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2018年05月25日

5月25日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1955年5月25日は、岩波書店より『広辞苑』の初版が刊行された日です。
 岡茂雄(おか しげお。1894-1989)は人類学、考古学、博物学、そして民俗学における見聞を世に広めようとして、1920年代半ばに書店を開業しました。しかし関東大震災、そして経済恐慌と、民間の生活に計り知れない影響を与える出来事が相次ぎ、出版業界も不況に陥りました。岡茂雄は、岩波書店の創業者、岩波茂雄(いわなみ しげお。1881-1946)より辞書や教材の編纂案をすすめられ、誰もが惹きこまれる国語辞典の発刊を思いつき、知り合いの言語・文献学者の新村出(しんむら いずる。1876-1967)に国語辞典の編纂を依頼しました。
 岡の依頼を引き受けた新村は、博文館の補佐を受けて辞書編纂に尽力、1935年に国語辞典『辞苑』の初版が完成し、ベストセラーになりました。
 『辞苑』初版刊行後、岡は書店を閉店し、出版業界から勇退しますが、その後も編纂の中心にいる新村を助け、『辞苑』の改訂に取りかかりますが、第二次世界大戦の勃発で事業は中断を余儀なくされました。空襲が激しくなり、思うように作業が進みませんでした。しかも空襲による火災で版下が焼失してしまい、続行不能の危機がおとずれたのです。しかし、これらを予見していた岡茂雄は校正終了後の原稿をあらかじめ印刷しており(いわゆる清刷の段階)、作業は続行することができました。
 こうして新村の編纂した『辞苑』の改訂版は、苦労を重ねて戦後に発刊ができる方向でした。ところが、博文館から『辞苑』改訂版の刊行を見送られたため、同版は岩波書店より刊行されることになりました。出版元を移籍したため、『辞苑』という書名を使用できなくなり、『広辞苑』と改称、同書の初版として生まれ変わったわけです。
 ところが、アメリカ統治下における戦後日本の民主化政策、日本の主権回復、高度経済成長のおこり等、戦後のめまぐるしく変わる社会情勢の中で、日常に使用される新語、外来語の激増、当用漢字および現代かなづかいの改めなど国語改革が行われたことで、刊行は先延ばしとなりますが、戦前から父の辞書編纂を助けた次子の新村猛(しんむら たけし。1905-92)の協力もあり、編集作業はその後も熱心に続けられました。こうして『辞苑』改訂開始からおよそ20年の歳月が流れましたが、編纂を手がけた新村出、猛父子と、陰で支える岡茂雄らの苦労が実り、1955年、最大の収録数を誇る総合辞書の編纂事業がついに完了しました。そして陽の当たった同年5月25日、岩村書店より『広辞苑初版が刊行されたのでした。
 2018年現在、『広辞苑』は第七版まで刊行されています。

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