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2023年04月03日

男女の違いは、人間と犬の違いと同じように考える

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人生の意義っていうのを毎日毎日考え続ける必要はありませんが、特殊な職業の人別にしましてね、哲学者とか宗教家は大切でしょうけど、我々は他にやることもありますもんですから。
だけどたまにはやっぱり、人生の意義というものに時々思い返してみると、自分達が今当面しているいろんな悩みとか、そういうものが、実は大したことなかったんだと気が付いて、気楽になったりもしますんで。
年度末に当たって、人生の意義というのを、ちょっとやっております。2回目ですね。

自分ひとりでは生きることができないのに、なぜ自分本位なのか? 自己は大切なのか?っていう、これもものすごくもちろん、ヨーロッパ文明と日本文明でも違いますし、また封建時代と現在とも違いますし、時代とか場所によって、かなり違うような考え方が出てくるものなんですね。

私は科学者なんで、スタートは科学的に分かってることを一応確認して、それから自分の経験とか感情っていう風な順序になるっていうのが私の考え方なんですね。
で、人間っていうのは非常に特殊な生物で、今から6億年ぐらい前に、6億年よりか前は単細胞生物ですからね、単細胞生物というのは頭と体が一緒ですから。目も一緒だし、一緒っていうか、ないっていうかね。ですから、頭で考えて、なんかものをするってことはないわけですね。

ところが多細胞生物に6億年ぐらい前になってですね。最近まで僕、5億5千万年前って言ってたんですけども、その後いろいろな発見もありますし、それからいろいろ文献もこう読みましたらね、多細胞生物と言えるかどうかっていう議論のある生物も交えますと、まあ6億年って言っていいだろうなと思って、最近は6億年前って言ってますが、6億年前に多細胞生物ができまして。もちろん最初は頭もなければ神経もないんで。血管もないんでね。今みたいのは違いますが、まあ少なくとも多細胞生物になれば、血の通る血管を作ろうと思えばできるし、神経細胞もできるし、それから足とか手もできますし、頭もできるということで、そこら辺をスタートとしますとね、そこから少しずつ中枢神経系とかそれから頭脳ができてくるわけですね。

人間で言えば奥の方にある、古い脳ですね。僕の言ってる古い脳です。まあ中脳とか小脳とかなんかいっぱい名前がありますけど、そういったものですね。それは不思議なことに、6億年間の記憶が詰まってるんですね。記憶とか教訓とか。本能という言い方はちょっとまずいんじゃないかと思うんですね。別に本能というものでそれは規定されてるじゃなくて、6億年間の知識の集積ですね。最初はいろいろ要らない知識もあったでしょうけど、だんだんだんだんこう6億年も経ってますから、少しずつ要らないものが切り取られて要るものだけが残って、今のところ6億年間の知恵が詰まってですね、どっちかったら利他的なんですよ。
仲間を大切にしていこう。なぜかったら例えばほとんどの動物は群れで生きてますからね。だから群れの調和を壊したりですね、自分と違うものとの。よくあの人間関係が難しいって言うけど、個体関係難しいんですね。だからそれを調整するいろんなやり方ですね。それから家族が仲良くやっていくとかですね。それからお父さんお母さんを尊敬するとか。

ところがまあだんだん生物が発達する。それ以外に自分で得た知識も利用しようということになりますね。そっちの方がいいやってことになる。つまりここのこの古い脳にあるところはお母さんが、あの人は味方ですよ、ああいう形をしたのは危なくないですよ、こういうのは危険ですよって教えた通り、その後に自分が生まれて勉強してもそれが頭に入らないもんですからね。

