2016年04月20日
百十二話 お題:セット(一揃い) 縛り:制御(相手を抑えて自分の思うように動かすこと)、弱り果てる(どうしたらよいかわからずに困る)
男友達の話である。
彼は海外の雑貨を輸入する仕事をしているのだが、最近仕入れた品にまつわるトラブルで悩んでいるのだという。
「アメリカで色々と買いつけた時に、もしこれらも一緒に引き取ってくれたら半額にしてやるって言われたんだ。ちょっと怖かったけど精々変ないわくがついてるとかそんなレベルだろと思ってたらとんでもなくてさ」
引き取ってほしいと言われたのは美しい女の子の人形と醜い怪物の人形のセットだったという。最初彼は女の子の人形だけを売り、怪物の人形は処分してしまおうと考えていた。女の子の人形は出来が素晴らしいだけにすぐに買い手がついたが、問題が起こった。
「女の子の人形を家に飾った途端にポルターガイストが起こるようになったってクレームが入ってさ。冗談だろと思って買った客の家に行ったら皿が飛んできて額にぶつかって三針縫ったよ。あと家の中にいるとどこからともなく彼のところに帰らせろ、って声が聞こえてくるんだ。それを聞いてあぁ、そういうことか、って理解したよ」
このポルターガイストは怪物の人形と離れ離れになった女の子の人形が起こしているのだ――そう確信した彼はおびえ切った客から女の子の人形を引き取ると、すぐに商品が置いてある倉庫に行き、処分寸前だった怪物の人形の隣に女の子の人形を置いた。
「ポルタ―ガイストを制御できる方法があるだけまだよかったけど、それでもあんなもの手元に置いておきたくないからなぁ。とはいえ引き取ってくれるようなやつのあてはないし、壊しても捨てても被害が出そうだし、おまけに女の子の人形を買った客が悪い噂広めてくれたおかげで評判はガタ落ちだし……踏んだり蹴ったりだよ」
弱り果てる彼を見て力になりたいとは思ったが、それでも彼が持っている人形のセットを引き取る気にはとてもなれなかった。
彼は海外の雑貨を輸入する仕事をしているのだが、最近仕入れた品にまつわるトラブルで悩んでいるのだという。
「アメリカで色々と買いつけた時に、もしこれらも一緒に引き取ってくれたら半額にしてやるって言われたんだ。ちょっと怖かったけど精々変ないわくがついてるとかそんなレベルだろと思ってたらとんでもなくてさ」
引き取ってほしいと言われたのは美しい女の子の人形と醜い怪物の人形のセットだったという。最初彼は女の子の人形だけを売り、怪物の人形は処分してしまおうと考えていた。女の子の人形は出来が素晴らしいだけにすぐに買い手がついたが、問題が起こった。
「女の子の人形を家に飾った途端にポルターガイストが起こるようになったってクレームが入ってさ。冗談だろと思って買った客の家に行ったら皿が飛んできて額にぶつかって三針縫ったよ。あと家の中にいるとどこからともなく彼のところに帰らせろ、って声が聞こえてくるんだ。それを聞いてあぁ、そういうことか、って理解したよ」
このポルターガイストは怪物の人形と離れ離れになった女の子の人形が起こしているのだ――そう確信した彼はおびえ切った客から女の子の人形を引き取ると、すぐに商品が置いてある倉庫に行き、処分寸前だった怪物の人形の隣に女の子の人形を置いた。
「ポルタ―ガイストを制御できる方法があるだけまだよかったけど、それでもあんなもの手元に置いておきたくないからなぁ。とはいえ引き取ってくれるようなやつのあてはないし、壊しても捨てても被害が出そうだし、おまけに女の子の人形を買った客が悪い噂広めてくれたおかげで評判はガタ落ちだし……踏んだり蹴ったりだよ」
弱り果てる彼を見て力になりたいとは思ったが、それでも彼が持っている人形のセットを引き取る気にはとてもなれなかった。
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