2020年12月02日
精神科が原因の自殺。抗精神病薬の副作用という死。
精神科が原因の自殺。抗精神病薬の副作用という死。
2009年春、四国地方の児童養護施設。面会に行った精神科医は、2人のあまりの変わりように愕然とした、から始まる記述が〜『精神医療ダークサイド』佐藤光展 著 講談社現代新書〜にあり、読んでいるこちらも衝撃を受けた。
中学2年の兄はよだれを垂らし、小学6年の弟は失禁でズボンを濡らしていた。その子ども達の母親は精神疾患の悪化で入院していた。兄弟はほかに身寄りがなく、一時的に預けられたのがこの施設だった。母親が退院するまで、母親を長く診てきたクリニックの精神科医が、施設を定期的に訪問する役を引き受けていた。
「どんな薬を飲まされたんだ。色は。形は」
近くにいた職員に詳細を尋ねても「個人情報なので」の一点張り。その場で携帯電話を取り出し、この施設が提携する精神科病院に問い合わせたが、身分を明かしても担当医にはつながらなかった。
だが、副作用の出方で薬の見当はついた。「抗精神病薬。2人は鎮静させられたんだ」
抗精神病薬は、主に統合失調症の幻聴や妄想を抑える目的で使われる。適量の服用で効果を発揮するが、過剰に投与したり、この病気でない人が服用したりすると、過度の鎮静や筋肉の硬直、認知機能の低下など、重い副作用が現れやすい。健康な人が服用すると、少量でも動けなくなるほど鎮静作用が強い薬なんだそうだ。
こちらとしては、小説の悪役に登場していただくためには恰好のネタになるわ、って感じで読み進めた。精神医療は、薬物中毒と虐待に次ぐ社会のダークサイドだ。(ドラッグと精神薬って成分は同じだというしな)
精神科医でも、良心的な…というか、ここに登場する先生のようにヒトとしてマトモな医師もいる。それでも、精神疾患などない、という視点に立てば精神医療は根底から間違っていることになるのだが、カウンセラーや臨床心理士という方々がいらっしゃる限り、全面的には精神医療を否定はしない。鍼灸師にしても、経営を考えて施術していたとしても、予防医学の軸がブレない限りはマトモな部類だと信じている。
結局、何故、この養護施設で精神薬などが処方されるに至ったのかというと。
兄弟は、この施設に入って寝付きが悪くなった。母親と突然引き離され、見知らぬ施設に入ったのだから無理もないが、深夜も落ち着かず動き回り、職員を困らせた。年長の子どもからは露骨ないじめを受け、兄弟は理不尽な暴力に反撃し、その結果、精神科病院に連れて行かれ、そして薬が処方されたのだという。
人手不足が災いしているのか、愛情の欠落か、無知の成せる業なのか。これが、児童養護施設の実態。これが精神医療の実情なのかと唖然としてしまう。
もう一つ。
「精神科が原因の自殺がある。自覚すべきだ」
2013年5月、福岡市で開かれた第109回日本精神神経学会学術総会のシンポジウムで、北里大学病院救命救急センター医師の上條吉人さんが語気を強めた。福岡国際会場メインホールを埋めた精神科医たちは、厳しい指摘をどう受け止めたのだろうか。
相模原市で三次救急を担い、24時間体制で重篤な患者に対応する北里大学病院救命救急センターでは、運び込まれる人の10〜15%が自殺企図および自傷行為の患者で、このうち半数(全体の5〜7%)を処方薬の過量服薬者が占めている。救急医の奮闘を尻目に過量服薬者を次々と生み出し、処方内容などを問い合わせたくても夜間や土日には電話もつながらない精神科医たちに対し、救急医の怒りは治まらない。
上條さんは、このシンポジウムで二つの事例を取り上げた。1例目は、心臓に影響が出る恐れがある三環系抗うつ剤を大量に飲み、深刻な不整脈を起こした患者で、迅速な救命措置で命は助かったものの、瀬戸際だった。「この患者はうつ病の診断を受け、三環系抗うつ薬が30日分、3g処方されていた。この薬の致死量は体重の1kgあたり20mg。体重50kgだと1gで死ぬ量に達する。致死量をはるかに超える薬が1回の処方で出ていたことになる」と上條さんは指摘した。
2例目は20代の女性で、うつ病の診断で大量に処方されたバルビツール酸系の睡眠薬を56錠飲み、低酸素脳症で死亡した。バルビツール酸系は、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬が登場するまで盛んに用いられた薬で、依存性も副作用も強い。女性が飲んだ薬の致死量は40錠だった。
大量服薬する患者の多くは処方薬依存・乱用の状態で、複数の医療機関を回って薬を入手している。医療につながりすぎるほどつながっているのに、医師たちはだれも乱用に気付かず(あるいは指摘せず)、まるで乱用の手助けをするかのように依存性の高い薬を長期処方しているのだ。
さらにもう一つ。
医師に診断されたうつ病が鍼治療で消えた、という事実もある。
いやいやいや、本当にそう書かれてたんだって!