ちょっと具合悪いだろうということで、自分で経験したものを入れるところを作った。それが大脳ですね。表面にあるんですね。これができたので、伝統的な知識とそれから自分が生まれてから、だいたいまあ3歳から5歳ぐらいからですね。三つ子の魂100までもって言いますから、まあ3歳にしましょうか。
3歳から25歳ぐらいまでに、22年間に溜め込んだ知識が大脳に入ってるんですね。それはあのお母さんやお父さんから引き継がないですね。お父さんとお母さん、いくら英語はペラペラでもですね、まだ英語っていうのはここの伝統的な脳に入ってませんからもちろん、。ですからお父さんお母さんが両親とも英語をペラペラでも子供は英語の単語一つも知らないというような構造なんですね。

ですからこの人間がこの大脳で考えるって言うと、あたかも正しいことを論理的とか言いますよね、論理的に考えるとかね、合理的に考えると。これは論理的であるか合理的であるか、分からないんですよ。ただ3歳から25歳ぐらいまでに自分の知識、体験、そういったもので作られたのが大脳なんですね。

この大脳っていうのはもともと400ccから500ccぐらい、ほぼサルと同じぐらいの体積だったんですけど。人間が700万年ぐらい前に生まれて、それから500万年間、随分長い間、200万年前、今からね、それはだいたい4、500ccだったんですよ。それでだいたい思考能力もサルと一緒。だいたい本能が勝って、それをちょっと手伝うっていうぐらいだったんですね。
ところが200万年前にグーッと脳が大きくなり始めまして、と同時に火を使うとかね、男性のセックス、性欲が少し弱くなるとか、そういったいろんな、いわば本能から少し離脱したような、動きをするようになります。火を使うってことは本能から言えば火は避けますからね。だから人間が火を使うというのは、非常にこう本能から離れた状態になったわけですが、そういう風になります。

その200万年間どんどんどんどんこう大脳が増えてきましてね。ついに今はこう我々はこの中心にある伝統的な脳をかぶさって、自分が先っていうことになっちゃったんですね。で利己的になりました。

伝統的な脳は利他的、新しい自分が考えた脳は利己的なんですね。ですから一旦思春期が終わって、自分の考えが整うとですね、悩むんですよ、一時ね。
俺は利他的、利己的、どっちをすべきなのかとか、そういうこと考える。元々の自分の生物としての利他的な心と判断ですね。それから3歳から25歳までに獲得した新しい利己的な判断。

典型的に言えば日本文明は利他的な古い脳と、利己的な新しい脳が調和してる状態ですね。なんで日本人は利己的なものと利他的なものが調和してるかっていうと私はね、日本の自然がそうしてると思います。
日本の自然っていうのはもう世界の自然に比べたら極めて穏やかなんですよ。私、一所懸命仕事してる頃は、30カ国ぐらい行ってましたかね。外国旅行ばかりだったですね。ビジネスですけどね。で、そうやって見てみますと、本当に日本の自然というのは柔らかいなって感じがしますねこれ。自分を包み込んでくれる。その中で自然とかなり考えが近いもんですから、あのやっぱり6億年間の利他的な頭脳との間の親和性が高いですね。

ところがヨーロッパ文明は2つの理由があると思います。一つはキリスト教が非常にこう、1200年ぐらい強く縛ったもんですから人間を。それからの解放、ルネサンスですね。それによってやっぱり過度に、必要以上に大脳の方を強調する。だから、思考とかですね、そういうものを強調しますね。デカルトなんか、デカルトとは二番煎じか三番煎じなんですけど、まあそういうのがみんなの納得する。
だからなんかなんとかの自己実現の三角形とか言ってですね、ああいうのはみんな、ヨーロッパ文明としては別に正しいんですね。
だけども日本文明としては正しくないんですよ。マズローのなんとか。そういうのに最近は非常にこう、白人崇拝なんてね。文明はどっちが、日本文明が上なのか、ヨーロッパ文明が上なのかなんていうことを検討せずに、マズローとかですね、それからインフォームドコンセントなんて英語で言うとですね、すぐぽーっとしちゃうんですね。その典型的なのが小池都知事でしょうね。日本語を英語とかドイツ語で言い直すっていうね、それで票が取れると思っておられるんですよね。
確かにその通りで、日本人は欧米コンプレックスですから、なんかそういう学者も結構いるんですよ。なんとかって言ったら、それをね、こう肥満って言ってはなんか、メタボリックシンドローム。メタボリックシンドロームって、なんで出すの?あれごまかしですよね。肥満防止って言やあいいんですからね。

