スポンサードリンク 「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,48: 1分読むだけ文学通
アフィリエイト広告を利用しています
ブログ紹介
(^_-)-☆管理人アスカミチルです。

このブログは、ユーザーさんを文学通にさせるのがねらい!!
内容は2構成。
★YOUTUBEチャンネル
「動画文学通」毎日P.M.4:00までに「三国志演義」朗読更新。

https://www.youtube.com/
channel/UCTZ5GnDOX9
JTi8NHODbF26A

そして、
★「1分読むだけ文学通」毎日P.M.4:00までに谷崎潤一郎「痴人の愛」本文更新。


アスカミチルさんの画像
アスカミチル
<< 2021年04月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
カテゴリーアーカイブ
最新記事
月別アーカイブ
検索
アスカミチルお勧めリンク

広告

posted by fanblog

2021年02月11日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,48


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,48



とか何とか言って、曖昧な、ニヤニヤしたお世辞笑いを浮かべながら、そのまま不得要領でスゴスゴ帰って来たのでした。

「譲治さん、ハリソンさんは何と言った?」



と、ナオミはその晩尋ねましたが、彼女の口調はいかにも老嬢の寵を恃んで、すっかりたかを括っているように聞こえました。

「よく出来るって言っていたけれど、西洋人には日本人の生徒の心理が分からないんだよ。



発音が器用で、ただスラスラ読めさえすりゃあいいというのは大間違いだ。

お前は確かに記憶力はいい、だから空で覚える事は上手だけれど、翻訳させると何一つ意味が分かっていないじゃないか。



それじゃ鸚鵡と同じことだ。いくら習っても何の足しにもなりゃしないんだ」

私がナオミに叱言らしい叱言を言ったのはその時が初めてでした。



私は彼女がハリソン嬢を味方にして、「それ見たことか」と言うように、得意の鼻をうごめかしているのが癪に触ったばかりでなく、第一こんなで「偉い女」になれるかどうか、それを非常に心もとなく感じたのです。



英語という者を別問題にして考えても、文典の規則を理解することが出来ないような頭では、全くこの先が案じられる。

男の児が中学で幾何や代数を習うのは何のためか、必ずしも実用に供するのが主眼で泣く、頭脳の働きを緻密にし、練磨するのが目的ではないか。



女の児だって、なるほど今までは解剖的の頭が無くても済んでいた。

が、これからの婦人はそうはいかない。



まして、「西洋人にも劣らない様な」「立派な」女になろうとするものが、組織の才が無く、分析の能力が無いと言うのでは心細い。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊



次回に続く。
この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10532556
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。