親が子どもを持つ年齢について議論する際は、どうしても胎児を妊娠する母親が話題になりがちだが、スタンフォード大学医学部の泌尿器科医であるアルバート・ハー氏らの研究チームは、2011年〜2022年にかけてアメリカで生まれた4600万人以上の出生データを分析し、父親の年齢や子どもへの影響について調べた。
2018年の研究では、35歳以上の父親から生まれた子どもは低出生体重や発作などのリスクが高く、父親が45歳以上の場合は早産のリスクが14%高くなるなど、父親の年齢も子どもの健康リスクに影響していることが示されたという。
さらに研究チームは、母親の年齢やその他の要因を考慮した上で、父親の高齢化が子どもの健康状態に及ぼす影響についても調査、その結果、父親の年齢が10歳高くなるごとに、体外受精などの生殖補助医療に依存する出産の割合が増加することが判明、また、父親が高齢だと母親が初めての出産である可能性が高いことや、早産および低出生体重のリスクが高いことも報告された。
「高齢であることは精子の量や運動性、正常な形態の精子の比率低下にも関連しており、精子の質は加齢に伴って低下するため、赤ちゃんに受け継がれるDNAの断片化や染色体数の異常、新たな突然変異、遺伝子発現などの変化が生じやすくなる。これらの変化の蓄積は子どもの自閉症や小児がん、軟骨無形成症、統合失調症などのリスクを高める」と述べた。
今回の研究では「父親が70歳以上の場合は比較的女児が生まれやすい」ということが新たにわかった。
科学系メディアのScience Alertは、「今回の研究は、高齢の父親のリスクに対する認識を高めると共に、この社会的変化を推進する要因をさらに調査する必要性を強調しています」と話している。