2006年、東京に住む当時50代の女性会社員のタカコさん(仮名)は、精神科クリニックで「うつ病」と診断された。几帳面な性格が管理職になって強まり、部下の仕事に細かく口を挟んだ結果、職場で孤立して落ち込んだ。同世代の男性に負けまいと若い頃から仕事一筋でやってきたのに、人が変わったように何も手につかなくなった。
薬物治療を続けたが仕事への意欲は戻らず、抗うつ剤のほかに抗不安剤、抗精神病薬などが追加されていった。定年退職まで欠勤を繰り返した。
2008年のある朝、頭が前に傾いたまま上がらなくなった。整形外科で検査を受けたが骨や筋肉に異常はなく、整形外科医は、「精神科の薬の影響」と判断した。(これは、精神科の多剤大量投与された人が起こしている典型的な斜頚らしい。)
だが、その時点まで2年近く薬を飲み続けていたタカコさんは「薬を減らすとうつがもっとひどくなるのではないか」と不安で減薬に踏み切れなかった。悩みを知人に打ち明けると「首の筋肉を鍼灸でほぐしたら楽になるのでは」と勧められ、東京都杉並区の鍼灸院に行った。背中のツボに灸を施し、首などに浅く鍼を刺す治療を受けた。
数回通うと頭が上がるようになった。(他の症例では、斜頚は結局治っていない。やはり早い段階で鍼灸治療を受けると治るのだ!)以後も「ほかでは得られない心身の心地良さ」にひかれて定期的に通ううちに、自信や気力がよみがえってきた。周囲の勧めで適度な運動を始め、それで気分転換ができるようになると、薬に頼る気持ちが薄らいだ。少しずつ減薬を進めて新たな職を得た。以前よりも心に余裕ができたことで職場の同僚に気を配れるようになり、良好な職場環境で仕事が楽しくなった。(これがすべての答えだ。病は生き方を見直すためのもの)
タカコさんの「うつ病」は鍼灸で治ったのだろうか。元共同通信記者で鍼灸ジャーナリストの松田博公さんは「鍼灸には全身状態を整えて心身をリラックスさせる効果はありますが、精神疾患は治せない」と断言する。(おいおいおい! アメリカで臨床をしている松本岐子先生はちゃんとうつ病を治してるぞ!)だが、「最近は心の不調をすぐに病気にしてしまう安易な診断が増えたためか、鍼灸で改善する『うつ病』が目立っている」という。
抗うつ剤では改善しないのに、鍼灸で回復する「うつ病」は本当に病気なのだろうか。安易な診断と投薬が、落ち込んだ人に過剰な病者意識を植え付け、かえって不調や服薬を長引かせているのではないか。と結ばれている。
最後に。
2011年秋、東京の40代の男性がまるで高齢者のような言葉を口にしたのだ。
「最近また友達を失いました。心臓発作による突然死です。同世代の友人が4人、5人と亡くなっていく」
彼は20代で統合失調症を診断され、多剤大量投薬に苦しんだ経験がある。だが病院を変え、抗精神病薬を1種類にしてから症状が落ち着き、会社勤めができるまでに回復した。
亡くなった彼の友人たちは、死に至る病を抱えていたわけではない。統合失調症と診断され、治療を受けていただけだ。ただ、亡くなる直前まで大量の抗精神病薬を服用していたという共通点があった。
2009年春、四国地方の児童養護施設。面会に行った精神科医は、2人のあまりの変わりように愕然とした、から始まる記述が〜『精神医療ダークサイド』佐藤光展 著 講談社現代新書〜にあり、読んでいるこちらも衝撃を受けた。
中学2年の兄はよだれを垂らし、小学6年の弟は失禁でズボンを濡らしていた。その子ども達の母親は精神疾患の悪化で入院していた。兄弟はほかに身寄りがなく、一時的に預けられたのがこの施設だった。母親が退院するまで、母親を長く診てきたクリニックの精神科医が、施設を定期的に訪問する役を引き受けていた。
「どんな薬を飲まされたんだ。色は。形は」
近くにいた職員に詳細を尋ねても「個人情報なので」の一点張り。その場で携帯電話を取り出し、この施設が提携する精神科病院に問い合わせたが、身分を明かしても担当医にはつながらなかった。
