2016年04月18日
百十話 お題:ダイス(サイコロ) 縛り:中生(早生と晩稲の中間期に成熟する品種の稲)、ピアス(耳たぶに小さな穴をあけてつける型の耳飾り)、婦人(成人した女性)
中学の頃の同級生から聞いた話である。
彼は今家業を継いで米農家をやっているのだが、先日田植えをした際に妙な女性に会ったという。
「やけに垢抜けた、妙齢の婦人って感じの人でさ。こんなところに何の用だろうと思ってたら」
その女性は彼に、
「私は女神です。今日は下界の様子を見に地上に降りてきました」
と言ったという。
「まぁ完全に危ない人だよな。これは適当にあしらうしかないなと思って覚悟決めたんだけどさ」
彼の内心を察したのか、その女性は私の力を見せましょうと言うと、右耳のピアスの飾りを外した。
「よく見たらピアスの飾りがサイコロになっててさ。いきなりそれを振って、出た目が二だったんだけど、そうしたら」
女性は田植えが終わったばかりの彼の田んぼを指さすと、
「二時間後にここの稲が実ります」
と言って立ち去った。彼は女性が立ち去ってくれたことに安堵しつつ、何気なく彼女が指さした田んぼの稲を見た。そこの稲は肉眼でわかるほどのスピードで成長していた。
「うちの稲は品種としては中生のものなんだけど、まぁどんな早生の品種でもあんな速さでは伸びないよな」
結局たった二時間で稲は見事に実ってしまい、本来収穫する時期と大幅にずれたことで彼は色々と苦労したそうだが、収穫した米の味がよかったことが唯一救いだったという。
彼は今家業を継いで米農家をやっているのだが、先日田植えをした際に妙な女性に会ったという。
「やけに垢抜けた、妙齢の婦人って感じの人でさ。こんなところに何の用だろうと思ってたら」
その女性は彼に、
「私は女神です。今日は下界の様子を見に地上に降りてきました」
と言ったという。
「まぁ完全に危ない人だよな。これは適当にあしらうしかないなと思って覚悟決めたんだけどさ」
彼の内心を察したのか、その女性は私の力を見せましょうと言うと、右耳のピアスの飾りを外した。
「よく見たらピアスの飾りがサイコロになっててさ。いきなりそれを振って、出た目が二だったんだけど、そうしたら」
女性は田植えが終わったばかりの彼の田んぼを指さすと、
「二時間後にここの稲が実ります」
と言って立ち去った。彼は女性が立ち去ってくれたことに安堵しつつ、何気なく彼女が指さした田んぼの稲を見た。そこの稲は肉眼でわかるほどのスピードで成長していた。
「うちの稲は品種としては中生のものなんだけど、まぁどんな早生の品種でもあんな速さでは伸びないよな」
結局たった二時間で稲は見事に実ってしまい、本来収穫する時期と大幅にずれたことで彼は色々と苦労したそうだが、収穫した米の味がよかったことが唯一救いだったという。
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