そういうことで、2つの脳があるんですね。日本人は僕に言わせれば正しく、これがよく分かったら、対人関係もすごく良くなりますし、それから人生が第一、明るくなりますよ。僕なんかもう、全然明るいんですけどね。悩みなんてあるのかなと思ったりするぐらいなんですが。
それはなぜかっていうと自分一人では生きることができないのに、なぜ自分が大切なのか。いや実は自分大切じゃないんですよ。自分を大切にしなくても、周りと一緒なら必ず幸福に生きられるんですよ。これ決まってるんですよね。だって多細胞生物自身がそうできてんですからしょうがないんですよね。

僕ね、この頃男女の問題なんかやってるとね、なんで女性が子供を産んで子宮を持ってて、乳首からおっぱいが出るの?って、それを無視してね、それは無視してやろうとしてる人がいるから、男も不幸になるし、女も不幸になる。それ当たり前ですよ。だって現実を認めてないんだから。
犬と人間とどこが違うんだろうか。犬と人間と同じことやらなきゃいけないんじゃないかなんて言ったってね。それは犬は犬、人間は人間なんです。男は男、女は女なんですよ。別にどっちが優れてるとかね、そんなことは関係ないですよ。人間と犬とどっちが優れてる?犬の方が優れてるとこいっぱいありますよ。だってね、飼い主と非常に仲いいでしょ。本当に飼い主を信用してくれますよ。人間だったらすぐ疑ったりしてね。犬は疑いませんからね。
いや、僕は豚も偉いと思うんですよ。僕ね、誰かがね武田先生ちょっと肉食いたいからこの左腕の肉を少しくれませんかったら嫌だって言う。だけど豚はね、自分の身を削って人間に肉を食べさせてくれますよ。それから見たらね、いや我々はなんてケチなんだろうなと思ったりしますね。

だからまずは人生の意義はですね、自分にないと。これはね、僕はイエス様とかお釈迦様なんかの言われたことをですね、非常に好きなものですから何回も何回も聞きますとね、あの人たちは自分中心じゃないんですよ実は。全然自分中心じゃないですね。群れなんですよ。お釈迦様とかイエス様の方が我々よりかちょっと偉いような気がするんですね、僕は。少なくとも僕よりかは絶対偉い。間違いない。その人が長い間いろいろ考えられてですよ、自分よりかは、みんななんだと言っておられるとこ見るとね、それを素直に理解して、自分が良くなろうと思っちゃいけないと。自分が良くなろうと思った方が良くなると思うけど、実は違うんだ。本当に違いますよ。本当に違いますね。周りの人に感謝をし、周りの人のために行動し、周りの人のために考える。

もちろん食事もそうですよ。私たちが生きる上では、他の生物の命をいただかなきゃいけないから、まあ自分も生きなきゃなんないから食べなきゃいけないけど、まぁむやみに食べないでおこうと思うとね、太りませんから。食事の量を満腹まで食べませんからね。自分が生きていく量だけ食べる。そうするとやっぱり少しは細くなるし健康になりますよね。病気もしないと思いますね。まあ腹八分目は本当に3割寿命が伸びますからね。これはどの動物でも人間ばかりじゃなく、どの動物でもそうです。

ということで人生の意義、第2回は、人生の意義は自分にあるのではなく、他人にあるという驚くべき結論に達しました。

武田邦彦 ヒバリクラブ
人生の意義(2)「自分一人では生きることができないのに、なぜ、自己が大切なのか?」 令和5年3月26日
https://youtu.be/nPqCY4EPwUM


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