だが、副作用の出方で薬の見当はついた。「抗精神病薬。2人は鎮静させられたんだ」
抗精神病薬は、主に統合失調症の幻聴や妄想を抑える目的で使われる。適量の服用で効果を発揮するが、過剰に投与したり、この病気でない人が服用したりすると、過度の鎮静や筋肉の硬直、認知機能の低下など、重い副作用が現れやすい。健康な人が服用すると、少量でも動けなくなるほど鎮静作用が強い薬なんだそうだ。
こちらとしては、小説の悪役に登場していただくためには恰好のネタになるわ、って感じで読み進めた。精神医療は、薬物中毒と虐待に次ぐ社会のダークサイドだ。(ドラッグと精神薬って成分は同じだというしな)
精神科医でも、良心的な…というか、ここに登場する先生のようにヒトとしてマトモな医師もいる。それでも、精神疾患などない、という視点に立てば精神医療は根底から間違っていることになるのだが、カウンセラーや臨床心理士という方々がいらっしゃる限り、全面的には精神医療を否定はしない。鍼灸師にしても、経営を考えて施術していたとしても、予防医学の軸がブレない限りはマトモな部類だと信じている。
結局、何故、この養護施設で精神薬などが処方されるに至ったのかというと。
兄弟は、この施設に入って寝付きが悪くなった。母親と突然引き離され、見知らぬ施設に入ったのだから無理もないが、深夜も落ち着かず動き回り、職員を困らせた。年長の子どもからは露骨ないじめを受け、兄弟は理不尽な暴力に反撃し、その結果、精神科病院に連れて行かれ、そして薬が処方されたのだという。
人手不足が災いしているのか、愛情の欠落か、無知の成せる業なのか。これが、児童養護施設の実態。これが精神医療の実情なのかと唖然としてしまう。
もう一つ。
「精神科が原因の自殺がある。自覚すべきだ」
2013年5月、福岡市で開かれた第109回日本精神神経学会学術総会のシンポジウムで、北里大学病院救命救急センター医師の上條吉人さんが語気を強めた。福岡国際会場メインホールを埋めた精神科医たちは、厳しい指摘をどう受け止めたのだろうか。
相模原市で三次救急を担い、24時間体制で重篤な患者に対応する北里大学病院救命救急センターでは、運び込まれる人の10〜15%が自殺企図および自傷行為の患者で、このうち半数(全体の5〜7%)を処方薬の過量服薬者が占めている。救急医の奮闘を尻目に過量服薬者を次々と生み出し、処方内容などを問い合わせたくても夜間や土日には電話もつながらない精神科医たちに対し、救急医の怒りは治まらない。
上條さんは、このシンポジウムで二つの事例を取り上げた。1例目は、心臓に影響が出る恐れがある三環系抗うつ剤を大量に飲み、深刻な不整脈を起こした患者で、迅速な救命措置で命は助かったものの、瀬戸際だった。「この患者はうつ病の診断を受け、三環系抗うつ薬が30日分、3g処方されていた。この薬の致死量は体重の1kgあたり20mg。体重50kgだと1gで死ぬ量に達する。致死量をはるかに超える薬が1回の処方で出ていたことになる」と上條さんは指摘した。
2例目は20代の女性で、うつ病の診断で大量に処方されたバルビツール酸系の睡眠薬を56錠飲み、低酸素脳症で死亡した。バルビツール酸系は、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬が登場するまで盛んに用いられた薬で、依存性も副作用も強い。女性が飲んだ薬の致死量は40錠だった。
大量服薬する患者の多くは処方薬依存・乱用の状態で、複数の医療機関を回って薬を入手している。医療につながりすぎるほどつながっているのに、医師たちはだれも乱用に気付かず(あるいは指摘せず)、まるで乱用の手助けをするかのように依存性の高い薬を長期処方しているのだ。
さらにもう一つ。
医師に診断されたうつ病が鍼治療で消えた、という事実もある。
いやいやいや、本当にそう書かれてたんだって!
