさ。もしまた俺が嘘を言って、それが本当になっちまったらと思うと、怖いんだよ」
彼の声はかすかにだが、震えていた。
何かきっかけがあったのか、と私が聞くと、
「俺子供の時、お袋の財布から金盗んだことがあるんだよ。つってもすぐにバレて、お前盗っただろうってお袋に問いつめられたんだけどさ」
彼は咄嗟に、知らない男の人がお金を盗っていったんだ、と言い逃れをしたという。もちろん彼の母親はそんな訳ないだろうと言ったのだが、その時、
「知らない男がお袋を後ろから殴って、何度も頭を踏みつけて動けなくした後、家中の金を盗っていったんだよ。俺は何もできなかった。怖くて動くこともできなかったんだ」
その男は彼の家を立ち去る際、彼に、
「よかったな坊主、これでお前嘘つきじゃなくなったぞ」
と言ったという。
「お袋はその時のことで障害が残ってさ。もしまた俺が嘘を言って、それが本当になっちまったらと思うと、怖いんだよ」
彼の声はかすかにだが、震えていた。
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