2006年、東京に住む当時50代の女性会社員のタカコさん(仮名)は、精神科クリニックで「うつ病」と診断された。几帳面な性格が管理職になって強まり、部下の仕事に細かく口を挟んだ結果、職場で孤立して落ち込んだ。同世代の男性に負けまいと若い頃から仕事一筋でやってきたのに、人が変わったように何も手につかなくなった。
薬物治療を続けたが仕事への意欲は戻らず、抗うつ剤のほかに抗不安剤、抗精神病薬などが追加されていった。定年退職まで欠勤を繰り返した。
2008年のある朝、頭が前に傾いたまま上がらなくなった。整形外科で検査を受けたが骨や筋肉に異常はなく、整形外科医は、「精神科の薬の影響」と判断した。(これは、精神科の多剤大量投与された人が起こしている典型的な斜頚らしい。)
だが、その時点まで2年近く薬を飲み続けていたタカコさんは「薬を減らすとうつがもっとひどくなるのではないか」と不安で減薬に踏み切れなかった。悩みを知人に打ち明けると「首の筋肉を鍼灸でほぐしたら楽になるのでは」と勧められ、東京都杉並区の鍼灸院に行った。背中のツボに灸を施し、首などに浅く鍼を刺す治療を受けた。
数回通うと頭が上がるようになった。(他の症例では、斜頚は結局治っていない。やはり早い段階で鍼灸治療を受けると治るのだ!)以後も「ほかでは得られない心身の心地良さ」にひかれて定期的に通ううちに、自信や気力がよみがえってきた。周囲の勧めで適度な運動を始め、それで気分転換ができるようになると、薬に頼る気持ちが薄らいだ。少しずつ減薬を進めて新たな職を得た。以前よりも心に余裕ができたことで職場の同僚に気を配れるようになり、良好な職場環境で仕事が楽しくなった。(これがすべての答えだ。病は生き方を見直すためのもの)
タカコさんの「うつ病」は鍼灸で治ったのだろうか。元共同通信記者で鍼灸ジャーナリストの松田博公さんは「鍼灸には全身状態を整えて心身をリラックスさせる効果はありますが、精神疾患は治せない」と断言する。(おいおいおい! アメリカで臨床をしている松本岐子先生はちゃんとうつ病を治してるぞ!)だが、「最近は心の不調をすぐに病気にしてしまう安易な診断が増えたためか、鍼灸で改善する『うつ病』が目立っている」という。
抗うつ剤では改善しないのに、鍼灸で回復する「うつ病」は本当に病気なのだろうか。安易な診断と投薬が、落ち込んだ人に過剰な病者意識を植え付け、かえって不調や服薬を長引かせているのではないか。と結ばれている。
最後に。
2011年秋、東京の40代の男性がまるで高齢者のような言葉を口にしたのだ。
「最近また友達を失いました。心臓発作による突然死です。同世代の友人が4人、5人と亡くなっていく」
彼は20代で統合失調症を診断され、多剤大量投薬に苦しんだ経験がある。だが病院を変え、抗精神病薬を1種類にしてから症状が落ち着き、会社勤めができるまでに回復した。
亡くなった彼の友人たちは、死に至る病を抱えていたわけではない。統合失調症と診断され、治療を受けていただけだ。ただ、亡くなる直前まで大量の抗精神病薬を服用していたという共通点があった。
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